＜あらすじ＞エリザベス1世の君臨する英国はかつてない演劇熱に沸いていた。その片田舎で育った無学の青年・シェイクスピアはランスと名を変え、個性豊かな仲間たちの才能を結集し、芝居の脚本を書くのだった。それは厳しい階級社会のなかで自由を手にするための戦いだった。イギリス・ルネサンス演劇を代表する劇作家・シェイクスピアの謎に迫る歴史探究ロマン。

＜書店員のおすすめコメント＞本作は『７人のシェイクスピア』の第2部です。本格的に演劇に打ち込むためロンドンへとやってきたシェイクスピアと頼れる6人の助言者たち。せっかく書いた戯曲をいろいろな劇団に持ち込んでもなかなか色よい返事をもらうことができず試行錯誤を繰り返します。自由をつかむための戦いは始まったばかり。彼らの今後の活躍に大いに期待したいところです。

＜あらすじ＞1600年のロンドン。演劇『ハムレット』は今日も劇場を満員にしていた。女王陛下すらお忍びで見に訪れるほどの盛り上がりを見せるこの戯曲を書いたシェイクスピアとは一体何者なのか？　ロンドンを離れ、13年前の港町・リヴァプールへと物語は遡る。言わずと知れたイギリスの劇作家・シェイクスピアの謎に包まれた生涯を描き出す著者初の歴史漫画。

＜書店員のおすすめコメント＞著者初の歴史をテーマにした作品です。舞台は中世の英国。描かれる人物はあのシェイクスピア。これだけでも十分にページを開く価値があります。本作では彼の若かりしころが描かれています。彼を支える個性的なブレーンたちのなかでも中国人少女のリーは謎の多い存在として物語の鍵を握ります。重厚なテーマのなかにも著者の特有のユーモアは健在です。

＜あらすじ＞退屈な日々を過ごす高校生・コユキこと田中幸雄。彼はひょんなことからつぎはぎだらけの犬・BECKとその飼い主の南竜介に出会う。竜介は誰もが一目置く凄腕のギタリストだった。彼の影響からギターを手にしたコユキは、わき目も振らず音楽にのめり込んでいく。やがて頼もしい仲間たちとバンドを結成し、ついには音楽界最高峰の舞台に立つのだった。

＜書店員のおすすめコメント＞完成度や知名度、冊数などから考えると2018年現在の著者の代表作だと思います。物語の扉絵がさまざまなアーティストの名盤のジャケットを模したものになっており、ファン心がくすぐられます。ダイイング・ブリードのボーカルのマットのモデルはいるのかな。ビリー・コーガン？　マイケル・スタイプ？　そんなことを考えながら読んでも面白いです。

＜あらすじ＞中学時代に起こした乱闘事件を理由に野球部に入れずくすぶり続ける高校生・毒島大広は、つねに最下位を独走する不人気球団・京浜アスレチックスにドラフト8位で指名される。プロ野球選手になったもののチーム状態はぼろぼろ。自身もファームへの降格を告げられる。しかし二軍は曲者揃いだった。力を付けたチームはパ・リーグの台風の目となっていく。

＜書店員のおすすめコメント＞野球漫画はたくさんありますが、本作こそが最高の作品であると断言します。万年最下位のチームがどのように状況を克服するのか。ライバルとどう向き合っていくのか。そして主人公はいかにして成長していくのか。終盤にかけては緻密に計算されたゲーム差のなかで物語が進んでいきます。そして主人公は大記録へ。スタジアムに描かれるモブにも注目です。

＜あらすじ＞白武高校に転校してきた謎の男・池戸定治は、ゴリラにそっくりなその風貌から彼に「ゴリラーマン」というあだ名を付けた不良グループのリーダー・藤本たちと、良くも悪くも同じ高校生活を送ることになる。誰よりもケンカが強く、つねに黙して語らないゴリラーマンこと池戸の正体とは。笑いありバトルありで描かれるスクールコメディのマスターピース。

＜書店員のおすすめコメント＞これは「距離感」の漫画です。主人公はほとんどしゃべりません。しゃべらないキャラであることで、読者と主人公のあいだに一定の距離ができます。主人公はクラスの不良グループに溶け込むでも溶け込まないでもない立ち位置にいます。そこにも距離があります。読み進めていくとその距離感が狂ってしまうことがあります。その瞬間がとても心地いいのです。

＜あらすじ＞平凡でつまらない毎日を過ごす高校生・伏見紀人。彼には漫画家になるという夢があった。心血を注いで描き上げた作品が賞を受賞することになり東京の出版社を訪ねた彼は、不思議な力を持つ少女・石堂凛と出会う。彼女は彼の漫画からは登場人物の魂が感じられると告げるのだった。夢と現実のはざまで揺れ動く若者を漫画をテーマに描き出す著者の意欲作。

＜書店員のおすすめコメント＞漫画家を目ざす少年が神秘的な力を持った少女に出会い、人間として成長していくという物語です。テーマとしては一言でくくることはできますが、ストーリーはとても奥行があります。ですが、もう少し掘り下げてもいいのではと思った話しがいくつかありました。それでも、少女の持つ不思議な力と民俗学を結びつけるあたりはとても興味深いものがあります。

＜あらすじ＞大場一良はケンカとカンフー映画が大好きな高校生。学校ではバカイチと呼ばれ、すさんだ生活を送っていた。赴任してきたばかりの初老の教師・関根茂三は彼に才能を見出し、本物の格闘技を教え込んでいくのだった。一人前の格闘家になりバーリ・トゥードの大会に挑戦することになったバカイチ。そして日本の格闘技界の威信をかけた大一番に挑んでいく。

＜書店員のおすすめコメント＞1990年代の中ごろから2000年代にかけて、日本の総合格闘技はかつてないほど大きく盛り上がりました。K-1やPRIDEといった名だたる大会はゴールデンタイムに地上波で放映され、多くの人がそれに釘付けになりました。本作はその黎明期にあたる1990年代中盤に描かれています。著者の格闘技への愛をいたるところに感じることができます。