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10年前、立ち止まる穂高にすがって繰り返した最後のお願い。 菫はそのことが今日のような事態を招くとは夢にも思わなかった。 穂高は距離を縮めながら菫のあごを引き寄せる。 「長ったらしく説明するのは嫌いだ。口を開けろ」 バックルが解ける音に菫は焦りながら唇を噛んだ。 「あんたって… そんな人だったっけ?」 「元の俺はこんなんじゃなかった。 かつては 菫の犬と呼ばれたほどだ」 かすかに曲がっていた目尻が一瞬和らいだ。 「だけど、捨てられたからこうなったんだよ」 “…….” 「だからつまらないことはやめて口を開けろ、菫」 菫の唇のラインに沿って徘徊していた穂高のXXが不意に隙間をかき分けて入ってくる。 「10年ぶりにぶち込むお前の口の中はどれほど最高だろうか。 気になって仕方がない。」 * 18歳になった夜、町から忽然と姿を消した佐倉菫。 そして彼女を捜し回った菫の犬、飛鳥井穂高。 互いの人生にひどく絡まり合う二人の物語。
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