ebook japan

ebjニュース&トピックス

【マンガ大好き芸人・つじくんの突撃インタビュー!】『反逆コメンテーターエンドウさん』洋介犬先生編

マンガ大好き芸人・つじくんが、気になるマンガ家さんにインタビューをする企画が始動!

第一弾は『反逆コメンテーターエンドウさん』の作者・洋介犬(ようすけん)先生です!

反逆コメンテーターエンドウさん 著者:洋介犬

質問をびっしりと書いたメモ帳を携えて臨んだ、初のインタビューの行方は……。

主人公・エンドウさんについてや、昨今のSNSマンガについて感じること、仕事のモットーなどを伺いました。

▼つじくん
吉本興業所属のマンガ大好き芸人。マンガを6000冊所有しており、自身でも4コママンガをTwitterなどで発信中。現在放送中のテレビ番組【川島・山内のマンガ沼】などにも出演し、2021年電子書籍にてエッセイ「マンガのようにはいかない芸人」を発売。

▼洋介犬先生
風刺&ホラーマンガ家。商業誌のみならず、SNSでも舌鋒鋭きマンガを発表中。
本作の他に『外れたみんなの頭のネジ』等を発表。

実社会化していくエンドウさんの世界

つじくん:最初にお伝えしますが……。今めちゃくちゃ緊張していて、「えっと」っていう回数がすごく多いと思います(笑)。

洋介犬先生:大丈夫ですよ(笑)。

つじくん:まずは、『反逆コメンテーターエンドウさん』単行本発売、おめでとうございます。

洋介犬先生:ありがとうございます。

つじくん:次にくるマンガ大賞にもノミネートされましたし、すごい勢いですよね。(※2022年7月4日現在)

実際、結構反響があった作品なんじゃないでしょうか。

洋介犬先生:そうですね、僕の中では過去最高レベルの反響です。

つじくん:『反逆コメンテーターエンドウさん』自体は2017年からインディーズ版でも発表されていた作品ですが、現在のGANMA!版を始めるにあたって変更した点はありますか?

▼『反逆コメンテーターエンドウさん』あらすじ
昨今の歪な報道を、誰も言えなかった言葉で稲妻のように貫くコメンテーター・エンドウさん。
これは「現代に、もしこんなコメンテーターがいたら」という物語である。

洋介犬先生:人間味を加えた、というのが大きいですね。インディーズ版を読んだ人から「エンドウさんが死んだ目をしているけど、それはそれでいい味だった」というご感想も多く頂いたのですが、GANMA!版では家族の存在を付け加えたことで、人間味が増したかなと思っています。

つじくん:単行本にはエンドウさんのプロポーズ特別描き下ろしもあり、バックボーンが更に厚くなったところがありますよね。

洋介犬先生:人間として分厚くなったのはリアリティの補強というか、「本当にこんな人がいたらいいな」というイメージの補強になったかなと思います。

つじくん:僕自身も、この作品が「実社会化」して、エンドウさんみたいな人が本当に現れてくれたらなと思いました。インディーズ版の際にも、他のキャラクターは存在してたんでしょうか?

洋介犬先生:インディーズ版にはイシガミとマガリが登場していて、KENJIROUはGANMA!版のみです。

つじくん:彼らもエンドウさんとまた違う視点で、核心を突くセリフを口にするキャラクターですよね。

洋介犬先生:そうなんです。だからよく「作者の思想や意見をそのままキャラクターに言わせてるだけ」みたいな批判もあるんです。

僕としては全然そんな意識はなくて、肉付けしたキャラクタ―たちを会議室に集めて議題を振ったらどうなるだろうみたいな、シミュレーション要素が強いんです。

決してキャラクターの誰かに自分の思想を託してるわけではないんですよね。

エンドウさんの行動原理

つじくん:ただ、批判がある一方で、核心をついた言葉に爽快感を覚えたり、共鳴したりする読者も多いと思います。

洋介犬先生:爽快感を重視というのは確かにありますが、それ以上に大事にしているのは「声なき声を拾う」ことです。

単行本の巻末で描いたエンドウさんのプロポーズのエピソードで、彼は苦しんでいる奥さんを救えなかったことに、深く罪を感じてるんですね。声なき声を見て見ぬふりをしてしまったことに後悔している。

洋介犬先生:だからこそ、「声なき声を拾う」というのは、エンドウさんの行動原理と作品テーマとして置いています。

SNSマンガから感じた「起」の重要性

つじくん:最近はSNS上で読める作品が増えてきましたよね。洋介犬先生の4コママンガやオムニバスホラー形式は、SNSが作品発表の場として発展していく中で身につけられた戦略なんでしょうか。

洋介犬先生:単純に長い話をTwitterに載せても、最後まで読んでもらえないなというのがありましたね。

それに僕の作風的には、エモーショナルなシーンを積み重ねるよりも、いきなりズバッと斬りつける方がいいなと(笑)。

当時、編集者に「そういう展開は突飛だ」と言われたこともあったんですが、SNS時代になって、その突飛さは逆に使えるんじゃないかと思っています。

つじくん:SNSに掲載する上で、意識されている点はありますか?

