-
12世紀
-13世紀現代の漫画・アニメの元祖と考えられるのは鳥羽僧正覚猷 の作と伝えられる『鳥獣人物戯画(鳥獣戯画)』である。現代の漫画にみられる技法、動物の擬人化や、絵巻物を広げることによりストーリーを展開する手法などが漫画やアニメに繋がる。 -
1700
年代後半江戸時代中期、上方から「鳥羽絵」と呼ばれる戯画が流行する。省略化された筆使いでユーモラスな人物を描いたのが特徴。当時の作品として、『鳥羽絵欠び留め』(竹原春潮)、『鳥羽絵三国志』(推定:大岡春朴)『絵本水也空』(耳鳥斎)があげられ、鳥羽絵は日本の浮世絵師にも影響を与えた。 -
1700
年代後半円山応挙によって、これまでの狩野派に代表される格式高い華麗な装飾性に加え、ありのままを描く写実性を融和させた新しい絵画様式が起こる。『仔犬図』にみられる、デフォルメされた子犬の愛くるしい雰囲気は現代のキャラクター表現にも通ずる。 -
1814
年葛飾北斎が描いた絵手本『北斎漫画』が出版される。北斎は「漫画」の意味を「気の向くままに漫然と描いた画」として使っている。あらゆるものを題材とした北斎漫画は、江戸の庶民だけでなく大名にまで親しまれ、19世紀中頃にはヨーロッパに伝わり印象派の画家たちに影響を与えた。 -
1862
年英チャールズ・ワーグマンによって漫画雑誌『ジャパン・パンチ』が発行。風刺画が中心で、日本の政局や日英間の外交問題など社会の出来事を一コマで表現していた。『ジャパン・パンチ』の中で使われた「ポンチ」という表現が、文明開化の明治初期の日本で「漫画」を指す意味で広がっていった。 -
1881
年本多錦吉郎が『藪をつついて大蛇を出せし図』を発表。6コマの漫画だが、これがコマを使った日本初の漫画とされている。 -
1882
年『ジャパン・パンチ』によって日本でも風刺画が描かれるようになった。福澤諭吉が創刊した『時事新報』には、北澤楽天による風刺画を掲載。「カリカチュア」の訳語として「漫画」が使われる。
奈良時代以降、漫画のルーツとされる絵画方式「絵巻物」が生まれたが、これらは一部の上流階級でしか読むことができなかった。江戸時代になると、版画の技術が導入され「鳥羽絵」などが町人にまで広がり大衆化してく。同時に、表現もメディア的な側面が強まっていくことになった。
漫画と日本人
日本の漫画がこれまで発展した理由はなんだろうか?と考えた時、歴史はその道標になるかもしれない。古くは奈良時代(約1300年以上前)から絵巻物と称し、「絵」と「物語」で表現するアートがあった。一巻の巻物を広げることで変わっていく情景から、連続した物語がうまれ、キャラクターが存在してきて…というように発展してきたとすると、日本人は昔から絵で伝えることに長けていたと考えられるかもしれない。
-
1915
年一枚絵と文章でストーリー性をもたせた「漫画漫文」をはじめ、様々な漫画のスタイルを生み出した岡本一平(画家 岡本太郎の父)が、日本初の漫画家団体である東京漫画会を設立。 北澤楽天とならび「漫画」という言葉を多用し、庶民の感情や世の中のありさまを表現した。岡本一平と北澤楽天についての詳細はこちらも参照。 -
1923
年原作:織田小星・漫画:樺島勝一『正チャンの冒険』連載開始。主人公の正チャンが相棒のリスと冒険する物語は子供に大人気となる。様々なキャラクター商品がつくられ、宝塚少女歌劇団が天津乙女の正チャンで舞台化するなど、日本のキャラクター第1号とも言われている。 -
1928
年大阪府豊能郡豊中町(今の豊中市)にて手塚治虫が生まれる。まもなく、兵庫県川辺郡小浜村(今の宝塚市)に一家で引っ越す。アマチュア写真家でもあった父と音楽好きの母という文化的な両親のもとで育ち、漫画に理解を示す先生たちと出会ったことが手塚の才能を育てたと言われる。 -
1931年
〜36年 -
1939年
〜45年第二次世界大戦が激化する中、物資の不足、統制により児童雑誌は休刊。新聞からも漫画は消え、漫画の歴史は闇の時代へ -
1946
年福岡の地方新聞「夕刊フクニチ」にて長谷川町子『サザエさん』が連載開始。その後、1951年以降は『朝日新聞』の朝刊で連載。4コマ漫画の本数は6500回以上と長寿作品に。 -
1947
年 -
1947
年
時代で変わる「漫画」の名称
今日的な意味での「漫画」にたどり着くまでの変遷をさらう。絵巻物「鳥獣戯画」で使われた「戯画」という表現から、江戸時代になると「狂画」「鳥羽絵」が今日の漫画に近い意味で使われていた。明治初期には『ジャパン・パンチ』(年表参照)の影響で風刺画を「ポンチ絵」と呼び、これも漫画と同様の意味で大衆に浸透していった。大正後半になり『時事新報』で「時事漫画」という表現が使われ、今日の「漫画」のもとになった。『時事新報』で政治漫画を連載していた北澤楽天は、日本初の職業漫画家とされる。
-
1950
年 -
1951
年 -
1952
年 -
1953
年 -
1954
年 -
1954
年 -
1954
年講談社『少女クラブ』の妹誌として『なかよし』を創刊。現代まで刊行中の漫画雑誌としては、最古の歴史をもつ。(2020年現在) -
1955
年子供に関わる市民団体、PTA、児童文化関係者たちによる「悪書追放運動」がピークに。この時代、月刊児童雑誌の漫画の掲載量が増え一方で、漫画の描写や言葉づかいが児童に悪影響を与えていると問題視されるようになる。新聞各社のマスコミもこの問題を報じ漫画批判を展開。漫画本を燃やす焚書のような行為も行われた。 -
1955
年 -
1955
年 -
1955
年少年たちに夢を与え、多くの漫画家を輩出し戦後漫画文化の礎だった『漫画少年』の「学童社」が9月に倒産。 -
1956
年 -
1956
年 -
1957
年 -
1958
年 -
1959
年 -
1959
年 -
1959
年
手塚治虫の功績
当時の漫画表現から、コマ割を場面描写として使う映画的表現を一歩進めたこと、漫画に大河的なストーリー長編ものを確立したことである。アニメにも大きな足跡を残し、初の長編TVアニメ-ション制作で成功をおさめ映像業界全体に多大な影響を与えた。
-
1960
年 -
1960
年 -
1960
年 -
1962
