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土田世紀

1969年3月21日、秋田県平鹿郡大森町生まれ。1986年「残暑」で『モーニング』ちばてつや賞入選を受賞、次いで「未成年」にて『月刊アフタヌーン』四季賞を受賞。
「俺節」や「編集王」「同じ月を見ている」などに代表されるヒット作をとばし、映画化やドラマ化などのメディア展開も多数。人気作家として地位を確立するも、2012年早逝。一見、時代錯誤的な熱く泥臭い作風だが、人間の本質をつくストーリーには心奪われるものが多い。

(六文銭/35歳/♂)

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土田世紀先生の全18作品を掲載!

美しく生きることとは何かを教えてくれました
同じ月を見ている(全7巻)
表紙『同じ月を見ている(全7巻)』 - 漫画
同じ月を見ている(全7巻)
【連載誌】ヤングサンデー

<あらすじ>ある夜、ひとりの少年が1本のペンを手に、少年院から脱走した。その男の名は水代元。2年前のある忌わしい事件の犯人として捕まり、少年院に収容されていたのだ。元は、幼い頃から絵を描くのが好きで、人の心の中に浮かんでいることを絵にできる不思議な少年であった…。数えきれないほどの不幸を背負いながらも、全身全霊で真実の愛を貫き通す男・ドンが見せる、切ないほどたくましい青春像!!

<書店員のおすすめコメント>土田世紀作品は、胸エグるものが多く涙なしで読むこともできないので、非常に濃厚かつハイカロリーなのですが、人生の節目節目に、思い出しては読み直し、号泣し、心に刻まれ、奮起し、またある日思い出して…を繰り返しております。名作と呼ばれるものは、得てしてそういうものなのだと思います。
レビュー1発目は、土田世紀作品の中でも特別な1冊。私的に、墓場まで持っていきたいマンガの筆頭「同じ月を見ている」です。
その内容ですが、悲惨な境遇の中でもひたすら純愛を貫く主人公ドンちゃんと、彼に放火の罪を押し付け少年院送りにした友人てっちゃん。そして、ドンちゃんを想い続ける病弱な令嬢エリ。この3人でおりなす友情と純愛が交差する至高の人間ドラマです。
私、もう何度読んだかわかりません。そのたびに、嫉妬とか欲望とか全く無縁なドンちゃんの美しい生き様を突きつけられ、つまらないことで悩んでいる自分の襟元を正す思いでイッパイになります。
格好とかステータスではないんです。人間の品格は。
頭が良いとか、何かに秀でている必要ないんです。人間の尊さは。
人として、美しく生きていくバイブルとして、一生読み続けるでしょう。

  • 『同じ月を見ている(全7巻)』コマ
  • 『同じ月を見ている(全7巻)』コマ
  • 『同じ月を見ている(全7巻)』コマ
アンケートや数字で面白いものがつくれるのかよっ!
編集王(全16巻)
表紙『編集王(全16巻)』 - 漫画
編集王(全16巻)

<あらすじ>ボクシングチャンピオンの夢を故障で断念した、カンパチこと桃井環八・24歳。幼なじみの編集者に導かれ、バイト見習いで入った漫画の世界で「編集王」を目指す!誰より熱い心を持つカンパチが漫画業界に真っ向から立ち向かう、衝撃の漫画業界コミック!

<書店員のおすすめコメント>見習い編集者になったボクサー崩れの桃井環八(カンパチ)を主人公に、個性的な編集者や漫画家を描いた作品。
特に、出版とは「文化」か「ビジネス(営利)」かという点に切り込んでいく様は、同テーマの他作品とは一線を画し生臭くリアリティの塊です。
主人公カンパチは、つまらなくても売れればいい(売れっ子作家だからいい)とか、業界がもつある種の悪習に反発し、関係者と衝突して…という流れで物語は進んでいきます。個人的に、本作が、名作たらしてめているのは、「文化」と「ビジネス(営利)」の天秤で偏ったスタンスに立っていないところだと感じています。作品としては、感情的なシーンばかり際立ちますが、双方の言い分をきちんと描いており、何が正しいかを誘導せず、読み手に問いを投げかけているようで考えさせられます。「売れる本の何が悪い?」と問いかけた出版社の社長の答えにはシビれました。
いずれにせよ登場人物すべてが肝が据わった信念通す人たちばかりで、何かうまくいかない時とかに読むとスカッとします。

