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『Q、恋ってなんですか?』ラブコメでもSFでもない、独自の物語設定が本能に突き刺さる

Fiok Lee先生の描く『Q、恋ってなんですか?』は、アフタヌーンで連載中の作品です。2021年に連載が始まったばかりの新作である本作の魅力をご紹介します。

Q、恋ってなんですか? 著者:FiokLee

始まったのは生物の神秘を探求する旅

ある日、人付き合いがあまり得意ではない青井は、職場の飲みの誘いを断り、一人気ままに公園で缶ビールを飲んでいました。

すると突然現れたとある人物が青井に近づき、いつの間にか青井の胸にとまっていた綺麗な青色の蝶を捕まえたのです。

何でもなかったようにその人物は、光を放つ扉の中へ消えてしまいそうに。何を思ったのか、青井は消えかかる光の扉の中に飛び込んだのでした。

彼が追いかけていった人物は、異星人の「Q」。Qが地球にやってきたのは、地球上のあらゆる生物を採集するためだと言います。こうして平凡な会社員だった青井は、地球上にあまたある生命の神秘を探求するQとの旅が始まったのです。

恋をもっともっとシンプルに

さまざまな生き物のつがいを採集するQの調査に付き合うことになった青井。Qと共に彼は、宇宙船で地球のあらゆる土地を訪れ、生き物の交尾や生き物の数だけ存在する家族の形を目にしたのでした。

ふたりにとってこの旅は自然と、パートナーを持つことや誰かを愛することを考えるきっかけになっていきます。それに、Qには性別がありません。

そんな地球上の当たり前や常識がわからないQの純粋な好奇心と、生物が営む性の神秘を前に、青井は恋や愛に対する興味や驚きが自然と芽生えていくのです。

恋と性を独自の物語設定で描く

青井のように、人との関わりが苦手なキャラクターが、周りとの繋がりの中で少しずつ感情を経験し成長していく...といった物語はきっと少なくありません。しかし、本作には他の作品と大きく違うところがあります。それは、生物の根源である性の営み・命の誕生を、地球上のたくさんの生物を通して、一緒に学んでいく物語がベースにあること。

恋や愛とその延長線上にある新しい命を宿すための行為。あるいは、他者へ抱く感情的部分と本能的部分。表裏一体となったふたつのテーマが描かれている、実はものすごく奥深い物語設定になっているんです。

単なるラブコメでも壮大なSFでもない『Q、恋ってなんですか?』。緩急をつけて織り込まれた本質的なテーマこそ、より味わい深い物語体験を作り出しているのです。

執筆: ネゴト / yukiko

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