:ありがとうございます。いつの間に50年経ったんだという感じですね。締め切りを一つ一つ片付けて、気がついたら50年経っていたという感じですね。だから特別な感慨とかそんなにないですね。毎回、締め切りを間に合うように仕上げようという気持ちです。昔は(ペン入れ)が速かった時期もありましたが、最近は出来るだけ時間を掛けていいものをと…まあ言い訳みたいになりますけど(笑)。
:秘訣というのは特にないですけどもねえ。やっぱり、一番大切なのはモチベーションだと思いますね。それがあるうちはまだ描けるかなと思います。『超人ロック』は長い連載ものと違ってエピソードを積み重ねているんですが、最近は昔ほど何て言うか閃きみたいなものがちょっと少なくなっていますかね(笑)。
:そうですね。僕自身はそんなに魅力というのを感じないんですが(笑)、読者の方々が言ってくださるので、まあ魅力のあるキャラクターなんだなとは思っていますけど…。主人公を生かすも殺すも脇役や敵役次第なのですが、彼らの方が重要過ぎてロックより目立つってのはよくあります(笑)。お気に入りのキャラクターをよく聞かれますが、特に気に入ったキャラというのはないですね。というよりも、どれもこれも気に入っています。ロックと他のキャラクターそんなに差がないというか、ロックも登場人物の一人という感じです。僕の中では…。
:描き始めた頃はそのコンセプトで描いていましたね。でも、最近は大きなロマンとか歴史の流れとかいうのは、あんまり意識しなくなりましたね。「宇宙年表」にしても新しいエピソードが加わって、色々と齟齬(そご)をきたしているところがあったりして…(笑)。
:これといったヒントというのは、ないんですけども、きっかけは扉絵なんですよね。「ニンバスと負の世界」の扉絵にロックを描いて、そのキャラクターを見ていてこのキャラクターが活躍する話ってどんなものだろうなあと、色々考えて作ったんですね。まあとにかく、ヒーローだから強くなきゃいけないだろうとか、不死身でどうだろうか、不老長寿なんていうのはどうだろうかとか、色々考えて…(笑)。もちろん、超能力もね。
『超人ロック』(1)「ニンバスと負の世界」より。
©聖悠紀/SG企画
:『超人ロック』は同人の「作画グループ」で発表するために描いたわけで、商業誌として成功する、しないなんていうのは、全然考えていなかったですね。ただ、結構マニアックな話だなと思って描いていましたので、作画グループでもそんなに受け入れられるとは思わなかったんですよ(笑)。
:う~ん、それはどうだったか忘れちゃいましたけれど…(笑)。まあSFは好きで読んでいました。ハヤカワと創元の両方のSF文庫を…。超能力以外も好きで読んでいましたが、何か超能力ものには心ひかれましたね。
:メカはね、割と好きでしたね。見るのは好きでした。描くのも…まあ~大変かなあ、描くのはやっぱり。かっこいいメカを描きたいというのはあるのですが、いざ描き出すと面倒くさくなってしまうという(笑)。メカニックは時間を掛ければ掛けるほど、すごいのが出来るんですけれど、とてもそこまでの根気が続かない…(笑)。写真や何かの資料で自分が気に入ったデザインを覚えていて、それが成熟されて出て来る感じですね。
『超人ロック完全版(2)魔女の世紀』より。
©聖悠紀/少年画報社
:「ニンバスと負の世界」は97ページ。120ページ描こうと思っていましたが…。ひと月と少しかかったかな…。大体毎日描いていましたね。受験の年だったんで…。受験勉強は全然やらなかったですね。マンガばっかし描いてました(笑)。大学は機械科なんですが、正直な話、マンガを描く暇を作るため行っていました。勤めているととてもじゃないけれどマンガなんて描けない。大学が休みになると、大阪のばば氏のところに泊まり込んで、ずーっと描いていましたね。随分、迷惑をかけたなあと思っています。
:「月刊OUT」は一応商業誌という体裁ですが、まあマニア誌ですね。一応ここで商業誌デビューですね。ロックを描いてくれと言われても、最初はあんまり乗り気じゃなかった…。ロックを描いてもどうなんだろうなと。一応描きますってことで「月刊OUT増刊 ランデヴー」に連載を始めたんです。『超人ロック』は完全にマニア向けの作品なので、どういう風に描こうかなという思いはありましたね。
:「ランデヴー」の後、しばらくしてからですね。「少年キング」からオーディオマンガを描いてみないかという話があって…。で、描きましょうって話したら、実は『超人ロック』をやって欲しいという話になった。それで描いたのが「炎の虎」ですね。週刊誌は初めてなので、とにかく10回掲載して何ヶ月か休んでまた10回という形にしようということだったんですよ。まあ、当時は『くるくるパッX』をまだ描いていましたので、いきなり週刊と隔週とを一本ずつというハードスケジュール(笑)。
:超能力のネーミングはそんなに苦労したことはないかな。割りと思いつきで描いていますね。でも、どうしても決まらなかったのもいくつかあります。SF的な設定でいうと「移遷崩壊」とかがありますが、超空間航法の途中でエンジンが壊れたらどうなるだろう。で、それを何て表現したらいいんだろうと考えて名づけた名前です。「移遷」という言葉自体は、E・E・スミスが使っています。
:ははは(笑)。まあ~、適当に考えてやったんです。適当に……。
:まるっきり現実と関係なくすると、荒唐無稽な話になってしまいます。ある程度は現在のちょっと先にあるみたいな感じを残しとかないと、読者が読んでも訳の分からない状態になってしまう。その辺は気を遣って描いています。
『超人ロック クアドラⅡ』より。
©聖悠紀/少年画報社
:読者の反応はあまり気にしないで描いていますね(笑)。初期の頃からひたすら自分が面白いもの、カッコイイものを描いて、たまたまそれが読者の皆様に受け入れられたという形になっています。
:いくつかはあるんですが、まだ具体的になっていないんですよ。海のものとも山のものとも。まだ肝心な話みたいなところが固まっていない。あまり時間は気にしていません。ひょっとしたら、過去の話になるかもしれないですし、遠い未来の話になるかもしれません。やってみないと分からないというところですね。
2017年5月
聖悠紀先生事務所にて