  • 『編集王(全16巻)』コマ
  • 『編集王(全16巻)』コマ
そっと寄り添う優しさ
夜回り先生(全9巻)

<あらすじ>不登校、ドラッグ、リストカット…。闇に飲み込まれていく子供たちを、哀しい目で、優しい目で、見守り続ける教師がいる。全国が涙した感動ドキュメント、ここに初の完全漫画化!病気の母親を支えようと、コンビニで捨てる弁当や、余った給食をもらって回っていたマサシ少年。健気でマジメだった少年は、いつしか隣に住んでいた暴走族のお兄ちゃんの真似事をし始めて、マジメにドラッグを使い、マジメに壊れていった。そんな少年を夜の公園で見かけた夜回り先生は、ラーメン屋のバイトを紹介するなどして、必死に彼を立ち直らせるべく向かい合う…。

<書店員のおすすめコメント>「夜回り先生」と呼ばれる、実在する夜間高校教師・水谷修のドキュメントを土田世紀の豪筆で描いた本作。
悲惨な境遇の子どもたちと、彼らと必死に向き合う夜回り先生の物語に、物悲しい土田節が良い相乗効果を与えています。
社会の闇をあぶり出したかのような内容は、普段実感することがないだけに、読みすすめていくのが辛いです。
が、その一つ一つに夜回り先生が寄り添い、根気強く解決に向けていくさまはある種のカタルシスを与えてくれます。また、全てにおいて何でもできるわけではなく、また被害者一辺倒で寄り添うだけではない様が、真実味を帯びてより納得感が得られます。
正直、読む前は「もっと世の中を知ってください」的な「説教臭い」ものなのかと構えましたが、そんなことはなく夜回り先生の喜びや辛さに、すんなりと染み込んで共感してしまいます。また活字だけではできないマンガという表現の力を痛感します。

  • 『夜回り先生(全9巻)』コマ
  • 『夜回り先生(全9巻)』コマ
男一匹 歌一筋
俺節(全9巻)

<あらすじ>海鹿耕治は好きな女の子にも声もかけられないほど純粋無垢な高校生。卒業間近、就職も決まっていた耕治だったが、自分の武器は演歌(うた)しかないと、歌手を目指して単身上京する。自分の演歌を信じて、故郷の津軽から身体ひとつで上京してきた耕治。さまざまな艱難辛苦を乗り越えて、果たして彼は「演歌の星」になることができるのか!?すべての若き魂に送る感動の青春巨編!!

<書店員のおすすめコメント>生まれ育った青森の小さな港町から一人離れ、演歌の星をめざし七転八倒する主人公コージの軌跡を描いた本作。個人的におばぁちゃん子だっただけに、ばぁちゃんエピソードだけでご飯3杯はいけます。
演歌を題材とした漫画ですが、生き様はなんともパンクです。
馬鹿にされ、笑われ、貶され、転がり続け…現実はうまくいかないことばかり。カラッキシで何一つまともにできないが、歌だけは歌える。だからこそ、圧倒的画力で叩き込んでくる「歌う」描写の迫力が、そのギャップと相まって凄まじく格好いいのです。
汗と涙と時々血をたれ流しながらも、信念だけは譲らない。行くべき道を行く漢の生き様、ここにありです。

『俺節(全9巻)』コマ
心を掴む男とは
ギラギラ(全7巻)

<あらすじ>愛する女性の為にホスト界を去った元六本木の王・七瀬公平。子供にも恵まれ、マンションも購入し、全てがうまく進むはずだったが勤務先の保険会社から突然の解雇通告が!公平は家族の為、再びホスト界へと帰ってきた!!

