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ずっと推しているのはずっと好きだった人『太陽よりも眩しい星』

河原和音先生の描く『太陽よりも眩しい星』は、別冊マーガレットで連載されている作品です。2月25日には2巻が発売となりました。この記事では、“爽きゅんストーリー”と呼ばれるこの物語をご紹介しつつ、その魅力をお伝えします。

太陽よりも眩しい星 著者:河原和音

主人公の岩田朔英(いわたさえ)は、167㎝の身長にコンプレックスを感じている女の子。彼女は、幼なじみの神城光輝(かみしろこうき)に密かに想いを寄せています。彼女いわくこれは「ムリめの恋」。そんな想いとは裏腹に膨らんでいく、朔英の恋のおはなしです。

彼に二度、恋をする

ふたりの出会いは小学校。朔英は、その頃から平均よりも身長が大きく、よく食べる子でした。

一方の光輝は、周りの男の子と比べても一回り小柄で、決してみんなから注目されるような男の子ではありませんでした。

けれど、6年生を迎えると光輝の体格はみるみる変わり、中学3年生には朔英の身長を越え、誰が見ても素敵だと思うような男の子に成長します。幼なじみだった光輝は、いつの間にか遠い存在に……。そんな彼の姿に二度目の恋を芽吹かせながらも、朔英は再び想いを胸の奥に秘めてしまうのです。

恋心と“推し”の感情の二連撃!

自分の中だけに留めていた光輝への想いは、ちょっと綺麗すぎて他人事のように感じてしまうかもしれません。けれど、朔英の恋は、そんな予想をくつがえし、深い共感と親近感を抱かせてしまうのです。

自分だけがその人の魅力に気づいていて、その感情そのものを大切にし続けたいという感情……。私たちは“推し”という感情をよく知っているはずです。まさしく朔英は、恋と推しへの感情のふたつを体験しているのでした。

だからこそ、読者も純粋に彼女の恋を応援するだけでなく、「誰かを想う気持ちの尊さ、わかりみです!」「推しが人気者になるって嬉しいくせにちょっぴり寂しい……」という感情も、朔英と一緒に自然と共有してしまうのです。私たち読者は、朔英のサポーターであり、推し活の同志!

こんなふうに令和の推し文化が垣間見える朔英の恋。朔英の姿からは「恋」という言葉では表現しつくせないものを体験させてくれるのです。

過去も今も同じくらい愛おしい人

偶然にも同じ高校に進学し、同じクラスになったふたり。以前よりも話す機会や行事で関わることが増えていく中、彼は朔英に小学生時代のふたりの思い出をよく話してくれます。

かつてのちょっと小柄な彼と今目の前に映る素敵に成長した彼。ふたりの光輝が朔英の中に存在しながらも、いつまでも変わらない彼の笑顔がそこに。

いつの間にか朔英の背丈を越え、誰もが彼を素敵と思うようになったりしても、朔英は彼の1ミリも変わらない魅力を知っています。だからこそ、今の光輝の魅力も苦しいくらいにわかる……。読み進めるほどに、朔英の心情に、にじりにじりとシンクロしてしまう本作。爽やかすぎる光輝の笑顔に、朔英と一緒にくらっとやられちゃってください。

2巻が発売。朔英の恋のゆくえは……

朔英の気持ちは前に進んでいくのでしょうか?小学生から高校生までのふたりの変化が朔英の気持ちと共に描かれた1巻を読み、ふたりを見守りましょう!

執筆 / yukiko

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