年赤塚不二夫『ひみつのアッコちゃん』を『りぼん』(集英社)、『おそ松くん』を『週刊少年サンデー』(小学館)にて連載開始。『ひみつのアッコちゃん』は「魔法少女モノ」の元祖とされている。『おそ松くん』の登場人物イヤミの「シェー」のポーズは社会現象にまでなった。赤塚不二夫は両作の大ヒットで一躍人気作家に。 -
1962
年講談社『少年クラブ』『少女クラブ』が休刊。月刊誌は週刊誌へ移行していく。 -
1962
年貸本屋が、家庭内のTVの普及と大手出版社による週刊少年・少女誌などの影響を受けて激減する。貸本漫画に対する、悪書追放運動の影響も大きかった。 -
1963
年 -
1963
年 -
1964
年漫画家たちが社会活動を通じてお互いを認識しあい、表現者として安心できる環境づくりが必要と考えた、漫画家の小島功は、漫画家集団の加藤芳郎らに相談し「日本漫画協会」を設立。初代理事長は近藤日出造。 -
1964
年 -
1964
年 -
1964
年 -
1965
年 -
1965
年 -
1966
年 -
1967
年 -
1967
年 -
1967
年 -
1967
年 -
1968
年 -
1968
年 -
1968
年 -
1968
年 -
1969
年 -
1969
年長谷川町子『サザエさん』のアニメ放映開始。現在までの続く国民的長寿番組となる。 世界で最も長く放映されているテレビアニメ番組としてギネス世界記録を保持。(2020年現在) -
1969
年藤子・F・不二雄(当時は藤子不二雄名義) 『ドラえもん』を小学館の『小学1年生』など各幼年向け雑誌で連載開始。子供向けに子供らしい夢と希望を与える表現を貫いた本作は、日本を代表するキャラクターになった。
貸本業界の盛衰
この年代から衰退がはじまった貸本業界だが、古くは江戸時代からはじまったとされている。文字通り本を貸す商いだ。当時、本が高価だったこともあり庶民の間でこれが人気となった。昭和になると貸し出す本も、より回転率を重視した雑誌や漫画が好まれ、貸本専用の漫画「貸本漫画」が誕生した。ここから「劇画」を筆頭に漫画雑誌とは異なった文化がうまれ、さいとう・たかを、水木しげるなどが輩出された。しかし、高度経済成長により日本も豊かになったことで誰もが本を買えるようになったこと、漫画雑誌も徐々に安価になったことなどが原因となり、東京オリンピック開催の1964年前後に貸本店・貸本出版社ともに減少する。
-
1970
年 -
1971
年 -
1972
年水島新司『ドカベン』を『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)で連載開始。連載スタート時は柔道漫画だったが途中で野球漫画に変更。 打者との駆け引きや実際の試合運びを中心に野球の試合をよりリアルに再現して、新たな野球漫画を確立していった。 -
1972
年 -
1972
年 -
1972
年 -
1973
年 -
1973
年 -
1973
年手塚治虫『ブラック・ジャック』を『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)にて連載開始。 手塚は1960年代終盤以降少年漫画でのヒット作に恵まれなかったが見事復活を果たした。この復活劇は『ブラック・ジャック創作秘話 手塚治虫の仕事場から』も参照。 -
1973
年 -
1974
年山上たつひこ『がきデカ』を『週刊少年チャンピオン』にて連載開始。赤塚不二夫のナンセンス・不条理ギャグと異なり、スラップスティック的笑いや、ボケとツッコミがキャラクターによって役割を分け、時としてそれが逆転するなど、ギャグ漫画の定型の一つをつくりあげた。 -
1974
年 -
1974
年 -
1975
年12月21日 第1回コミックマーケット開催。アマチュアがつくった同人誌、ファッションマガジンを販売する交流イベントとして、漫画ファンの間で同様のイベントが定着するきっかけをつくった。第1回の参加者約700名だったが、2019年の「コミックマーケット97」には75万人が参加。 -
1976
年秋本治『こちら葛飾区亀有公園前派出所 』を『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載開始。2016年の連載終了まで一度も休載なく連載され、単行本全200巻はギネス記録に認定される。ギャグを中心としながら、話題のゲームなどのネタも盛り込み1話完結形式で展開していった。 -
1976
年 -
1976
年 -
1976
年 -
1976
年白泉社『花とゆめ LaLa』創刊。1年後月刊化され、誌名も『月刊 LaLa』へ変更。 10代から20代を中心に、幅広い世代を対象に愛読されている。 -
1977
年 -
1977
年 -
1977
年小学館『コロコロコミック』創刊。創刊当時は、3ヶ月に1回の刊行から、79年から現在の月刊に。藤子不二雄の『ドラえもん』を筆頭に、 ゲームや玩具とタイアップ(コミカライズ)した小学生向けの作品を掲載。すがやみつるの『ゲームセンターあらし』などがヒット。 -
1978
年 -
1978
年集英社『ヤングジャンプ』 創刊。当初は月2回の刊行だったが、1981年に現代の週刊化になる。週刊青年漫画誌として最長の歴史を持つ。(2020年現在) -
1978
年 -
1979
年
「二四年組」による少女漫画革命
70年代、少女漫画に革新を起こしたのは「二四年組」と言われる。昭和24年前後に生まれた漫画家たちの総称だが、含まれるメンバーは定まっていない。言葉を使用する人によって定義は揺れている。いずれにせよ、この年代近辺の女性作家たちには、少女漫画を変革するだけの力があったことがわかる。作品のテーマ性や、詩的な表現といった描写力が、これまでと異なる新しい波をつくり、今日の少女漫画の礎を築いていった。
-
1980
年 -
1980
年 -
1980
年小学館『ビッグコミックスピリッツ』創刊。当初は月刊だったが、1981年に月2回刊、86年から現在同様週刊になる。高橋留美子『めぞん一刻』が創刊号から連載。アパート「一刻館」 管理人の未亡人・音無響子と、住人・五代裕作との恋愛模様を描き同誌の看板作品となる。青年誌にラブコメを持ち込み、そのブームを牽引した。 -
1981
年 -
1981
年 -
1981
年 -
1982
