
1782年5月――ブルボン朝フランス王国が黄昏を迎えつつある頃、国王ルイ16世のいとこにして王妃マリー=アントワネットの元総女官長マリー=アメリーは、ヴェルサイユ宮殿の施錠された自室で刺殺体に遭遇する。殺されていたのは、パリ・オペラ座の演出家を務めるブリュネル。遺体は聖書をつかみ、カラヴァッジョ「聖マタイと天使」に血文字を残していた。そして、傍らに意識を失くして横たわっていたのは、戦場帰りの陸軍大尉ボーフランシュだった――。マリー=アメリーは集った官憲たちに向けて、高らかに告げる。「この方の身柄を預けて下さいませんこと? 私のアパルトマンで起きた事件です。こちらで捜査しますわ。無論、国王陛下の許可はお取りしますからご安心下さい」「俺は助けて欲しいと一言も言ってない! 」かくして、奇妙な縁で結ばれた、才女気取りのやんごとなき貴婦人と第一容疑者のボーフランシュ大尉は、謎多き殺人事件に挑む。第10回アガサ・クリスティー賞優秀賞受賞作品
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歴史ミステリー読むのは好きだが書くのは一生無理だと思う。理由は必要な知識の膨大さ。
宗教、音楽、服飾、料理、香水...。
登場人物が多いのに誰が誰だかわからなくならないのもすごい。まあ、皆階級で呼ばれ...
アガサ・クリスティー賞優秀賞受賞作。
フランス革命前のブルボン朝を舞台にした、華やかな印象のミステリ。殺人事件現場に残された血文字、そして被害者にまつわるさまざまな疑惑。容疑者にされたボーフランシュ大...