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青春華道部マンガ『もえばな』にわたしたちが萌えるワケ

漫画の人気ジャンルのひとつ「部活もの」。

そんな部活動マンガのなかで「癒される」と注目を集めているのは舞台が高校華道部の『もえばな』です。

着物でおしとやかに振る舞い、むずかしい決まりごとも多そう。そんなとっつきにくいイメージがある生け花の世界に共感の声が相次ぐ理由はどこにあるのか。

わたしたちが『もえばな』に萌える理由を探っていきます。

もえばな 著者:横山左

推しに誘われ、いざ華道の世界へ!

校舎に飾られている生け花に魅了される主人公・深草九十九(つくも)。九十九はお花の擬人化アニメ「ブーケの花園」(通称:ぶけぞの)にハマるアニメオタクです。

「ぶけぞの」の知識で芍薬(しゃくやく)の花を見事に言い当てた九十九は、華道部にスカウトされます。

アニメが好きなだけだからと華道部には興味を示さなかった九十九も、生け花にはお花を魅力的に見せる自由な生け方があることを知り、お花の世界へ関心を寄せはじめて…。

伝統文化を伝える名手が選んだ新たな舞台

生け花は室町時代から続く伝統文化。知らない人からするとちょっととっつきにくい世界かもしれません。

そんな「聞いたことはあるけれど詳しくは知らないぞ」という世界を親しみやすく描くのが横山左先生です。

横山先生は剣道・歌舞伎・漫才・書道といった伝統や歴史を重んじる題材を手がけ、好評を博してきました。

一見ヘビーな伝統文化の世界をなめらかに届ける、それが横山作品の持ち味なのです。

みんな大すき!擬人化カルチャー

書道部が舞台の『俺の字』では、元・人気子役の女装主人公というフックが橋渡しとなり、読者を書道の世界にぐいぐいひきこんでいきました。

『もえばな』でその役目を果たすのは、お花の擬人化アニメ「ブーケの花園」です。

九十九はキャラクターのひとり、芍薬の擬人化キャラ「ピオニー」のぴおたんが大すき!

芍薬を言い当てられたのも推しの花だから…という答え合わせはあまりにもわかりみです。

擬人化といえば日本刀、競走馬といった人気作品の数々が思いおこされます。

日本刀からお城を巡り、推しのために競馬をたしなむ。現実の世界とリンクして新たな趣味が広がっていくのは、擬人化作品を愛でる醍醐味でしょう。

そんな擬人化カルチャーに長らく鍛えられたわたしたちに「ブーケの花園」はうってつけ。

ぶけぞのオタクの九十九の気持ちとシンクロしながら、未知なるお花の世界の「萌え」を感じとることができるのです。

キャラクターのやさしさに包まれる

「ブーケの花園」の世界観しかり、『もえばな』は主人公から脇役にいたるまでキャラクターの愛らしさがきわだっています。

読者と共に生け花の世界を知っていく九十九は、病気がちな妹を献身的に支え、失敗で萎縮するクラスメイトに率先して手を差し伸べる優しいキャラクター。

とある事情で生け花の大会「六花杯」への出場を尻込む華道部のエースには、生け花の複雑な世界に染まっていない初心者だからこそ伝えられる言葉でエールをおくります。

お花が太陽を求めるように、人間だって明るい方に歩いていきたい。

多くの人が『もえばな』に癒しを感じるのも、九十九が放つその明るさに本能で惹かれているからかもしれません。

単行本の生け花解説も見逃せない!

マンガならではのキャッチーな要素だけでなく、作品の根幹である生け花が綿密に描かれている点もみどころです。

作中には、生け花監修の先生方によって実際に生けられた作品の数々が描き起こされています。

リアルなお花の描写が、アニメ・萌え・推しといったほんわかモードな世界に厳かな空気をまとわせているのです。

キャッチーさとリアリティのバランスにそそられる『もえばな』。ぜひあなたも『もえばな』の世界に萌えてみてください!

執筆: ネゴト / あまみん

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