年大友克洋『AKIRA』を『ヤングマガジン』に連載開始。本作の特徴は、背景も人物も細かい線を重ねてよりリアルに近づけ、自由な視点で構図を決めるなど新たな手法を取り入れた。その技法は日本の漫画界にパラダイムシフトを起こし、後の漫画家たちに「大友以前」「大友以後」と言われるほど多大な影響を与えた。 -
1982
年高野文子『絶対安全剃刀』(白泉社)発売。1977年から81年に発表された短編を収録した初単行本。その独特な作風は、大友克洋等とともに「ニューウェーブ」と称された。極めて寡作な作家であるが、斬新な演出は漫画業界に大きな影響を与えた。 -
1982
年 -
1982
年池野恋『ときめきトゥナイト』を『りぼん』(集英社)に連載開始。ストーリーは大きく3部作に分かれており、第1部は魔界人の江藤蘭世、第2部は超能力を持つ市橋なるみ、第3部は蘭世の娘・真壁愛良の3人が主人公となるファンタジー・ラブコメ。魔界人と人間の禁断の恋や、魔界と人間界でおきるトラブルを時にシリアスに時にコミカルに描いた作品。2002年より本作の第1部を登場人物の名前や設定を大幅リメイクした『ときめきミッドナイト』が『Cookie』(集英社)で連載された。 -
1983
年 -
1983
年 -
1983
年 -
1983
年 -
1984
年まつもと泉『きまぐれオレンジ☆ロード』を『週刊少年ジャンプ』(集英社)に連載開始。優柔不断でどこか冴えない主人公・春日恭介と、不良の美少女・鮎川まどか、 ボーイッシュな後輩・檜山ひかるの三角関係を描いたラブコメマンガの金字塔。 -
1984
年鳥山明『DRAGON BALL』を『週刊少年ジャンプ』(集英社)に連載開始。『Dr.スランプ』(集英社)に続き、個性豊かなキャラクターと鳥山明独特のデザイン・世界観によって展開されるバトル漫画。コミックスは世界40カ国で翻訳され、 テレビも世界中で放映され記録的なヒット漫画となった。また幾度となくゲーム化やアニメ化もされ、親子何世代にも亘るファンが存在する。 -
1985
年 -
1985
年吉田秋生『BANANA FISH』を『別冊少女コミック』(小学館)に連載開始。少女漫画でありながら一見少年漫画のような画風が特徴。ニューヨークのアンダーグラウンドをリアルに描写し、社会の底辺でサバイバルする少年たちの姿を描いた大長編。作者吉田秋生についてはこちらも参照。 -
1985
年 -
1985
年 -
1986
年 -
1986
年 -
1986
年浦沢直樹『YAWARA !』を『週刊ビックコミックスピリッツ』(小学館)に連載開始。爽やかでコメディセンスあふれる展開は1989年にはアニメ化され大ヒット。 当時まだマイナーだった女子柔道を扱い、柔道ブームの火付け役になった。 -
1986
年 -
1986
年日渡早紀『ぼくの地球を守って』を『花とゆめ』(白泉社)に連載開始。互いにつながり合う前世の記憶を持つ7人の若者たちの時空を超えた友情と愛を描くSFファンタジー。物語は現代と前世を行き来しながらすすみ、双方で絡み合う複雑な人間ドラマが壮大なスケールで展開される。その重厚なストーリーから熱狂的なファンが前世探しをはじめるなど「前世ブーム」を引き起こした。2003年に本作の次世代編である『ボクを包む月の光-ぼく地球(タマ)次世代編-』が『別冊花とゆめ』(白泉社)で連載され、2015年にはその続編である『ぼくは地球と歌う 「ぼく地球」次世代編II』が同誌で連載された。 -
1987
年荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険』を『週刊少年ジャンプ』(集英社)に連載開始。ジョースター家とディオとその後継者による、100年以上に渡る因縁の戦いを描いた作品。「第○部」単位で構成され、それぞれ主人公も舞台も異なるが、 全エピソードには繋がりがあり壮大な群像劇を展開する。海外コミックのようなアーティスティックな絵柄や独創的なセリフ、トリッキーなストーリーで絶大な人気を博している。 -
1987
年 -
1987
年 -
1988
年 -
1988
年 -
1988
年 -
1988
年柴門ふみ『東京ラブストーリー』を『週刊ビッグコミックスピリッツ』(小学館)に連載開始。就職により上京した永尾完治と同僚の赤名リカを中心に、東京に生きるの若者たちの恋や葛藤、すれ違いを描いたラブストーリー。91年にテレビドラマ化され平均視聴率30%を超える大ヒットを記録した。本作の25年後を描いた続編 『東京ラブストーリー 〜After 25 years〜』が2016年同誌で読み切り掲載された。 -
1989
年平成元年2月9日、ストーリー漫画の父であり漫画の進化をリードした手塚治虫が死去。戦後からつづいた昭和漫画の歴史にとって一つの節目となった。 -
1989
年吉田戦車『伝染るんです。』を『週刊ビックコミックスピリッツ』(小学館)に連載開始。80年代末から90年代末にかけて流行した「不条理四コマ」を代表する作品。起承転結というセオリーを破り、オチを最初にもってきたり、オチ自体が不明瞭だったり、 シュールさを醸す独特の雰囲気で笑いを誘う。ギャグ漫画そのものにパラダイムシフトを起こしたと言われている。作者吉田戦車についてはこちらも参照。 -
1989
年士郎正宗『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』を、『ヤングマガジン海賊版』(講談社)に掲載。(のちに『ヤングマガジン』に不定期連載。)近未来、人間とサイボーグが混在する世界で、テロや暗殺を防ぐ「公安9課」(通称「攻殻機動隊」)の活動を描いたサイバーパンク作品。1995年押井守監督によりアニメ映画化され、世界中で高い評価を受けた。 -
1989
年相原コージ・竹熊健太郎 『サルでも描けるまんが教室』を、『週刊ビッグコミックスピリッツ』(小学館)に連載開始。2人の主人公が、漫画で日本を支配するために漫画を研究する。パロディ仕立てで漫画を分析し、新しい表現技法を模索する二人の姿は優れた評論としても評価された。漫画における「お約束」を明確化したことは大きな功績である。 -
1989
年 -
1989
