
炭のように真黒の兎が叫ぶ、「晴明を呼べ、呼ばねば喰い殺すぞ!」おなじみの蘆屋道満や盲目の琵琶法師・蝉丸も登場する、大人気シリーズ第15弾!蛇に噛まれてから夜にうなされるようになった渡辺元綱。その声は、かつて元綱が殺した者たちの声であった。(「邪蛇狂い」)藤原兼家が真っ黒な兎を捕らえた。ところが、その毛は日に日に白い部分が増え、しかも凶暴になっていくという。 清明たちが月蝕の夜に訪ねてみると、籠の中に、兎が二本足で立っていた。(「嫦娥の瓶」)月の美しい晩秋の夜、蘆屋道満がどこか淋しそうに一人で酒を飲んでいる。 そこに萱鼠(かやねずみ)や蟾蜍(ひきがえる)が出てきて、落葉の衣をまとって舞い始める。(「道満月下に独酌す」) 今宵も晴明と博雅が、平安の都の怪異に挑む!※この電子書籍は2016年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
陰陽師30周年だそうで、私が読み始めてから1-2年だと思うのですが、今回もほろほろしみじみ良い作品が集まっています。年を重ねるごとに文章の無駄が削ぎ落とされて、かつ円熟味を増した味わいが素晴らしい。
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今年は大好物にありつけた。
次はいつだろう・・・
前回くらいまでは、初期のギラギラは鳴りを潜め、年取ったな~といった枯れた内容に変わってきていた。
今回は、成熟しているというか、心理描写がこまやかに...
短編9編。
晴明と博雅が、ゆるりゆるりと酒を飲んでいると、例のごとく何かしらの問題が持ち込まれるのである。
はっきりとした結果が示されない場合もあるが、それはそれで、余韻が楽しめる素晴らしい作品ばかり...