山本直樹先生の全26作品を掲載!
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怒涛の如く一家に押し寄せる困難から「家族」とは何かを考えさせられる
【掲載誌】「ビッグコミックスピリッツ」
【あらすじ】
鈴木一郎(父)が単身赴任から帰ってみると、母はアルコール漬け、姉はクスリで朦朧としセックスやり放題。しかも、家のなかには不良が入り込んで好き放題をやっていた。すっかり荒廃した家庭を見た父は半狂乱になり……。愛と平和、セックスと暴力──「家庭」こそが、第3次大戦の戦場だった。大反響を呼んだ20世紀最高最後のネオ・ホームドラマ!!
【書店員のおすすめコメント】
父・鈴木一郎は、不良たちに家を占拠され長女が襲われているところに単身赴任から帰ってきた。憤慨した父は一家を守るために奮闘するが、その方法が過剰。警察を始めとする外部の人間をシャットアウトし家族はほぼ監禁状態に。やがて不良どもは撤退するが、その後も家族には次から次へと様々な困難が舞い込む。父本人も家族を守るための大義名分で出社拒否を続け挙句の果てにリストラされる。反抗期の次女は学校でのいじめから家出をする。アルコール中毒の母は新興宗教にのめり込む。紆余曲折を経て一家が改めて家族向き合うとき、彼らの出した答えは? 過激な演出で家族間の問題を色濃く浮彫りにする手腕は流石です!
不良たちに占拠されされた家で長女は薬漬けで弄ばれ……様々な困難が一家を襲う
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耽美的かつ情緒的なエロティシズム……これはもう文学!
【掲載誌】「ビッグコミックスピリッツ」
【あらすじ】
ユキ子は借金のカタとして親に売られてしまい、海場町・町長の妾として彼の家で暮らすことになった。そこには、鳴子と肉彦という、ひと癖もふた癖もある人物たちがいて……『雪子さん』 ほか、短編・読み切りを多数収録。
【書店員のおすすめコメント】
いくつかの物語を収録した短編集。中には連続している話もあったり、ある登場人物が別の話に出てきたりなど、一見繋がりのあるように思える作品も。特に1巻冒頭から始まる少女・雪子の物語は、借金の肩代わりに町長に妾として買われてきたという背徳感のある設定など、エロティックなのにどこか情緒的な作品。まるで文学作品を読んでいるかのような味わい深さが山本作品の魅力なのです。
町長の家へ妾として売られて来た雪子。背徳感と耽美的要素が合わさった文学的作品。
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切ない性春の一ページを思い出す珠玉の初期短編集
【あらすじ】
「童貞田舎者のバイブルでした!!」(松尾スズキ)山本直樹、伝説の傑作短編集! 全7編!! カラー増ページでお届けする、最も美しい「BLUE」。――さてこのように俺(灰野)と九谷さんが屋上でセックスするようになったのは、特に深い理由はないのだが……。「BLUE」「ヒポクリストマトリーファズ」「なんだってんだ7days[家庭の事情の巻]」「197X」「激しい王様」「希望の友」「ずびずば」を収録。
【書店員のおすすめコメント】
かつての有害コミック論争の中心的存在として話題が集まった本作。エロティックな描写はあるものの、一話一話がとても優れた良作揃い。恋愛に満たない状態で身体を重ねる男女の感情のすれ違いなど、その心理描写が切なく丁寧に描かれており、有名人も名著として上げるのも頷ける。エロのみに注目されがちなのが非情にもったいない。老若男女問わず全ての人に一読してほしい。
映画館でクラスメイトと弄り合って……甘酸っぱい性春の描写にときめきますネ。
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エロくて不思議な世界に紛れ込んだ少女の行く先は? 山本直樹的ファンタジー
【掲載誌】「月刊IKKI」
【あらすじ】
荒涼たる砂漠のなかを、ひとり歩く制服姿の少女・南。辿り着いたのは、谷沿いに広がる不思議な町だった。町の番人をしていたふたりの男、西と東に出会った南は、彼らと町で暮らし始める。想像を絶する凌辱の日々を乗り越え、無事“安住の地”に辿り着く日は来るのか……。動き出した劣情のファンタジー!
【書店員のおすすめコメント】
とある街に様々な理由で流れ着いた日本人たちを描く本作。実在しない設定が作中に盛り込まれており、山本作品では珍しくファンタジー要素が強く、舞台となる街も作中に実在しているのかどうかさえあやふやだ。とはいえ、エロはきっちり健在してますので、ご安心を。主人公の少女は戦火巻き込まれ孤児となり体を売りながら生活していたが、二人の男と出会いセックス三昧の日々を送る。全編に退廃的なムード漂うどこか不思議な雰囲気が魅力です。
戦争孤児で体を売り生き長らえてきた南。彼女は無事安住の地へたどり着けるのか?
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綿密な取材による圧倒的な臨場感!
- 第14回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞
【掲載誌】「イブニング」
【あらすじ】
革命を目指す若者達の青春群像劇。この物語の登場人物達は決して特別ではない──。物語の舞台は1969年から1972年にかけての日本。ごく普通の若者達が、矛盾に満ちた国家体制を打破するため、革命運動に身を投じていく。それは、正しいことのはずだった……。激動の学生運動の行き着く先とはどこなのか!? 全ての世代に捧げる、若き革命家達の青春群像劇。雑誌収録時から全ページにわたり、加筆修正した完全版!!
【書店員のおすすめコメント】
1972年に起こった「あさま山荘事件」を題材にした青春群像劇。組織に所属する若者たち一人ひとりにスポットを宛てて事件に関与していくまでの経過が描かれ、エロ要素は薄いが山本直樹を語る上では外せない作品だ。当時の若者の価値観や世界観がリアルに伝わってくるのは綿密な取材と著者の表現力による賜物だろう。主要登場人物にナンバリングがされているのも、中々ハラハラさせる演出だ。
集団の中で狂気が芽生えた瞬間……仲間たちは総括という名のリンチに手を染める。
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【ご注意事項】
- ※本ページに掲載している連載中作品の巻数は、2020年8月時点のものです。
山本直樹(やまもと なおき) 1960年北海道生まれ。早稲田大学教育学部卒業。故・小池一夫氏主催「劇画村塾」に入塾し同人誌活動も行う。青年まんが誌での活動以外に、「森山塔」(もりやま とう)、「塔山森」(とうやま もり)名義で成人向けまんがも執筆。2010年、『レッド』で第14回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。
(書店員:李央奈/40代/女性)