年尾崎南『絶愛/BRONZE 完全版』を『マーガレット』(集英社)に連載開始。幼い頃「イズミ」という少女に初恋をした思い出をもつ主人公・南條晃司。後年再会した時に「イズミ」が男性だったと知りショックを受けつつも惹かれてしまうラブストーリー。まだ「BL(ボーイズラブ)」というジャンルが一般的ではなかった時代に、男性同士のラブストーリーを描き、大ヒットとなった。所説あるが、本作が商業BLの元祖と言われることがある。 -
1989
年 -
1989
年
ラブコメはどこからどこへ
まんがや小説の一大ジャンル「ラブコメ」こと「ラブ・コメディ」。諸説あるが、1969年『週刊マーガレット』(集英社)で連載された木村三四子『おくさまは18歳』のアオリで「ラブ・コメディ」の言葉が初めて登場したとされている。以降、「ラブ・コメディ」は少女漫画のなかで広く使われ「ラブコメ」という略称が一般化していった。1980年代以降になると、少年漫画の世界にも移植され一大ジャンルとなった。特に、『うる星やつら』ではSFとの融合、『タッチ』ではスポーツとの融合など他ジャンルと掛け合わされて、ストーリーの幅を広げていった。
-
1990
年 -
1990
年冨樫義博『幽☆遊☆白書』を『週刊少年ジャンプ』(集英社)に連載開始。「霊丸」「邪王炎殺黒龍波」といった子供心くすぐる必殺技の数々、強敵を死闘の末に倒すといった展開に、バトル漫画として人気を博す。アニメ、ゲーム、CDグッズと多メディア展開され、 『DRAGON BALL』、『SLAM DUNK』と並び『週刊少年ジャンプ』の最盛期をつくった作品の一つと言える。 -
1990
年 -
1990
年 -
1990
年 -
1990
年 -
1991
年 -
1991
年武内直子『美少女戦士セーラームーン』を『なかよし』(講談社)に連載開始。主人公・月野うさぎが、仲間とともに「セーラー戦士」として美しく変身し戦う姿を描いた作品。1992年、雑誌連載と同時期にテレビアニメも放映され、その後ゲーム、ミュージカル、ドラマなどでメディア展開され、少女だけでなく幅広い層で人気となり社会現象を巻き起こした。また日本のみならず海外での人気も高く、今なお世界中で愛されている作品。セーラームーンについてはこちらの特集ページも参照。 -
1991
年板垣恵介『グラップラー刃牙』を『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)に連載開始。主人公の範馬刃牙と、刃牙の父で地上最強の生物と評される範馬勇次郎との父子関係を通じて「最強とは何か?」を問い続ける長編格闘マンガ。続編として『バキ』『範馬刃牙』『刃牙道』『バキ道』と続き、『バキ道』は現在も『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)で連載中である。作者板垣恵介についてはこちらも参照。 -
1992
年神尾葉子『花より男子』を『マーガレット』(集英社)に連載開始。裕福な子弟が集まる名門高校に通う、貧乏な主人公牧野つくしの学園生活を描いたラブコメ作品。花男(はなだん)の愛称で親しまれ、アニメ化、ドラマ化、映画化、宝塚歌劇化などメディアミックスは多岐にわたる。海外でもドラマ化され、2020年現在少女漫画において歴代発行部数1位とされている。続編『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』が『少年ジャンプ+』(集英社)にて2015年から2019年まで連載された。 -
1992
年細野不二彦『ギャラリーフェイク』を『週刊ビッグコミックスピリッツ』(小学館)にて不定期で連載開始。メトロポリタン美術館の伝説的キュレーターだった主人公が創設した贋作専門のアートギャラリー「ギャラリーフェイク」を舞台に1話完結形式で描かれる。美術史やアート市場の裏に潜む虚飾のドラマを軸に、社会問題や時事問題も扱う多種多様な展開が高い支持をうけた。 著者細野不二彦についてはこちらも参照。 -
1992
年CLAMP『X』を『月刊ASUKA』(KADOKAWA)に連載開始。CLAMP(クランプ)は、大川七瀬、いがらし寒月、猫井椿、もこなの4人からなる日本の女性漫画家集団で『聖伝-RG VEDA-』(新書館)でデビュー。漫画家の枠にとどまらないマルチな活躍をみせている。本作は『X』は、東京を舞台に、人類を汚染とみなし元の自然溢れる地球に戻そうとする「地の龍」 と人類存続を願う「天の龍」という2大勢力の戦いを描く。 -
1993
年松本大洋『鉄コン筋クリート』を『週刊ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で連載開始。義理人情とヤクザがはびこる宝町と舞台に「ネコ」と呼ばれる二人の少年シロとクロの活躍を描く。その独特の世界観で松本大洋の名を一躍世の中に広めた。2006年アニメ映画化され、第80回アカデミー賞アカデミー長編アニメ映画賞ノミネート最終候補選出をはじめ高く評価された。 -
1993
年 -
1993
年原作:真倉翔・漫画:岡野剛『地獄先生ぬ~べ~』を『週刊少年ジャンプ』(集英社)に連載開始。小学校教師主人公・鵺野鳴介が、「鬼の手」で妖怪や悪霊を退治する学園コメディー作品。お色気シーンのサービスカットと幽霊や死体のグロテスクなホラー表現が幅広い層に人気を博す。続編として、12年後が舞台の『地獄先生ぬ〜べ〜NEO』がある。 -
1993
年土田世紀『編集王』を『週刊ビッグコミックスピリッツ』(小学館)に連載開始。見習い編集者になったボクサー崩れの桃井環八(カンパチ)を主人公に、個性的な編集者や漫画家が登場する出版業界を描いた作品。「出版は文化か営利か」というシビアなテーマに切り込んだ内容も特徴。土田世紀についてはこちらも参照。 -
1994
年 -
1994
年 -
1994
年和月伸宏『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』を『週刊少年ジャンプ』に連載開始。幕末に人斬りとして恐れられた緋村剣心を主人公とする歴史漫画。人斬りとしての過去を抱えながら、同じく過去に囚われている宿敵たちとの闘いを通して、新しい時代に自分の生き方を見出す。同誌連載の歴史ものとしては男女ともに幅広く人気を得た。『ジャンプSQ.』(集英社)にて続編『るろうに剣心―明治剣客浪漫譚・北海道編―』が連載中。 -
1994
