『君は放課後インソムニア』2人だけの秘密の場所。とっておきの青春がそこには、ある
不眠症を抱える2人の高校生が出会い、廃部だった天文部を再び復活させることから始まる青春グラフィティ『君は放課後インソムニア』。最新第8巻が2022月1月12日に発売されました。
さらに2022年1月12日にはTVアニメ化と実写映画化決定の嬉しいダブルビッグサプライズニュースも飛び出し、注目を集めている作品です。
そこは2人だけの秘密基地
高校生活に馴染めず、周囲と上手にやっていくことができないことに加え不眠症という悩みを抱えている中見ガンタ。眠れない夜を過ごし、朝が来るたびに言葉にならない絶望に苛まれる憂鬱な日々を過ごしていました。ある日、ガンタは文化祭の準備の為に訪れた、今は廃部になっている天文部の部室の隅で眠っていたクラスメイト曲イサキと偶然出会います。
不眠症を抱えているという共通点を持つことを知り、次第に会話を交わす2人。ふいに微睡の中に包まれ、それまでの不眠が嘘のように2人は穏やかな眠りにつきます。
足りないからこそ埋め合えるもの
本作で丁寧に描かれているのは、互いが互いを必要としながらも次第に距離を縮め合っていく姿です。
何かが欠けている、とどこか自分に対して自信を持てていない印象のある2人ですが、それぞれの足りない部分を補い合って無敵のふたりになっていく過程に惹き込まれます。
背中を押してくれる言葉の数々
作中では、様々な読者の背中を押してくれる言葉が登場します。
長く、退屈な夜を過ごしていたガンタとイサキが次第に、ただ不毛に流れていた時間を楽しむことが出来るようになってくる、そんな感覚が生まれてくるのです。
初めて2人で夜中に出かけた夜に見た星空。こんな景色が見れるなら、眠れないのも悪くない、と呟くイサキ。それまでマイナスでしかなかったものが、人との関わりをきっかけに鮮やかに引っくり返る瞬間を作品から感じとっていただきたいです。
青春の全てがここに
本作品の魅力を一言で表すならば尊さ、でしょうか。ガンタとイサキが交わす言葉の1つ1つに。それまでの自分に生まれたことのない感情を発見した時に魅せる表情に。関わる人達の温かさも手伝って、もっともっと2人を見つめていたい、この時間を慈しみたいという想いが話数が進む度に増してくるのです。
なんでもないような出来事に鮮やかに色をつけることができるのは、高校生という時間を生きているそのタイミングだからこそなのかも知れないと、懐かしくもこそばゆい気持ちに読者を誘ってくれるのです。
抱きしめたくなる程の多幸感をアナタに
作中に登場するガンタとイサキの友人達もこれまた素敵なキャラクターばかりなのです。学生時代にこんな友達に囲まれていたいな、と心から思わせてくれる『君は放課後インソムニア』。読後、かつて味わったことのない程の多幸感に包まれていることをお約束します。
夜更かししてでも読み漁りたくなるこの愛おし過ぎる作品世界にぜひ触れてみてください!
満天の星が照らす2人だけの世界
執筆/もり氏(https://twitter.com/morishi0522)