人気漫画『ザ・ファブル』の実写映画第二弾「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」で、
前作に引き続き主演を務める岡田准一さんに直撃インタビュー!
アクションシーンでは前作以上のチャレンジができたと語る岡田さんに、撮影秘話などを伺いました。
ーー実写映画第二弾となる「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」も、アクション、コメディ、人間ドラマと盛りだくさんな内容でした。撮影はいかがでしたか。
岡田准一(以下、岡田)3つの作品に携わっているような感覚でした。アクションシーンはやはり危険を伴う現場になりますし。でもアクションを作るのであれば、そこにきちんとしたストーリーがないとただ中身のない箱を作っているようなものになってしまうので、そこは意識しました。堤真一さんが敵役を演じてくださり、平手友梨奈さんががんばってくださったのでそのストーリーもしっかり作れました。僕の演じるファブルはそんなお二人の敵役になるのですが、浮世離れしている役柄でいないといけないし、大きなリアクションも返せないキャラクターなので大変でした。ただ今回の映画で描かれる宇津帆編は、ファブルにとっても彼が人間らしく変化する重要なエピソードでもあるのでしっかり演じようと思いました。アクションシーンや主軸の人間ドラマ、コメディと演じる場面によって現場の空気が変わるので、3本の映画に参加しているような感じはありました(笑)
ーー浮世離れしているファブルが人間らしく変化するとのことですが、岡田さん自身がファブルに共感できるところはありますか?
岡田僕は殺し屋じゃないので(一同笑) あまりないですが……ちょっとかわいいところはありますよね。普段はだらけさせて、もっさりとした感じを出して、でもしっかり体は動かせる準備はしてファブルに近づこうとしていました。
ーー今作でもアクションシーンは見どころの一つですが、難易度が高かった・挑戦的だったアクションはありましたか。
岡田僕自身は、特別難しいと感じたものはなかったですかね。というのも1作目を一緒に作ったチームですし、スタッフの皆さんが話を聞いてくださって、江口監督もすごく勉強してきてくださいました。アクションも準備が大切なので、よりしっかり準備ができたからだと思います。
ーー冒頭でいきなり展開されるカーアクションも、観ていると危険そうに思えましたが……。
岡田ドラマ「SP」(2007年フジテレビ)の頃から、車の上で戦いたいと思っていたのですが、道路交通法などの問題でできなくて(一同笑)、今回は駐車場での撮影だったのでできることも多かったですね。とはいっても、走る車にしがみついてちょっとぶつかりそうになっているだけですからね(笑)。
ーーそれは岡田さんだから言えるんですよ(笑)
岡田ははは。でも、従来の日本映画ではやれてこなかったことかもしれないですね。大きなアクションでも、そこにストーリー性があって、それをどう撮りたいかということも構築して撮っていけたのはよかったです。僕はストーリーの中でセリフを言うようにアクションが行われていくことが理想だと思っています。スタッフの皆さんが真剣に考えて、現状でできることの一歩二歩先に行こうとするチャレンジができたっていうのは大きかったと思います。
ーーマンションの足場が崩れてしまう状況の中で少女を救出するシーンも、迫力がありました。
岡田あのシーンもただやるのではなくて、どういうストーリーがあって、ファブルがどう動きたいのかというのを江口監督、アクション監督と話しました。アクションは準備が大事なので、前日に構成しただけではできることに限界があるんです。足場が倒れるなら、どの角度まで倒せるのか、安全面は確保できるのかということをアクション監督はじめアクションチームがたくさん検証して、それを実現する足場を建ててくれる会社が来て……そういう準備を皆さんがやってくださってはじめてできることなんです。その過程も含めて今回はチャレンジができました。現場でパッとすぐにできないアクションが、あのシーンではできたと思います。
ーーアクションシーンを演じる時に心掛けていることはありますか。
