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『ぼくと仁義なきおじさん』思わず見習いたくなる主人公の愛され力

「魅了する」「悩殺する」の意味で使われる「〇〇キラー」という言葉。たとえば「おじさんキラー」など、ある特定のタイプの人を、自分の性格などの魅力で悩殺することを指します。

百世渡先生の『ぼくと仁義なきおじさん』は、心優しき少年と極道イケおじの、お留守番からはじまる関係を描いた作品。ギャグ満載の心温まるストーリーも必見ですが、主人公の少年・勇飛の無自覚な「年上キラー」っぷりがすごいんです!

ぼくと仁義なきおじさん 著者:百世渡

好きなものを否定しない優しさ

ひとりぼっちのお留守番が日課の真面目な小学生・勇飛。そんな平和だけどちょっぴり寂しい毎日に転機が訪れます。

ご飯を食べようとしたところ、後ろから大きな音。あわてて振り返ると、そこにはぽっかり穴が開いた天井と、エプロンを着た気難しそうなおじさんが…。でも、このおじさん改め勇飛の上の階に住む蒼井さん、よくみるととっても可愛いんです。

蒼井さんは、どうやら"かわいいモノ好き"という事実を隠したがっている様子。その理由は、父親にぬいぐるみを欲しがったことを「気持ち悪い」と全否定されたからでした。蒼井さんの子どもの頃は、まだ今ほど多様性などの言葉が浸透していなかった時代。幼い頃にできた傷が、大人になった今でも残っていたのです。

そんな蒼井さんに、勇飛は「カワイイもの好きでいてくれてよかった」なんて言うんです。

これには、堅物そうな蒼井さんもフッと笑顔にならざるをえません。極道と小学生。関わらない方がいいと、どこか一線をひいていた蒼井さんの心を開いた瞬間です。

素直な言葉にキュンとくる

家庭の事情により、伯父のマリンちゃんが勇飛の保護者代わり。勇飛への溺愛ぶりは、勇飛と極道の蒼井さんが一緒にお風呂に入っているところを目撃してブチギレてしまうほど。

勇飛を引き取るにあたり、ロングヘアやお化粧を封印、服装も言葉遣いも男らしく変えたマリンちゃん。しかし、その行為が勇飛に「マリンちゃんが好きなようにできないのは自分のせい」と誤解させてしまいます。そして、同時にマリンちゃんは自分が自分を否定していることに気づくのです。

保護者としてダメダメだと語るマリンちゃんですが、勇飛はそんなこと思っていない様子。

思っていてもなかなか気恥ずかしくて伝えられない言葉。さらりと素直に伝えてしまえる勇飛が愛されるのは納得です。

「居場所になる」って言われたい!

右隣に住む朱音も勇飛に惹かれたひとり。朱音は公園で変な人に絡まれていたところを、偶然通りかかった勇飛と蒼井さんに助けてもらいます。朱音が母親と喧嘩中だと知った勇飛は、朱音を夕ご飯に誘うことに。そこで、朱音がクラスの女子たちと上手くいっていないことを知ります。

夕食後、公園にジュースを買いに行ったところ、なんとクラスの女子たちと出会ってしまうのです。朱音がハブかれたのは、ちょっとした意見の食い違いから。聞こえるように悪口を言う女子たちから、勇飛は朱音を守るのです。

勇飛みたいな弟がいればいいなと語っていた朱音。どうやらその言葉を後悔することになりそうです。

多くの人たちに愛されつつ、勇飛はこれまで癖になっていた「遠慮」や「我慢」を少しずつやめていきます。勇飛の大人びた発言は、自分のことより、常に相手のことを考えてきたからこそ自然と出るようになったのではないでしょうか。圧倒的な人格の良さで周りの人たちのハートをつかむ勇飛には、大人としても見習いたい要素が満載なのです。

執筆:ネゴト /西本沙織

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