<書店員のおすすめコメント>会社をリストラされた元伝説のホストが、愛する家族のため再び夜の街で活躍するというお話。
愛する女性のためにホストを辞めたはずなのに、今度は愛する家族を養うためホストに戻るというのが、男から父親へ変わった証なのです。これまでとは違いネオン街の派手な世界を描くかと思いきや、相変わらず生臭いリアルな人間像を描いているのがどこか安心します。
お金儲けとか、女性を食い物にするような絵に書いたホスト像ではなく、女性たちや一緒に働く仲間の心を掴み、ライバルたちに闘争心燃やすギラギラした様は、男として格好いいものです。モテ男のサクセスストーリーは非モテには読んでて辛いのですが、所作や言動など学ぶことが多いのも特徴かと。…真似できるのは、ただしイケメンに限りますが。

  • 『ギラギラ(全7巻)』コマ
  • 『ギラギラ(全7巻)』コマ
自由な青春の焦燥
水の中の月(全1巻)
表紙『水の中の月(全1巻)』 - 漫画
水の中の月(全1巻)

<あらすじ>砥ぎ澄まされた感性と熱い情熱で、俊英・土田世紀が描く“3人の未成年の物語”。「やれ煙草だ、アンパンだ、人殺しだって… 我ァがら不自由になってぐこいつらより、よっぽど自由だスや」 他人を傷つけ、自分が傷つき、思い通りに生きることが儘にならない…。青春とは本当に“自由”な季節なのか? 賢治(ケンズ)、清(キヨス)、与一(ヨイヂ)…。北国の寒村に生まれ育った3人の“未成年”のそれぞれの生き方を描くことを通じて、土田世紀は僕等に問う…。青春とは何かを、人生とは何かを…。

<書店員のおすすめコメント>北国を舞台に幼馴染の青年3人の日々を描いた本作。
賢治が「ケンズ」、清が「キヨス」、与一が「ヨイヂ」と呼び合うように、東北訛りがいつになく色濃いのも特徴です。ただ、この訛りが良いスパイスとなって、田舎特有の閉塞感を加速させてくれます。若者にとって田舎は退屈の宝庫なので、少しでも刺激を求め、タバコやアンパン、喧嘩や抗争に走ってしまう。自由のなかには、ままならない不自由が大多数占めてて、常に足りない何かに苛立っている様は、まさに青春そのものです。
3人の青年が、それぞれの思いで回り道しながらも、最後に見せた漢たちの友情は涙を誘います。

  • 『水の中の月(全1巻)』コマ
  • 『水の中の月(全1巻)』コマ
ジョッキー原作による競馬マンガ
競馬狂走伝 ありゃ馬こりゃ馬(全17巻)
表紙『競馬狂走伝 ありゃ馬こりゃ馬(全17巻)』 - 漫画
競馬狂走伝 ありゃ馬こりゃ馬(全17巻)

<あらすじ>ギャンブル好きな三流ジョッキー・氷室翔(ひむろ・しょう)が、さまざまな人や馬との出会いで一流ジョッキーへと成長していく競馬人情コメディ。いい加減な生活を送るギャンブル好きなジョッキー・氷室翔は、騎手の体重制限で減量に苦しみながらもマイラーズカップに異様な意気込みを見せる。実はそのレースに恋人・アブ美との結婚がかかっていた氷室だったが、真剣に取り組んだレース中に腹を下してしまい……!?

<書店員のおすすめコメント>元天才ジョッキーの田原成貴を原作とし、土地世紀と二人の天才が築き上げた本作。 最初のうちは三流騎手・氷室翔を中心としたギャグ漫画なのですが、途中から氷室の成長を描いた競馬漫画へと変貌していきます。特に八百長疑惑をかけられ競馬界を干されてからの展開がアツイ。
原作者が業界に身をおいたからこそ語れるドロドロな勝負の世界をリアリティーたっぷりに描いており、そこがまた面白いのです。
型破りな二人による少年漫画には出せない大人の苦味をお楽しみください。

  • 『競馬狂走伝 ありゃ馬こりゃ馬(全17巻)』コマ
  • 『競馬狂走伝 ありゃ馬こりゃ馬(全17巻)』コマ
ダメ人間の叫び
土田世紀短編集 ノーサンキューノーサンキュー(全1巻)
表紙『土田世紀短編集 ノーサンキューノーサンキュー(全1巻)』 - 漫画
土田世紀短編集 ノーサンキューノーサンキュー(全1巻)
【連載誌】IKKIコミックス

