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『アトワイトゲーム』それは新たな物語の始まり

『四月は君の嘘』『さよなら私のクラマー』の著者、新川直司先生の最新作はなんとダークファンタジー巨篇という衝撃!これまでの10代の学生達の瑞々しい青春の日々を描いたそれとは一線を画すその作品タイトルは『アトワイトゲーム』です。

アトワイトゲーム 著者:新川直司

主人公は野心も金も何もない空っぽの男?

物語の舞台は中世を思わせる世界。人口約10万人の貿易都市クンロンに住む青年マルコは、この都市を裏から牛耳る組織「蛇輪」の末端構成員。いわゆるギャングの端くれです。

特に大きな志を持つわけでもなく、スローライフを夢見るマルコの異名は「死体漁りのマルコ」。日々ハイエナのように死体を漁り、泥水を啜るような生活を送る彼は、それでもそんな生活を存外気に入っていました。

退屈な日々に突如訪れた「運命」という名の異変

そんなマルコの元にある日、運命を激変させる非日常が襲いかかります。突如頭上から降り注いできたのは、この世界において運搬車の役割を持つ「竜」でした。とある荷物を運搬中何者かに襲われ街中に落下した竜の口の中に入っていた「運搬物」。それはなんと、時の君主バーランド領の領主、バーランド閣下の令嬢アトワイト・バーランドでした。

何の前触れもなく突如回り出した数奇な運命の歯車。動乱の時代、領主の娘という、戦局を一変させるとっておきの切り札でもあれば、新たな戦争の火種をおこしかねない激ヤバ過ぎる荷物を図らずも預かることとなったマルコ。事の重大さに頭を抱えながらも彼はひっそりと呟くのでした。

過去のどれとも似つかない、新たなる新川ワールド

新川直司先生の過去作にもみられるような、キャラクター1人1人が瑞々しく躍動するシーンやそれぞれの個性が際立つ印象的なセリフまわしは勿論健在です。それに加えて本作では過去に見たことがないNew新川ワールドとも言える世界観が見どころです。中世を想起させる舞台設定からなるファンタジー全開の描写もその1つといえます。

更には、命のやりとりを繰り広げる戦闘シーンは迫力と衝撃のクロスカウンターといった塩梅で作品の吸引力を更に高めてくれます。少し先の展開すらどう転がっていくか全く想像がつきません。気になって気になってページを捲る手が止まらない、この疾走感と高揚感。次は何をやるのかなぁとワクワクする気持ちにさせてくれます。

その男、ただ死体を漁っているだけの男じゃない?

本作の物語はまだその扉を開いたばかりですが、作中から感じ取れるのは主人公であるマルコの時折見せるただならぬ雰囲気と、秘められた確かな剣の実力。そして過去に何かしらの喪失を抱えた末に今の価値観に至ったのではないかと思われる、時に憂いと郷愁を感じさせるその表情の機微です。

マルコほどの実力と知力を兼ね備えた人間がなぜ組織の末端構成員に甘んじているのか。「死体漁りのマルコ」と呼ばれ蔑まれ、泥水をすするような日々を送っているのか。この世界に潜む秘密とは何なのか。そしてマルコとアトワイトの出会いは彼らの未来をどんな方向に導いて行くのか。様々な謎に包まれた中で、今後の展開への期待感に胸が膨らむ『アトワイトゲーム』。アナタが本記事に出会い、この重厚な作品世界の一端に触れたこともきっと偶然ではなく必然なのでしょう。今こそ本作を手に取り、この運命の出会いにその身を預けてみませんか?

執筆: ネゴト / もり氏

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