『水曜どうでしょう〜大泉洋のホラ話〜』野性味溢れる“ホラ話”にマンガ本来の強さを垣間見る
北海道発の大人気バラエティ番組『水曜どうでしょう』。人気俳優の大泉洋さんが全国区となるキッカケになった伝説的な番組です。その番組内でたびたび披露されていた大泉洋さんのホラ話が、『週刊少年チャンピオン』でまさかのマンガ化!本人リクエストにより超劇画で描く、体毛3割増し荒々しさ全開の作品をご紹介します。
破天荒とは天を破る荒々しさ
本作のはじまりは、人気企画サイコロシリーズの第三弾。鳥栖から鹿児島へ向かうつばめ11号車内でのさりげない会話から始まります。「ボクぁね、港港に女がいる海の男なんですよ」と、大泉さん。
星野倖一郎『水曜どうでしょう〜大泉洋のホラ話〜』1巻より
さらに「松方弘樹、ボクら同期生だから」と言うのです。話を聞いている通称“どうでしょうメンバー”は、ホラ話が始まったことを悟り、会話を続けます。「大泉さんの代表作は?」の問いかけには、『喧嘩の道 男の道』、『喧嘩太鼓』を挙げます。特に『喧嘩太鼓』はそこそこ売れたとのことで、大泉さんは当時を懐かしく振り返ります。そして回想の中、『喧嘩太鼓』の本編シーンが始まるのです…!
『水曜どうでしょう』を見たことのない方にとっては、あまりピンとこないかもしれません。それもそのはず。これは、当時番組内で場繋ぎとして苦し紛れに語られた“ホラ話”が、奇跡的にマンガ化され物語となっているのです。
大泉さんがかます大げさな設定のホラ話が、本人のリクエストにより超劇画タッチで描かれています。絵にかいたような破天荒キャラデザインと、荒々しいストーリ展開に男のピュアな部分をくすぐられます。
『水曜どうでしょう』メンバーの座談会も掲載!
2巻では、 連載開始記念として“どうでしょうメンバー”によるスペシャル座談会が掲載。当時の想いを存分に振り返ります。
星野倖一郎『水曜どうでしょう〜大泉洋のホラ話〜』2巻より
さらに、今回のコラボ企画のためだけに大泉さんが“新作ホラ話”を用意。
北海道を舞台にした武勇伝『チャンピオンロード』は必読です。こちらは、ファン目線から読むとサービス満点の新作で、『水曜どうでしょう』のいろんな要素が込められた一作。
「水平!」「すず虫のパンチ力」など、ファンにはたまらないワードが散りばめられています。これは、生粋のどうでしょう藩士(※番組のファンのことを“藩士”と呼ぶ)である星野倖一郎先生だからこそ。溢れんばかりのどうでしょう愛を感じられます。
マンガの持つ力強さを再確認
では、どうでしょうファンでなければ本作を楽しめないのでしょうか?いえ、もちろんそんなことはありません。大泉さんのリクエストにより、超劇画調・体毛3割増し・荒々しさ全開で描かれた本作は、『魁!!男塾』や『北斗の拳』のようなハードボイルドマンガを髣髴とさせます。
星野倖一郎『水曜どうでしょう〜大泉洋のホラ話〜』1巻より
読み手の体温を上昇させるようなとにかく熱い展開は、「どうでしょう」を知らない読者でも存分にお楽しみいただける内容です。改めて、マンガに秘められる画力表現の豊かさや、メッセージ性の高さを感じることができます。
本作をもっともっと楽しむには
本作に収録されたホラ話に関する放送回は、すべてDVD化されています。実際に鑑賞しながら読むという、味わい深い楽しみ方をすることも可能です。そして、コミックスの巻末には、ご丁寧に収録DVDの案内が掲載されています。
特にサイコロ3は、『喧嘩太鼓』(1巻収録)、『チューハイム』(2巻収録)、『雪面の飛び魚』と『アラスカの女』(3巻収録)が採用されている超お得作!まずは、「水曜どうでしょう」の入門として併せて購入してみてはいかがでしょうか?