岡田普通の人が安全性を考えて6カットほどしか撮影できないところを、僕は倍以上の撮影ができると自負しています。それは経験値があることと、自分の中で「これ以上は危ない」という基準が分かっているので、僕自身ができる・できないの判断ができるからです。それが分からないと、今の時代どうしても安全面を考える必要があるので、やらないとなったり動きが小さくなったりします。演じる僕自身がGOを出せる人間だという信頼が現場でもあったので、スタッフの皆さんとしてもやりやすいのではと思います。これが周りの人の判断になってしまうと、「やらせられないです」となったり、判断に時間がかかったりします。1日で多くのカット数が撮れるというのは自分の強みだと思います。なので、僕自身がギリギリをどう攻めるのかというよりも、周り方々のリミッターをどう外させるかっていうことを意識しました。「大丈夫! 俺、怪我しないから!」って振る舞うことで周りに安心感を与えて、ちょっと超人かのように思われないと現場ではチャレンジできないと思うので。「あの人は超人だから大丈夫だよ」って思われるようなイメージ作りをするようにはしています。
ーーイメージ作りをされているとのことですが、内心では怖さを感じていたりするのでしょうか。
岡田今までやってきたアクションでは、怖さを感じたことはなかったです。危険とはいっても、アクション監督は安全面をすごく意識して準備してくれますからね。今作でも十数メートルの高さの足場の上をぴょんぴょん飛び越えたりもしましたが、命綱を付けているので滑って落ちてもぶら下がるくらいですし(笑) 今までの撮影で、「あれはギリギリだったな」ってことはないですかね。無茶なことは……いや、多少の無茶はしていますが(苦笑)、怪我したことはないです。
ーーアクションシーンとコメディシーンで気持ちの切り替えはどうしていましたか。
岡田シーンによって共演者が変わるので、現場のスタッフの空気も変わりますね。だから切り替えはすんなりできました。
ーー今作最大の敵である宇津帆というキャラクターについて、どんな印象を受けましたか。また、堤さんが演じられる宇津帆はいかがでしたか。
岡田いい意味で気持ち悪くなればいいなって思いました。宇津帆を見た人が「うわ、気持ち悪い」って思えたらすごくいいなと思って、僕も楽しみにしています。役者目線で見ても、宇津帆は演じるのが楽しそうな役だと思いましたし、堤さんご自身も楽しんで演じられていたと思います。堤さんは、僕自身いつもお世話になっている役者さんで信頼もしていますし、大事な時に助けてくださる役者さんです。共演シーンでお会いできたことはうれしかったのですが、今回は敵役なのでうれしさを押し殺しながら現場にいました(一同笑) 僕は、2作目ができるというだけで喜ぶのではなく、やるなら前回以上にチャレンジがしたいと思っています。そんな中で、共演者含め皆さんでチャレンジができたと思える現場だったので、すごくできあがりが楽しみです。
ーー今作でヨウコ、ミサキに加えてヒナコという女性キャラクターが登場します。ヒナコの魅力と、演じられた平手さんの魅力について教えてください。
岡田平手さんは、才能豊かなんですけどネガティブなところがあって、話していると面白い方でした。アイドル出身という点が僕と一緒ですし、色々なことを話しました。彼女は自分が売れたいというタイプではなく、クオリティが高いものを作らないと満足できない人だと感じて、そういう点でも共感できましたし、今後も楽しみな魅力的な方でしたね。ヒナコについては、彼女が囚われていた場所からどう成長していくかの物語が描かれるので、そういう目線で見ると感情移入していただけるのではないかなと思います。平手さんと堤さんが間違いなくこの映画のキーパーソンなので、お二人のシーンをすごく楽しみにしています。
- PROFILE
- 岡田准一
- 1980年11月18日生まれ。大阪府出身。B型。1995年にV6としてCDデビュー。主な出演映画に「永遠の0」(2013年)、「海賊とよばれた男」(2016年)、「関ヶ原」(2017年)、「散り椿」「来る」(共に2018年)などがある。「燃えよ剣」(監督:原田眞人)が2021年10月公開予定。
- 作品情報
- 映画「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」
2021年6月18日(金)全国公開
出演:岡田准一、木村文乃、堤真一、平手友梨奈、安藤政信 ほか
公式サイト:https://the-fable-movie.jp/ (外部サイト)
©2021「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」製作委員会