年1994年12月末発売『週刊少年ジャンプ』(1995年3・4号)が653万部を突破。漫画雑誌として最高部数を記録した。連載作品は『SLAM DUNK』『DRAGON BALL』『みどりのマキバオー』『るろうに剣心』など。コミック雑誌の金字塔を打ち立てたこの記録は、2020年現在未だに破られていない。 -
1995
年安野モヨコ『ハッピー・マニア』を、『FEEL YOUNG』(祥伝社)に連載開始。彼氏がいない主人公・重田加代子が幸せを求め、色々な男性と恋に落ちる姿を描き、後にドラマ化もされ大ヒットとなった。少女漫画でそれまで多く描かれてきた、主人公と彼(一人)が、恋に落ちる物語ではなく、主人公が次々と失恋し、また新たな恋をする姿は、当時多くの女性から共感を得た。2019年より、連載終了から18年の時を経て、続編『後ハッピーマニア』が連載されている。 -
1995
年 -
1995
年うすた京介『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』を『週刊少年ジャンプ』に連載開始。謎の格闘技「セクシーコマンドー」を使う主人公・花中島マサルと、彼にひきよせられたセクシーコマンドー部(ヒゲ部)の部員を中心に展開されるシュールギャグ漫画。突如発する意味不明な言動や、予測不能な展開が笑いを誘った。 -
1995
年篠原千絵『天は赤い河のほとり』を『少女コミック(現Sho-Comi)』(小学館)に連載開始。紀元前14世紀のヒッタイト帝国にタイムスリップした主人公・鈴木夕梨が、やがて覇権争いに巻き込まれていく。創作を交えながらも歴史ものとしての完成度の高さに加えて、恋愛やサスペンス要素を入れたことで、幅広い層に受け入れられた。 -
1995
年 -
1996
年福本伸行『賭博黙示録カイジ』を『ヤングマガジン』(講談社)に連載開始。バイト仲間の借金の保証人になった主人公・カイジが、返済のためクルーズ船で行われるギャンブルに挑む漫画。心の動きを表現する「ざわ…ざわ…」に代表される、独特のオノマトペが特徴。続編として『賭博破戒録カイジ』『賭博堕天録カイジ』と続き『賭博堕天録カイジ 24億脱出編』が『ヤングマガジン』(講談社)で連載中。また同作内の登場人物が主人公になったスピンオフ作品『中間管理録トネガワ』『1日外出録ハンチョウ』もヒットした。 -
1996
年 -
1996
年 -
1996
年 -
1997
年 -
1997
年尾田栄一郎『ONE PIECE』を『週刊少年ジャンプ』(集英社)に連載開始。海賊王を夢見る主人公・ルフィと仲間たちの、「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」を巡る海洋冒険ロマン。緻密な設定と壮大な世界観で展開され、現在歴代の『週刊少年ジャンプ』作品の中で『こちら葛飾区亀有公園前派出所』に次ぐ長期連載となっている。(2020年現在)2015年 「最も多く発行された単一作家によるコミックシリーズ」としてギネス世界記録に認定された。テレビアニメ化、映画化のほか歌舞伎・舞台化もされた。 -
1997
年レディースコミックより若い女性読者をターゲットに「ティーンズラブコミック」というジャンルが浸透し始める。定義は、王道少女漫画のラブストーリーの「その先を見せる」とされていた。1995年創刊の『エルティーンコミック』(近代映画社)、1998年創刊の『少女革命』(一水社)、『恋愛白書パステル』(宙出版)等が草分けとされている。レディースコミックと比べると、少女漫画の可愛らしい絵柄で、性描写が描かれるのが特徴。90年代後半から00年代にジャンルとして定着し、ケータイコミック市場の広がりとともに、読者数を増やした。 -
1998
年高屋奈月『フルーツバスケット』を『花とゆめ』(白泉社)に連載開始。十二支の物の怪にとりつかれた一族「草摩家」のもとに居候する主人公・透が巻き起こすファンタジーラブコメ。複雑な家系で過去に傷を抱えた草摩一族が、まっすぐに向き合う透との出会いによって癒やされ少しづつ変化していく。2015年から、本作の数十年後を描く『フルーツバスケットanother』が『花LaLa online』 (後に『マンガPark』)で連載中。(2020年現在) 作者高屋奈月についてはこちらも参照。 -
1998
年武井宏之『シャーマンキング』を『週刊少年ジャンプ』(集英社)に連載開始。シャーマン(霊能力者)の能力をもった主人公・麻倉葉が修行を経て、全てのシャーマンの頂点「シャーマンキング」を目指す物語。ユルい雰囲気とバトルのときのシリアスさのギャップが人気を博した。続編『シャーマンキングFLOWERS』や、 本作の前日譚である『シャーマンキング0-ZERO-』がある。20周年の2018年、『SHAMAN KING THE SUPER STAR』が『少年マガジンエッジ』(講談社)にて連載中。 -
1999
年岸本斉史『NARUTO-ナルト-』を『週刊少年ジャンプ』(集英社)に連載開始。落ちこぼれの忍者「うずまきナルト」が、木の葉隠れの里の長「火影」を目指し、仲間とともに成長していくバトルアクション漫画。同時期に連載した『ONE PIECE』『BLEACH』と並び『週刊少年ジャンプ』(集英社)を代表する人気作品となった。2016年より本作のスピンオフ『BORUTO-ボルト- -NARUTO NEXT GENERATIONS-』が連載中。 -
1999
年 -
1999
年
漫画とメディア展開
漫画を実写映画の原作として使用されることも珍しくなくなった。2005年社会現象を起こす大ヒットとなった矢沢あいの『NANA』(集英社)など、多くの作品が実写映画化され、邦画のみならずハリウッドでも日本の漫画を原作とした作品がつくられるようになった。漫画がすでに映画の脚本・絵コンテとして使える点が映像化が増えたひとつの理由だろう。予め映像イメージがある漫画は各メディアで展開しやすい特徴があるといえる。
-
2000
年羽海野チカ『ハチミツとクローバー』を『CUTiE Comic』(宝島社)に連載開始。(後に、『ヤングユー』『コーラス』に移籍)美大を舞台にした青春群像劇。等身大の若者たちの姿が多くの読者の共感をよんだ。 作者のデビュー作であり、アニメ化、実写ドラマ化もされたヒット作。作者羽海野チカについてはこちらも参照。 -
2000
年 -
2000
