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波風を立てることをよしとしない守生光星(モリオ)は、社会人生活に疲弊しバイトを転々としながら流されるように生活している。気晴らしといえば河原で吹くサックス。そんなモリオには、人に言えない秘密がある。実は誘拐犯の息子だ。モリオが中学一年生の秋、身代金目的の誘拐事件を引き起こした父親が死んだ。モリオは事件の起こったこの街を離れ、ようやく三年前に戻ってきた。父に誘拐されたのはモリオの幼馴染で初恋の相手、桐子(トウコ)だった。桐子がきっかけでサックスも始めた。しかし桐子とは事件以来一度も顔を合わせていない。事件後は本音をひた隠し、周囲から浮かないことを第一に暮らしてきた。いつもどおり河原でサックス演奏を終えた帰路の途中、通りかかった墓地で動く影があった。近づいてみると、お墓のひとつの納骨棺を開けようと奮闘する少女がいて――
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