『W50周年記念 デビルマン×マジンガーZ展』永井豪先生Q&A
2022年、歴史的傑作『デビルマン』『マジンガーZ』が、ともに生誕50年を迎えます。著者の永井豪先生にお話を伺いました。
Q1:半世紀を超えるマンガ家生活のなかで、『デビルマン』『マジンガーZ』はどんな作品になったと思っていらっしゃいますか?
A1:『デビルマン』は、私がギャグマンガ家から脱却し、ストーリーマンガ家としての位置づけに成功することができた作品で、『マジンガー Z』と共に、アニメとのコラボによるメディアミックスの先駆けとなった作品です。
手塚治虫先生が『鉄腕アトム』などのアニメ化により目指していた方向が「正しかった」ことを、後を追った私が立証できたのだと思っています。これ以降、メディアミックスに消極的だった出版界が、変わっていったと思います。
マンガ史に燦然と輝く『デビルマン』。後世のクリエイターにも大きな影響を与え、現在も数多くのフォロワーを生み続けている。
Q2:現在50歳代の大人は『マジンガーZ』『デビルマン』をテレビで見て育ち、思い入れがとても深いです。半世紀の時を経ても、今の大人たちから愛される理由をどうお考えでしょうか? また、 50年経っても当時の子どもたちの記憶に残り、作品が今も愛されていることについての率直な思いをお聞かせください。
A2:『マジンガーZ』については、人が乗り込み巨大ロボットを操縦するという世界初のアイデアが、ロボットアニメの歴史に刻まれたのだと思います。早く成長して、大人に負けない男になりたいという願望が少年たちの心を掴んで強烈な印象を残し、大人になっても忘れられない思い出となっているのではと思います。
その後に続くロボットマンガやアニメがみな乗り込み型となっていったのは、そのことがどれだけ後からのマンガ家、アニメ作家に影響を与えたかという立証です。
Q3:作品発表から半世紀が経ったいまでも、ロシアによるウクライナへの侵攻など世界から争いの火種は消えていません。作品に込めた先生のメッセージはどのように響いてほしいと思いますか?
A3:ロボット兵器が現実のものとなり、実際に戦場で使われています。『マジンガーZ』が兵器の“カタマリ”のようなロボットなのは、現在の戦場を予想していたことになるのかもしれません。また『デビルマン』の、世界が世界戦争に向かい、滅亡につながってしまうというストーリーは、現在進行形の状況のように思えます。
早く世界から戦争がなくなり、平和な時代が来るように願っています。
ロボットに“乗り込む”という斬新な発想が、以降のロボットマンガ、あるいはロボットを主とした映像作品に大きな影響を与えた『マジンガー Z』。『グレートマジンガー』『マジンサーガ』など、著者本人が手掛けた数多くの派生作品と共に展示されている。
物語が大きく動く象徴的な場面が連続した生原稿で展示され、単行本や電子書籍とは異なる趣を感じさせる。1本1本の描線、キャラクターの表情からは著者の息遣いが聞こえてきそうだ。
Q4:本企画展が兵庫県・宝塚市で開催されることへの思いや、阪神・神戸周辺で思い出に残っていることがありましたら、教えてください。
A4:手塚治虫先生の後を追うようにマンガ家となった私にとって、こんなに嬉しいことはありません。手塚先生が天国から見守ってくださっている気がします。
45年くらい前に、宝塚の遊園地のお化け屋敷に、私の作品『ドロロンえん魔くん』が使われることになり、夏休み前にそのお化け屋敷の御払いと内覧会に訪問したのが、最初です。その際、宝塚の歌劇場を見学させてもらい、大がかかりな舞台に感動しました。 9割以上が女性客ばかりでしたが、男が観ても面白いと思い……。
手塚先生が影響を受けて『リボンの騎士』などの作品を描いたのにも納得できました。
Q5:手塚治虫先生との接点、好きな作品がありましたら教えてください。また、手塚先生との思い出はありますか?
A5:幼稚園にあがる前、4~5歳の頃、手塚先生の『ロストワールド』『メトロポリス』などの作品に出会い、夢中になりました。それ以来、手塚作品を追い続けた少年時代を過ごしました。
小学校高学年位は、ソラで手塚作品のマンガタイトルを短編も含めて100作品位言えるくらいで、友達から「手塚マンガ博士だな!?」とあきれられるくらいでした。
そんな私ですから、マンガ家となってパーティーなどでお会いするたびに先生とお話するのはサイコーに嬉しいことでした。なかでも、手塚先生とその他の大勢のマンガ家とでサンディエゴのコミックコンベンションに参加した旅が一番の思い出です(それはマンガにして『ビッグコミック』誌上で発表してしまいました)。
会場内にはフォトスポットが用意されている。『デビルマン』『マジンガーZ』の印象的なコマ絵をバックに、来場記念にあなただけの一枚を撮ってみよう。
Q6:『W50周年記念 デビルマン×マジンガーZ展』の見どころや来館者へのメッセージがありましたらお願いします。
A6:昔からのファンの方々にはなつかしんでもらい、当時子どもだった頃の“熱い思い”を“精神力”にして、現在のキビしい時代を乗り越える“心の糧”としていただければと願っております。若い人たちには、 50年も前にこんな作品があったのだと驚いてもらえたのなら嬉しいかぎりです。3世代に響く展覧会となって欲しいと思っています。
入口には本展のメインビジュアルと共にフォトスポットがある。写真内、ポーズを決めているのは、宝塚市観光大使リボンの騎士「サファイア」の御手洗 菜々さん。
「W50周年記念 デビルマン×マジンガーZ展」
展示概要
『デビルマン』『マジンガーZ』とその派生作品の生原稿117点を展示。
[展示作品]
『デビルマン』『マジンガーZ』
[続編・派生作品]
『デビルマンレディー』
『デビルマンゴースト』
『悪魔騎士』
『シレーヌ誕生編』
『デビルマンサーガ』
『キューティーハニー対デビルマンレディー』
『デビルマン対ゲッターロボ』
『グレートマジンガー』
『UFOロボグレンダイザー』
『ゴッドマジンガー』
『MAZINGER』
『マジンサーガ』
『マジンカイザー』
『Zマジンガー』
『グレンダイザーギガ』
『真マジンガー衝撃!H編』
ミュージアムショップでは、『W50周年記念 デビルマン×マジンガーZ展』図録・限定グッズなどを販売しています。
【開催日程】2022年10月28日(金)~2023年2月20日(月)
【開館時間】9:30~17:00
【開催場所】手塚治虫記念館 館内
【観覧費用】無料
※ただし手塚治虫記念館の入館料として大人700円(税込)、中高生300円(税込)、小学生100円(税込)
【主催】宝塚市・宝塚市教育委員会
【後援】Kiss FM KOBE・エフエム宝塚
【休館日】毎週水曜日(ただし、11月23日、2023年1月4日の水曜日は開館。)
2022年12月29日~31日(年末休館)※年末休館の後は、1月1日より開館