年5月ebookjapan創業。12月には、電子書籍販売サイト「10daysbook」がオープン。電子書籍市場の草分け的存在だった。20年分の年間ランキングと歴史についてはこちらも参照。 -
2001
年 -
2001
年 -
2001
年 -
2001
年 -
2002
年 -
2003
年原作:大場つぐみ・漫画:小畑健 『DEATH NOTE』を『週刊少年ジャンプ』(集英社)に連載開始。死神が落とした、名前を書けばその名の人間が死ぬ「デスノート」を手にし、罪人を裁き自身の理想郷をつくることを夢見る主人公・夜神月(やがみらいと)と彼を追う警察や探偵たちの頭脳戦を描いたクライム・ サスペンス漫画。映画やアニメ、ドラマ、舞台など多様なメディア展開されいずれも大ヒットを記録した。 -
2003
年あずまきよひこ『よつばと!』を『月刊コミック電撃大王』(KADOKAWA)に連載開始。作者は「萌え4コマ」でヒットした「あずまんが大王」の作者。不思議な5歳の少女・よつばが出会う「初めての経験」や「感動」を描いた日常コメディ漫画。13カ国語に翻訳されて、2018年までの全世界累計発行部数は1670万部を越えた。 -
2003
年 -
2003
年 -
2003
年 -
2003
年 -
2004
年 -
2004
年真鍋昌平『闇金ウシジマくん』を『週刊ビッグコミックスピリッツ』(小学館)に連載開始。闇金を営む主人公・丑嶋馨のもとに金を借りに来る債務者たちの人間模様を描いた作品。社会の闇を克明に描いた本作は、ドラマシリーズ化され、 実写映画化もされた。 -
2004
年 -
2005
年 -
2005
年椎名軽穂『君に届け』を『別冊マーガレット』(集英社)に連載開始。長髪で暗くクラスに馴染めていない主人公・黒沼 爽子が、人気者の青年・風早 翔太と出会い変わっていく恋愛漫画。白馬の王子様的な存在に見初められて変わっていく展開ではなく、努力家で性格の良い主人公が自ら変わっていく姿が魅力となり読者を惹きつけた。 「このマンガがすごい2008」オンナ編1位。 -
2006
年 -
2006
年宝島社による「このマンガがすごい!」が創刊。各界の漫画好きが本音で選んだその年の「すごいマンガ」をオトコ編、オンナ編にわけてランキングを紹介。第1回オトコ編 原案:手塚治虫 漫画:浦沢直樹『PLUTO』(講談社)オンナ編 羽海野チカ『ハチミツとクローバー』(集英社)。以降のランキングについてはこちらも参照。 -
2007
年 -
2007
年浅野いにお『おやすみプンプン』を『週刊ヤングサンデー』に連載開始。(後に休刊に伴い『週刊ビッグコミックスピリッツ』に移籍) 主人公・プンプンや家族のみを鳥のような姿で描き、他の登場人物と対比したり、プンプンのセリフが吹き出してはなくモノローグで表現したスタイルが斬新な表現を開拓した。作者浅野いにおについてはこちらも参照。 -
2007
年 -
2008
年Appleから初代「iPhone」が日本で発売。以降、フィーチャー・フォンからスマートフォンへの移行が日本国内でも広がった。これにより電子書籍市場も拡大傾向になる。 -
2008
年 -
2008
年 -
2008
年 -
2008
年森薫『乙嫁語り』を『Fellows!(のち『ハルタ』)』(KADOKAWA)に連載開始。19世紀半ばの中央アジアを舞台に、民族的な伝統や風習を描いた作品。緻密に描写された民族衣装の刺繍や建築が美しく、 食事や生活のシーンと合わせて異国の暮らしを丁寧に描いている。2014年マンガ大賞受賞。 -
2008
年 -
2008
年渡辺航『弱虫ペダル』を『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)に連載開始。オタクの高校生・小野田坂道を主人公に、自転車競技部のメンバーとインターハイで優勝を目指すスポーツ漫画。アニメ化、舞台化、 ドラマ化など多メディアで展開された。作者渡辺航についてはこちらも参照。 -
2009
年諫山創『進撃の巨人』を『別冊少年マガジン』(講談社)に連載開始。人間を捕食する巨人が存在する世界で、人類と巨人との戦いを描いたダーク・ファンタジー。巨人の捕食シーンなどグロテスクな表現、複雑で謎を呼ぶストーリーが話題になった。アニメ化、映画化、ゲーム化のほか海外でも翻訳され、2019年に全世界1億部を突破した。「このマンガがすごい2011」オトコ編1位。『進撃の巨人』についてはこちらも参照。 -
2009
年平野耕太『ドリフターズ』を『ヤングキングアワーズ』(少年画報社)に連載開始。異次元世界で歴史上の偉人が一堂に介し戦うアクションファンタジー。島津豊久、織田信長、スキピオ、ハンニバルなど歴史上の英雄たちが時代をこえて戦うストーリーは歴史好きにもヒットした。
リアル化する漫画
漫画原作のゲーム化やキャラクターのグッズ化などに加えて、新しい商品化スタイルが生まれてきた。特に『テニスの王子様』(集英社)をはじめとした「2.5次元ミュージカル」は俳優が漫画のキャラクターに扮し、興行収入だけでなく、グッズ販売などでも収益をあげている。よりキャラクターにフォーカスした消費傾向がみられるようになった。また「聖地巡礼」と称し、漫画やアニメの舞台となった場所にファンが訪れることも増えてきた。中には地域のイベントにまで発展したものもあり「町おこし」の経済効果も期待される。
-
2010
年 -
2010
年押切蓮介『ハイスコアガール』を『増刊ヤングガンガン(のちに月刊ビッグガンガン)』(スクウェア・エニックス)に連載開始。1990年代の対戦型格闘ゲームブームを舞台に、ゲームセンター通いに明け暮れる主人公・ハルと大野晶を軸に、周囲の人々との青春を描いたラブコメ作品。実際のゲームのプレイ画面やキャラクターも登場し、当時を知る世代には懐かしい作品となっている。作者押切蓮介についてはこちらも参照。 -
2011
年石田スイ『東京喰種 トーキョーグール』を『週刊ヤングジャンプ』(集英社)に連載開始。人肉を喰らう「喰種(グール)」が蔓延る東京で、「喰種」の臓器を移植され「半喰種」となった主人公・金木研を中心に、人類と「喰種(グール)」との戦いを描いたダークファンタジー。 続編となる『東京喰種トーキョーグール:re』が2018年まで連載された。 -
2011
年 -
2012
年 -
2012
年 -