<あらすじ>ギャンブル好きで無職の大山は、小学生の娘・織江とふたり暮らし。ある日、知人の警察官・蒜山の家に金を借りに行くが、彼は妻と死別して独り身であるにもかかわらず、きちんと掃除の行き届いた部屋に住み、酒のツマミも自分で作れる几帳面な男だった。寂しさを紛らわすため、ゴルフにラジコン、バードウォッチングと趣味に打ち込もうとする蒜山。一方、そんな気晴らしすら見出せない大山は、夜間、街に出かけてはベンツのエンブレムばかりを盗み続ける…。収録作品:ノーサンキューノーサンキュー/バカ/HOTMOON/恋はどうだい/キャット空中一時停止

<書店員のおすすめコメント>全5編の短編集。
器用で要領よく生きられる人よりも、不器用でどこか欠けている人のほうが魅力的だったりしますが、本作もそういう登場人物たちが目白押しです。作者の人間性が滲み出ているのでしょう。唯一無二の感性だと痛感します。
良くも悪くも感情移入してしまい、泣いたり笑ったりできる1冊です。

  • 『土田世紀短編集 ノーサンキューノーサンキュー(全1巻)』コマ
  • 『土田世紀短編集 ノーサンキューノーサンキュー(全1巻)』コマ
衝撃のラストを見逃すな!
吉祥寺モホ面(全1巻)
表紙『吉祥寺モホ面(全1巻)』 - 漫画
吉祥寺モホ面(全1巻)
【連載誌】GAコミックス

<あらすじ>耐え難い「ニオイ」を持つ3人の男が繰り広げる吉祥寺「男臭」コメディー。凄まじい口臭に悩んで自殺しようとした宮城秀樹(みやぎ・ひでき)は、ふとした事で知り合った謎の男・原一平(はら・いっぺい)に止められる。自分の口臭と同じくらい凄いワキガの一平と暮らすようになった秀樹の所に、今度は強烈な屁をこく元刑事・土門(どもん)がやってきて……!?読み切り「番外編噂の武士」「彼の生きかた」も収録。

<書店員のおすすめコメント>身体的な臭いの悩み(口臭がクサい、腋がクサい、屁がクサい)を抱えた男3人が、吉祥寺から太陽の塔を目指す物語。男3人でモホ面とか書かれると、否が応でも「ホモ面」と誤変換しそうですが、正式名称は「モホロビチッチ不連続面」という地学用語で、略して「モホ面」と言うそうです。だから何だと言われればそれまでですが、タイトルの意味がありそうでない感じが良い。全体的にクスリとした笑いを提供してくれます。掲載誌の急な廃刊による衝撃的なラストも見どころです。
特筆点は、作者によるあとがきがあること。作品に対する言及は割愛されていることが多いだけに、これだけで必見の価値ありです。

  • 『吉祥寺モホ面(全1巻)』コマ
  • 『吉祥寺モホ面(全1巻)』コマ
キャンブルが人生だ
せっかちピンちゃん(全1巻)
表紙『せっかちピンちゃん(全1巻)』 - 漫画
せっかちピンちゃん(全1巻)

<あらすじ>パチンコ、麻雀、競馬などギャンブルに励む高校生・ピンちゃんことピン太郎(ぴんたろう)の生き様を描いた青春ギャンブルコメディ。美少女・K子に片想いする高校生・ピンちゃんは、パチンコをしていた時、高校生である事を咎めた店員に虚勢を張り、K子とデートするために頑張ったバイト代2か月分を使い果たしてしまう。その後、仲間達と夏休みを過ごしていたピンちゃんは、意を決してK子へ告白しようとするのだが……!?

<書店員のおすすめコメント>漢の魂の慟哭が聞こえてきそうな、いつもの画風とはうってかわってコメディタッチで描かれた短編集。内容もギャグ寄りが多く、意外な一面が見れます。主人公のピンちゃんはギャンブル人生そのもので、思いつきと、可愛い子にお近づきになりたいだけが行動のすべてです。まるで絵に描いたようなおバカ加減が逆に愛おしい。
思いっきりバカになって読みましょう。

  • 『せっかちピンちゃん(全1巻)』コマ
  • 『せっかちピンちゃん(全1巻)』コマ
心にしみる表現の数々
鐘‐土田世紀秘蔵作品集‐(全1巻)
表紙『鐘‐土田世紀秘蔵作品集‐(全1巻)』 - 漫画
鐘‐土田世紀秘蔵作品集‐(全1巻)

<あらすじ>武闘派ヤクザ・敷島角春(しきしま・かくはる)の壮絶な生き様を描いた表題作の他5作品を収録した鬼才・土田世紀の秘蔵作品集。刑務所を出所した武闘派で知られる極道・敷島は、妻・佐代(さよ)が言った「堅気になって!」という言葉を思い出す。その後、組長へ挨拶に行った敷島は、東京進出を狙う関西ヤクザとの抗争に備えて敷島の組を立ち上げるように言われるのだが……!?

