【推しマンガ】仕事に恋に奔走するグラハン女子を描く! 航空業界コラボマンガ!!
「グラハン女子」という言葉を知っていますか。グラハンこと「グランドハンドリング」は、空港で飛行機の離着陸を支援する仕事です。かつては男性中心の職業分野でしたが、グラハンとして活躍する女性が増加。グラハン女子の愛称で親しまれているのです。
離島育ちの少女・ここねは、空を悠々と飛ぶ飛行機が大好き。グラハンになる夢を叶えるため、大空へと飛び立ちます。
ANAグループ全面協力! 恋に仕事に情熱を懸ける、グラハン女子が主役のマンガを紹介します。いざ『ブルーフライト~グラハン女子物語~』の世界へ、テイクオフ!!
空の旅を、地上から支える人々
『ブルーフライト~グラハン女子物語~』は、のの子先生によるマンガ作品。「ベツコミ」(小学館)で、2024(令和6)年より連載スタートしました。ANAグループの取材協力を得て、羽田空港で働くグラハン女子の姿を描いています。
グラハンの仕事は、特殊車両を用いた手荷物・貨物の搭降載から、航空機の誘導、移動まで多岐にわたっています。空の旅を地上から支える、“縁の下の力持ち”と言うべき存在です。
これまで航空業界を題材とする創作物では、パイロットやCA(客室乗務員)を主役とするものがほとんどでした。ただし飛行機の運航には、搭乗員のほかにもグラハンや整備士、ディスパッチャー(航空機運航管理者)、グランドスタッフ(地上勤務職員)など様々な人が関わっています。本作はグラハン女子・ここねの視点から描くことで、空港の知られざる舞台裏まで教えてくれています。
『ブルーフライト~グラハン女子物語~』©のの子 / 小学館(1巻 P017より)
物語は、沖縄のとある離島で幕を開けます。長浜ここねは、中学1年生の女の子。礼南(れなん)島は、観光客から「青い楽園」と呼ばれるほど風光明媚な島ですが、ここねはこの土地の閉鎖的な風土が苦手でした。
ここねの母親は、娘を置いて島から出ていきました。そのことが噂話の的となり、ここねは心を痛めていたのです。彼女の心を支えたのが、空港で大好きな飛行機を見ること。ここねは同じく飛行機好きの少年・ひーくんと知り合い、彼との交流を楽しむようになりました。
ひーくんの夢は、羽田空港の飛行機整備士になること。彼は「あの青い飛行機は 世界中に繋がってるから」と言って、ここねを励まします。夢さえあれば、飛行機が島から連れ出してくれると言うのです。彼の言葉に刺激され、ここねは羽田のグラハンになることを決意します。
グラハンの資格とは
それから10年の歳月が流れました。ここねはANAエアポートサービスに入社して、憧れのグラハンとして働くようになりました。しかし入社して2年経っても、満足の行く仕事ができず元気をなくしていたのです。
ここねは、空港を見学に来た子どもたちに、グラハンの仕事を紹介します。「グランドハンドリング」は、航空機の安全な航行を目的とした地上支援作業の総称です。
空港に到着した飛行機を、駐機場まで誘導するマーシャリング。自力で後退することができない飛行機を、特殊車両で押し戻すプッシュバック。さらに、手荷物や貨物の積み下ろしなどの作業が含まれます。一般に、航空機が空港に到着してから次の出発まで1時間もありませんが、その間に多くの人が作業に携わっているのです。
『ブルーフライト~グラハン女子物語~』©のの子 / 小学館(1巻 P032より)
ここねの解説は小学生たちを感心させます。しかし、そこに航空業界の花形・パイロットが登場。見学者の心が奪われてしまいました。
ここねはパイロットに憧れる子どもたちを喜ばせるため、一緒にパイロットに向けてエールを送ることにしました。ところがそのパイロットは、ここねたちに手を振り返してくれませんでした。子どもたちを失望させたことで、ここねの落胆ぶりに拍車がかかります。
ここねの脳裏に、上司の秋山から叱られた記憶が甦ります。グラハンは限られた時間で作業をしなければなりません。ここねは気が急いたあまり、コンテナロックの確認を怠ってしまったのです。「安全運航より自分の保身を優先するやつに」「グラハンをやる資格はないっ!!」。飛行機の安全な航行を支えるグラハン。その覚悟を説く秋山の言葉が、ここねの心に重く響きます。
ハンドシグナルで気持ちを伝えよう
グラハンになる夢を叶えたものの、現実とのギャップに悩むここね。著者はその姿をつぶさに描いています。彼女は暗い顔をしていますが、グラハンの仕事を続けることができるのでしょうか――。
しかし出会いは突然訪れるもの。男性職員の友利(ともり)が、現場に復帰してきたのです。アメリカに行くため、しばらく休暇を取っていたという友利。ハンドシグナルを忘れてしまったため、ここねに教えて欲しいと頼みます。
「ハンドシグナル」は、グラハンが意志疎通のため用いるサイン。空港の駐機場では、飛行機のエンジン音などで互いの声がかき消されてしまいます。飛行機の支援を円滑に進めるため、独自のハンドサインがコミュニケーション手段として使われているのです。
『ブルーフライト~グラハン女子物語~』©のの子 / 小学館(1巻 P052_053より)
「グラハン辞めたい?」。ここねと二人きりになった友利は、突然踏み込んだ質問をします。彼は思い詰めた表情のここねを見て、心配していたのです。
友利に問い掛けられて、ここねは自分の気持ちに気づきます。上司の秋山から降搭載業務を外されて、ここねは焦りを感じていました。「グラハンを…」「……したいんです」。ここねの想いがあふれ出します。
ただし仕事への熱意があっても、周囲の人に伝わらなければ意味がありません。ここねは、グラハンには意思疎通ができない時に使う、コミュニケーション手段があることを思い出しました。「必ず一人前のグラハンになる」。ここねは強い決意とともに、上司の秋山に向けてハンドシグナルを送ります。
旅立つ人たちにエールを送りたい
ここねは島を出た時のことを思い出します。グラハンになるため、上京を決めたここねでしたが、不安な気持ちを拭うことができずにいました。しかし飛行機に搭乗した彼女は、ある光景を見て励まされたのです。
それはグラハンによるグッバイウェーブ。離陸する飛行機に向かって、地上スタッフたちが手を振って見送ってくれたのです。
「旅立つ人たちに エールを送りたい」。決意を新たにして、グラハン女子・ここねは再スタートを切ります。先輩グラハンの友利、イケメンパイロットの松永も加わって、ドラマは彩りを増していきます。仕事に恋に奔走するグラハン女子、ぜひ応援してくださいね!
取材・文・写真=メモリーバンク 柿原麻美 *文中一部敬称略