2012
年海野つなみ『逃げるは恥だが役に立つ』を『Kiss』(講談社)に連載開始。愛がなくても結婚できる「契約結婚」というスタイルを描いたラブコメ作品。高学歴無職の主人公・森山みくりや、独身をこじらせ「プロの独身」と自称する津崎平匡など、 登場人物たちが現代の社会状況反映した一面ももつ。2016年ドラマ化して大ヒット。「逃げ恥」は流行語にもなった。 -
2013
年大今良時『聲の形』を『週刊少年マガジン』に連載開始。聴覚障害によっていじめられた少女と、そのいじめの中心人物だった少年の物語。人と人とがわかり合うために言葉だけでは伝えられないという表現を描き、「障害」や「いじめ」というデリケートな問題を正面から扱った社会派漫画。 作者大今良時についてはこちらも参照。「このマンガがすごい2015」オトコ編1位。作者大今良時についてはこちらも参照。 -
2013
年 -
2014
年眉月じゅん『恋は雨上がりのように』を『月刊!スピリッツ』(小学館)に連載開始。(のちに、『ビッグコミックスピリッツ』に移籍)バイト先の店長である冴えない男性に想いを寄せる、女子高生の一途な恋模様を描いた恋愛漫画。 2018年アニメ化、同年に実写映画化もされた。 -
2014
年ふじた『ヲタクに恋は難しい』をイラストや漫画の投稿サイト『pixiv』に掲載開始。オタクであったことが理由で失恋した主人公・桃瀬成海は、転職先で同じくオタクの幼馴染・二藤宏嵩と再会し成り行きで付き合うことになる。オタクカップルの不器用な恋愛模様を描いたラブコメ作品。 同サイト内のオリジナルコミックブックマーク数歴代1位を獲得し、2015年一迅社から書籍化。2016年には100万部を突破した。「このマンガがすごい!2016」オンナ編1位。 -
2014
年柳本光晴『響 〜小説家になる方法〜』を『ビッグコミックスペリオール』(小学館)に連載開始。衰退する文芸界で、天才だが破天荒な性格の主人公・響の姿を描いた作品。圧倒的な才能をもって繰り出される小説が社会に影響を与える一方で、人格に難があるため度々周囲とトラブルを起こす天才像が魅力の一つ。2017年マンガ大賞受賞。 -
2014
年 -
2014
年堀越耕平『僕のヒーローアカデミア』を『週刊少年ジャンプ』に連載開始。“無個性”だった主人公・ 緑谷出久が、ヒーローアカデミアの仲間たちとともにヒーローとして成長していく物語。アメリカン・コミックスのヒーローを意識した作風は海外での人気も高い。 -
2014
年九井諒子『ダンジョン飯』を『ハルタ』(KADOKAWA)に連載開始。2013年『ひきだしにテラリウム』がなど第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞した短編の名手による初めての長編連載作品。ファンタジーに登場するモンスターを調理して食べるという一風変わったファンタジー&グルメ漫画。登場する料理には実際の調味料とあわせてレシピを詳細に書いているのが特徴。「このマンガがすごい2016」オトコ編1位。 -
2014
年原作・アネコユサギ 漫画・藍屋球『盾の勇者の成り上がり』を『コミックフラッパー』(KADOKAWA)に連載開始。「盾の勇者」として異世界に召喚された主人公は、冤罪をかけられ勇者としての人望を失い、絶望の底から這い上がっていく展開。原作は小説投稿サイト「小説家になろう」で連載中だったノベル。この「小説家になろう」からの作品は「なろう系」と呼ばれ、同様にライトノベルからコミカライズされヒットする作品が増えていった。※「小説家になろう」は株式会社ヒナプロジェクトの登録商標です。 -
2014
年 -
2014
年 -
2014
年 -
2015
年原作・伏瀬 漫画・川上泰樹『転生したらスライムだった件』を『月刊少年シリウス』(講談社)に連載開始。通り魔に刺され死んだ主人公・三上悟が、異世界の洞窟でスライムとして転生し、捕食スキルを駆使し強大な魔物に成り上がっていく痛快ストーリー。 原作は小説投稿サイト「小説家になろう」で連載されていたノベル。後年、「転生したら〇〇」ブームの先駆け的作品。※「小説家になろう」は株式会社ヒナプロジェクトの登録商標です。 -
2016
年1976年から連載40周年を迎え、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(集英社)が連載終了。同日発売の200巻が最終巻となった。40年間にわたり、一度の休載もなく連載された人気作品の終了は大きな話題となった。 コミックスの発行巻数が多い単一マンガシリーズでギネス世界記録を保持している。 -
2016
年 -
2016
年違法漫画サイト『漫画村』が開設。2017年口コミから爆発的に利用者が増え、その影響の大きさから社会問題に発展。緊急措置として、日本政府は悪質サイトに対しブロッキングを要請。この要請が「通信の秘密の侵害」や検閲に当たるとされ物議を醸したが、2018年4月同サイトは急遽閉鎖された。同サイトによる出版社の被害額は推計約3000億円とも言われている。この違法サイトの問題をうけ、正規版マーク事業組合が正規の許諾を受け配信していること示す「ABJマーク」を制定した。 -
2016
年板垣巴留『BEASTARS』を『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)に連載開始。擬人化した動物たちの学園生活を描いた青春群像劇。愛くるしい動物表現とは裏腹に、肉食動物と草食動物が共存するという複雑な関係を、 種族を越えた恋愛や友情だけではなく根底では理解し得ないという両面で表現した。2018年マンガ大賞受賞。 -
2016
年 -
2016
年 -
2016
年コナリミサト『凪のお暇』を『Eleganceイブ』(秋田書店)に連載開始。会社内で空気を読みすぎ何もできなくなってしまった主人公・凪が、会社を辞め人間関係も全てリセットし、郊外で一からやりなおす姿を描いた作品。2019年テレビドラマ化され大ヒット。第22回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。本作についてはこちらも参照。 -
2016
