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『煙と蜜』その年の差、十八歳…ゆっくり恋を育んでいく少女と軍人の大正ラブロマンス

マンガ雑誌「ハルタ」にて連載中の長蔵ヒロコ先生による『煙と蜜』。

煙と蜜 著者:長蔵ヒロコ

本作は大正時代を舞台とした、十二歳の少女・花塚姫子と三十歳の軍人・土屋文治の二人による恋物語を描いた作品です。

「全国書店員が選んだおすすめコミック2021」では7位にランクインし、「マンガ大賞2022」でも一次選考作品として名の上がった本作。

許婚である二人がゆっくりと時間をかけて距離を縮めていく様にときめく読者も続出!今後ますます注目度が高まるであろう作品のひとつともなっています。

『煙と蜜』あらすじ!家に決められた許婚でも、少女は未来の夫にゆっくり恋をする

時は大正。名古屋で暮らす一人の少女・花塚姫子が本作の主人公です。

病を抱えた母の療養生活のため、帝都東京から名古屋へとやってきた姫子。母方の祖父にあたる花塚敬次郎の屋敷で、4人の女中と共に賑やかで楽しい毎日を送っています。

そんな彼女の許婚が、名古屋を拠点とする陸軍に勤める土屋文治です。

祖父・敬次郎の計らいで許婚となった両者ですが、その年の差はなんと十八歳。しかし大きな差をものともせず、姫子は「大人の男性」である文治に対して、仄かな恋心を当初から抱いていました。

一方文治にとって、三十歳の身である彼からすればまだまだ幼い少女である姫子。

年相応の無邪気さを見せる彼女に対し、微笑ましくその様を見守りつつ。それでも時にはしっかり自身の許婚として、彼女に接する一面も。

ゆっくりと、それでも少しずつ確かに、お互いの距離を縮めていく二人。

姫子が十五歳になり、二人が正式な夫婦となるまで。残された期間はたった三年という、長くて短いものとなっています。

早く素敵な女性になりたい!幼い少女の健気な思いに癒される大人たち

本作の魅力は、何よりも読者が思わずときめいてしまう二人の優しくも穏やかな恋模様!

特に純粋で可愛い少女らしさが満載の姫子の行動は、その一挙一動がまさに恋をする女の子で微笑ましいものとなっています。

大勢の大人に囲まれて育っているとはいえ、まだ弱冠十二歳の姫子。

彼女にとって自分の知っている家族や女中、そして許婚はみな立派な大人。そこに一人紛れる自分も、皆に相応しい人となれるように。早く大人になりたい、と、気持ちばかりが急くこともしばしばです。

その中で、それでも今しかない姫子の少女らしさを大事にしてほしい、と思う周囲の大人たち。そして時折、その姫子の幼さ故の純粋な思いに救われたり、癒しを覚える文治。

いじらしくも愛らしい姫子の振る舞いに、彼女の幸せを思わず願ってしまうのは。物語を読む我々読者も同じなのかもしれません。

少女を未来の妻として慈しむ…軍人・文治の優しい仕草にもドキドキ!

そしてもう一人、この物語のキーパーソンである文治。

自らの許婚となる姫子に対する彼の紳士的な振る舞いも、多くの読者を魅了するポイントのひとつですね。

幼い身体で奮闘する姫子に対し、さりげないエスコートやサポート役を演じたり。大人の男性らしい余裕と包容力で、温かく姫子を見守る文治。

自分とは違う、大人の男性の要素に胸をどきどきと高鳴らせる姫子。そんな彼女のときめきを私たちもひしひしと感じるような、文治の「モテる男の仕草」が作中にはたくさんです!

ですがそんな彼の胸中には、十八も年上の男を宛がわれた姫子への同情も微かにある様子。

僅かに見え隠れする彼の後ろめたさ。ですがそれを包み込むように、あるいは打ち消すように。嬉しそうに笑う姫子は、間違いなく文治にお似合いの妻となることを予感させてくれますね。

少女と軍人の年の差婚…許婚で始まった二人はどんな夫婦になるのか

十八歳の年の差をものともせず、二人だけのペースでゆっくり絆を深めていく姫子と文治。

穏やかな日常の中に時折ちらつく、二人を取り巻く環境から生まれる影…。

大きな変わり目でもある大正の時代の中で、どのように本当の夫婦となっていくのか。これからの展開も気になる、そんなマンガとなっています!

執筆: ネゴト / 曽我美なつめ

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