洋介犬先生:最近感じるのは、特にSNSに載せるマンガは、起承転結の「起」をいかに畳むかが大事になってきているなということです。

今、「起」の部分は物凄く短く、簡単でいいんですよね。だから、ひょっとして起承転結の「結」よりも「起」にこだわらないといけない時代が来るんじゃないかなと。

Twitterで流行ってるマンガに、1つの画像内に女の子が描かれていて、周りにシチュエーションがわかるようなセリフが散りばめられている、というのがあるじゃないですか。

つじくん:はい。

洋介犬先生:あれは起承転結を丸めて団子にしているみたいに、器用に表現していますよね。読者には一枚で伝わるし、描く側のコストも削減出来る一挙両得なシステムですね(笑)。

これだけ作品数がある中で、「起」を膨らませすぎると、物語の最後まで付き合ってくれない可能性が高くなるんですよね。

餃子を食べようと思ったら、皮が分厚くて餡の部分に辿り着くまでがしんどい、みたいな。

だから餡を薄皮で包んだだけの状態で出した方が、最後まで食べてもらえるんですよね。

つじくん:「起」から話の最後の「結」に辿り着くまでのスピードを、いかに短くするかが大事なんですね。

洋介犬先生:そうなんです。『反逆コメンテーターエンドウさん』も、「起」の部分を読者体験に依存してカットしてるところがある。

つじくん:読者の中にすでにあるエピソードや感情で、共感から始めてもらうわけですね。

洋介犬先生:テレビでコメンテーターを見たことない人はほとんどいないので、『反逆コメンテーターエンドウさん』と言われたら「あ、あのシチュエーションで物語が展開する感じね」とわかる。共通認識があると、スピーディに本題に入れるんですよね。

実は、「起」の部分を読者体験に依存してカットするのはすごく理にかなっていて。

人間の行動原理って「めんどくさい」というのが、動機としてかなりの割合を占めるんですよね。動画を倍速で見たり、まとめ掲示板をありがたがったりするのは、めんどくさくないからなんです。

つじくん:なるほど。

洋介犬先生:ただ、「洗濯がめんどくさいから」洗濯機が生まれたように、めんどくさいという動機を上手く使えればいいんですが、自分の思想に使ったりするのはちょっと危ないなと思っています。

分かりやすいのは、SNSでの批判です。

『反逆コメンテーターエンドウさん』でも、エンドウさんがニュースの見出ししか読まずに喋ってる人がどれくらいいるか調べたエピソードがあって。

つじくん:「実際何%だったか聞かない方がいいよ」とエンドウさんが言っていた話ですね。

洋介犬先生:見出しの一単語だけ拾って条件反射で批判するのは、怖いことだと思うんですよね。それがお茶の間での出来事なら、その言葉はそのまま消えていったけれど、SNSに書き込むと全世界に発信されてしまう。

これは「めんどくさい」をよくない方向で使ってしまう例ですが、SNS時代では、先程の「起」をカットするなど、「めんどくさい」をうまく使いこなすのが大事だと思います。

職業人としての矜持

つじくん:エンドウさんは言葉をすごく大事にされてますが、洋介犬先生自身の座右の銘は何ですか?

洋介犬先生:敢えて言うとしたら、「広く浅い作家であるよりは、狭い分野のオンリーワンである方がはるかに強い」かなぁ。

僕自身が「何でも描けます」と言ってた頃は全く仕事が来なかったんですが、割り切って「ホラーマンガしか描きません」と言い始めてからの方が、仕事が殺到しているんですよね。だからこれは、職業人としてのモットーでもあります。

替えが効かない存在になったら、みんなにとっても、自分にとっても幸せなんだ、という気持ちは持っていますね。

つじくん:ありがとうございます。最後に『反逆コメンテーターエンドウさん』を待ち望んでいる読者の方に一言メッセージをよろしくお願いいたします。

洋介犬先生:どこに転ぶか作者もわからないという、かなり暴れるマンガですけども(笑)。

それでも、エンターテイメントとしての手綱は握りながら、実社会に反映できるような作品を目指していきたいと思っています。どうかこれからもよろしくお願いします。

記事内画像はKADOKAWA様の認可の元掲載しております:(C)洋介犬/COMICSMART INC.

執筆:ネゴト /

関連記事

インタビュー「漫画家のまんなか。」やまもり三香
漫画家のまんなか。vol.1 鳥飼茜
完結情報
漫画家のまんなか。vol.2 押見修造
インタビュー「編集者のまんなか。」林士平

TOP