年原作・白井カイウ 漫画・出水ぽすか『約束のネバーランド』を『週刊少年ジャンプ』(集英社)に連載開始。孤児院「グレイス=フィールドハウス」で育てられたエマ・レイ・ノーマンの3人を主人公に、孤児院の秘密を知ったことで脱獄をはかるファンタジー・サスペンス作品。『このマンガがすごい! 2018』オトコ編 1位。 -
2017
年 -
2017
年原作・山口悟 漫画・ひだかなみ『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』を『コミックZERO-SUM』に連載開始。前世がオタクな女子高生だった記憶を取り戻し、今の世界が乙女ゲーム『FORTUNE・LOVER』の中だと気づいた主人公・カタリナ。 ゲーム内での自身のキャラクターは「国外追放」や最悪「処刑」されるという破滅フラグしなかい悪役令嬢だと気づき、バッドエンドを回避するために奮闘する物語。原作は「小説家になろう」で連載されたノベル。ノベルのイラストレーターが作画を担当しているのも特徴。※「小説家になろう」は株式会社ヒナプロジェクトの登録商標です。 -
2017
年 -
2017
年十日草輔『王様ランキング』を漫画投稿サービス『マンガハック』にて掲載開始。国の豊かさだけでなく国王自身の強さから算定される「王様ランキング」の順位で、国家間の力関係が決まる世界。ボッス王国の第一王子として生まれたが、全聾で非力な少年・ボッジを主人公に、よりよい国王を目指して成長していく物語。「次にくるマンガ大賞 2018」Webマンガ部門にノミネートされSNS上で話題になった。この様子は『脱サラ41歳のマンガ家再挑戦 王様ランキングがバズるまで』にも記載されている。 -
2018
年原作・吉野源三郎 漫画・羽賀翔一『漫画君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)発売。1937年に児童向け教養書として書かれた原作は、今日まで幅広い年代に支持されつづけた名著。2018年一番売れた本として小説版 ・漫画版で累計267万部(2019年度) を突破した。 -
2018
年石黒正数『天国大魔境』を『アフタヌーン』(講談社)に連載開始。文明が衰退した日本で「天国」と呼ばれる約束の地を探す少年少女の物語。「壁に囲まれた施設」と「壁の外側の崩壊した日本」の2つの世界を並行して物語がすすみ、現時点で双方の時系列も明らかになっていないため謎をよぶ展開となっている。 「このマンガがすごい!2019」オトコ編第1位。作者石黒正数についてはこちらも参照。 -
2018
年 -
2019
年遠藤達哉『SPY×FAMILY』をウェブコミック配信サイトおよび漫画アプリ『少年ジャンプ+』(集英社)で連載開始。スパイの父と暗殺者の母、超能力者の娘が、それぞれの目的のために疑似家族を演じるホームコメディ。「次にくるマンガ大賞2019」1位「このマンガがすごい!2020」オトコ編で1位など数々の賞を受賞し、『少年ジャンプ+』内でも歴代屈指のヒットとなった。 -
2019
年きくちゆうき「100日後に死ぬワニ」をTwitterで連載開始。100日後に死を迎えること提示しながら仲間たちと何気なく生きる日常を描くことで、死を身近に感じさせる演出をしSNSで話題に。最終話公開された2020年3月20日はTwitterのトレンドで世界1位となった。2020年4月小学館から単行本が出版されたほか、様々なコラボグッズ、 タイアップ企画が話題になった。
掲載メディアの変化
インターネットの普及とパソコンによる作画の簡便化に伴い、投稿サイトやSNSから作家としてデビューしたり、書籍化しヒットも生まれたりすることが珍しくなくなった。SNSでは読者の反応が直接みえるため、告知ツールとしても活用されている。新聞、雑誌と変遷していった漫画掲載のメディアは、新たな時代に踏み込んでいる。
監修者のもと株式会社イーブックイニシアティブジャパンが独自に調査した見解をもとに構成しており、文責は弊社にございます。
参考文献
竹内オサム・西原麻里 (2016) 『マンガ文化 55のキーワード (世界文化シリーズ〈別巻〉 2)』ミネルヴァ書房葛飾北斎(2010) 『北斎漫画 <全三巻>』青幻舎
中条省平(2020) 『表現の冒険 現代マンガ選集』筑摩書房
斎藤宣彦(2020) 『破壊せよ、と笑いは言った 現代マンガ選集』筑摩書房
細木原青起(2019) 『日本漫画史 鳥獣戯画から岡本一平まで』岩波書店
五味文彦(2017) 『調べる学習百科 鳥獣戯画を読みとく』岩崎書店
金子信久(2020) 『かわいい江戸の絵画史』エクスナレッジ
呉智英(1997)『現代マンガの全体像』双葉社
小学館漫画賞事務局・竹内 オサム(2006) 『現代漫画博物館』小学館
清水勲・猪俣紀子(2018) 『日本の漫画本300年「鳥羽絵」本からコミック本まで』ミネルヴァ書房
高野慎三(2016) 『貸本マンガと戦後の風景』論創社
米沢嘉博(2007) 『戦後少女マンガ史』筑摩書房
松本零士・日高敏(2004) 『漫画大博物館』小学館クリエイティブ
清水勲(2009) 『四コマ漫画―北斎から「萌え」まで』岩波書店
清水勲(1999) 『図説 漫画の歴史』河出書房新社
清水勲(1997) 『近代日本漫画百選』岩波書店
竹内一郎(2020) 『北澤楽天と岡本一平 日本漫画の二人の祖』集英社
みなもと太郎(2017) 『岩崎調べる学習新書 (1) マンガの歴史』岩崎書店
南信長(2008) 『現代マンガの冒険者たち』NTT出版
西村マリ(2015) 『BLカルチャー論: ボーイズラブがわかる本』青弓社
溝口彰子(2015) 『BL進化論 ボーイズラブが社会を動かす』太田出版
加藤 丈夫(2018) 『「漫画少年」物語 編集者・加藤謙一伝』都市出版
中川右介(2019) 『手塚治虫とトキワ荘』集英社
中川右介(2020) 『萩尾望都と竹宮惠子 大泉サロンの少女マンガ革命』幻冬舎
満月照子・桜井顔一(2020) 『日本マンガ事件史』鉄人社
石ノ森章太郎(2019) 『漫画超進化論』河出書房新社
竹内オサム(2005) 『マンガ表現学入門』 筑摩書房
四方田犬彦(1999) 『漫画原論』筑摩書房
ササキバラゴウ(2004) 『<美少女>の現代史-「萌え」とキャラクター』講談社
秋田孝宏(2005) 『「コマ」から「フィルム」へ マンガとマンガ映画 』NTT出版