<書店員のおすすめコメント>全6編の短編集。1話完結ものばかりではなく、すっきり読める4話以上の中編作品もあります。
表題作の「鐘」は、まるで往年の任侠映画そのものな展開で、土田節の血しぶき飛び散る抗争劇がみれます。
また、田舎から上京してうまくいかない様を、心にしみる独特の表現で描く「逆子」がまた良い。
実体験がない自分でも、心に深く抉ってくる表現の数々は、その熱量の高さによるものだと痛感します。

『鐘‐土田世紀秘蔵作品集‐(全1巻)』コマ
不器用な男たちの挽歌
鯱 -シャチ-(全1巻)
表紙『鯱 -シャチ-(全1巻)』 - 漫画
鯱 -シャチ-(全1巻)

<あらすじ>寡黙で狂暴な男・津島(つしま)の逃亡劇を描いた表題作と他4作品を収録した鬼才・土田世紀の傑作短編集。運送会社のアイドル的存在であった事務員・美智子(みちこ)を強姦した津島(つしま)は、それを知った会社の男達に囲まれて殴られる。しかしその後、バットを持って反撃に転じた津島は、男達を容赦なく痛めつけ、ついには一人を殺してしまう。そして会社のトラックに美智子を乗せて逃亡する津島は……!?

<書店員のおすすめコメント>全5編の短編集。
死んだ父親の形見のウォークマンには、聞くものを変貌させる不思議な機能がついていて…という「うおーっ苦マン」。クラスでいいようにコキ使われていた、いじめられっ子の復讐という構図ですが、どこか虚しく物悲しい。
その後も、彼女にフラれた男が、兄とキャッチボールして徐々に変わっていく様を描いた「キャッチボール」
同僚たちを殺し、会社のアイドルだった女性と逃亡をはかるという表題作の「鯱」
いずれも、ラストシーン含めて全体的に余韻が寂しい流れがきますが、ゴルバ13というゴルゴにそっくりな馬の話でもっていきます。目元がそっくりです。
ギャグとシリアスで緩急つけてくるので最後まで楽しめる1冊です。

  • 『鯱 -シャチ-(全1巻)』コマ
  • 『鯱 -シャチ-(全1巻)』コマ
土田世紀よ 永遠に
かぞく(全1巻)
表紙『かぞく(全1巻)』 - 漫画
かぞく(全1巻)

<あらすじ>土田世紀がその死の間際まで描き続けた、珠玉のオムニバスショートストーリー。それぞれの「家族」の在り方を、情感豊かなタッチで描いた本作は、とても短編とは思えないほどの感動と余韻を残してくれる。2012年4月24日、氏の急逝によって終了した『かぞく』だが、ここに奇跡の単行本化。天才の最後の仕事を見届けて欲しい。

<書店員のおすすめコメント>急死されるまで、不定期連載されていたオムニバス形式の作品。
基本1話完結で、ある家族の1シーンを切り取った展開。長編にはない、少し物足りない感じが余韻とともに不思議と心地よいです。
作家独特の哀愁漂う雰囲気も、この短さにマッチしてグッドです。
また、8話以降は続きのあるストーリーのようでしたが、ブツっと唐突に終わってしまう様は、著者の早すぎる死を感じずにはいられず、違った意味でも感慨深い作品です。
理屈抜きで、感情の深い部分を揺さぶってくれます。
なんにせよ、土田世紀の作品はやっぱりいい!もっと、もっと読みたかった!

  • 『かぞく(全1巻)』コマ
  • 『かぞく(全1巻)』コマ

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  • ご注意事項
  • ※本ページに掲載している連載中作品の巻数は、2018年11月時点のものです。