【期間】2018/11/30（金）～12/13（木）
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2000年代
グルメ漫画が登場
2000年代には誌面に変化が起こった。グルメマンガが連載陣に加わったのだ。「スペリオール」の『味いちもんめ』や「スピリッツ」の『美味しんぼ』など、兄弟誌でグルメマンガが大ヒットをとばす中、「ビッグコミック」本誌は頑なにグルメマンガを避けてきた。しかし、00年10号からは、はしもとみつおの『築地魚河岸三代目』が登場。07年10号からは増刊号から西ゆうじ＆ひきの真二の『華中華』が移籍。09年1号からは増刊号から山本おさむの『そばもん ニッポン蕎麦行脚』が移籍。作品の幅が広がった。（中野晴行）
『土佐の一本釣り』の青柳裕介・没
1975年から連載が始まり、70年代80年代の「ビッグコミック」の看板作品だった『土佐の一本釣り』の作者・青柳裕介が2001年8月9日に耳下腺基底細胞癌のために亡くなった。享年56。若すぎる死だった。青柳は『土佐の一本釣り』の連載終了後も、故郷の高知県を舞台にした『川歌』などの名作を次々と「ビッグコミック」に発表。絶筆となったのは、やはりビッグに連載中の『まぐろ土佐船』（原案:斎藤健次）だった。（中野晴行）
増刊「ビッグコミック・ワン」を創刊。『鼻紙写楽』が話題に
2001年、時代歴史コミック専門の増刊「ビッグコミック１」が創刊された（09年休刊）。話題になったのは「ビッグコミック」出身のマンガ家・一ノ関圭が03年からスタートさせた10年ぶりの長編『鼻紙写楽』。浮世絵師・東洲斎写楽の謎に、幕府内外にはびこる陰謀劇、名優・市川團十郎をめぐる歌舞伎界のスキャンダルなどを織り交ぜた江戸絵巻。一ノ関圭は本作で16年度の手塚治虫文化賞・大賞、日本漫画家協会賞・大賞などを受賞した。（中野晴行）
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コラム寄稿：中野晴行（なかの・はるゆき）
1954年生まれ。和歌山大学経済学部卒業。
7年間の銀行員生活の後、フリーの編集者・ライターとなる。
1997年より、個人事務所を大阪から東京に移す。
『マンガ産業論』で日本出版学会賞奨励賞、日本児童文学学会奨励賞を、『謎のマンガ家・酒井七馬伝』で第37回日本漫画家協会賞特別賞を受賞。
近著に『まんが王国の興亡
―なぜ大手まんが誌は休刊し続けるのか―』がある。（自身初の電子書籍）