マッチ売り (全巻)
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返って来た本のページにまぎれていた恋文。宛名があるはずの1枚目は無い。文末の署名は本を貸した友人の名。その友人は急に東京を去るという。それは渡せなかった手紙の所為か。手紙を返そうと友人を待つ学生、廣瀬清高。トンネルの向かいにはヤミのマッチ売り、花城青司が立つ。煙草を吸うため花城から燐寸を貰い、待ちぼうけのいきさつを話す。「何一つお前のせいじゃねえよ」と、お人好しの廣瀬に惹かれはじめた花城は――。恋文で人生を狂わされた男たちが絡み合う人間関係と感情の中で選ぶ相手とは。草間さかえ長編連載「マッチ売り」~「やぎさん郵便」の第1巻。
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レビュー
レビューコメント(51件)
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終戦直後のレトロで退廃的なムードがたまりません。久々にこういう匂いの作品に出会ったような気がします。
最初のトンネルのシーンはすごく印象的。もう頭から離れない。廣瀬の詰襟マント姿とか、ちょっと淫らなマ...
草間作品の特徴は、一読すると言葉が少ないので分かり辛いのか?!と一瞬思ってしまうのだが、この人、本当に上手い。何が上手いって、説明を「説明です」とは絶対に描かない所が凄い。モノローグが簡潔で、的確なの...
名人の落語か講談でも聞くような緩急巧みな語り口。粋だ。快い。
そういえば、江戸・明治からそのまま続いているかのような時代の雰囲気を醸し出しているところも心憎い。戦後すぐだと、幕末生まれの世代が未だ健在...