ebook japan

「劇場版 呪術廻戦 0」大ヒット記念 緒方恵美 インタビュー ~苦労してたどり着いた乙骨憂太というキャラクターの答え~

「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の『呪術廻戦』の前日譚にあたる『呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校』(通称「0巻」)をアニメ化した「劇場版 呪術廻戦 0」が公開中。主人公・乙骨憂太を演じた声優・緒方恵美にインタビューを敢行し、異例の大ヒットを記録した本作について今の心境を語ってもらった。

※この記事には「劇場版 呪術廻戦 0」の本編のネタバレが含まれています。まだご覧になっていない方は、ご注意ください。

「劇場版 呪術廻戦 0」はモンスター作品

写真

「劇場版 呪術廻戦 0」は公開52日間で興行収入110億円を突破し、さらに記録を伸ばし続けている大ヒット作品となった。主役を務めた緒方恵美(以下、緒方)は、公開当初から自ら劇場に足を運び、本作の迫力あるアニメーションに「画面にも音楽にも圧倒されました」と感嘆する。

本作を盛り上げるため自らもSNS等で情報を発信しているが、ここまでの盛り上がりを見せていることに対してどのように感じているのか尋ねると「ありがたいことに、昔から“モンスター級のメガヒット作品”に関わらせていただくことがあるんですが」と照れながらもこう続ける。「モンスターになるアニメーションというのは、だいたいできた瞬間から私の手を離れてしまって勝手に暴れられるんです(笑)。もちろん作り上げるところまでは精一杯やらせていただくのですが、自分自身がどうなるというよりは『ああ、こういうふうになっていくのか』と脇から見ている感覚です。」ファンやメディアの力で変わっているのを見て「なるほど」と意外に思うこともあるのだという。

写真

緒方はこれまでも少年から青年へと成長途中の危うさを持つ男子キャラクターを数多く演じてきた。乙骨もまた、幼なじみの里香が怨霊となり自分に憑りついているために人と関わることを恐れていたが、呪術高専に編入したことをきっかけに少しずつ成長していく少年だ。一度は死のうとすらした彼が、物語最後の夏油との戦いでは男として呪術師として成長し、夏油から「女誑しめ」と言われるまでになった。そんな乙骨について緒方は「あれだけ人に気を使って、人を傷つけないようにするというのが主軸だった彼が最終的に『女誑し』と言われてしまうような言葉を吐くところまでいける。どういう変化をすればそこにいけるのか、ナチュラルな形で一本の線にするのが難しかったです。」と難役であったと語る。

写真

TVアニメシリーズから続投するキャラクターも多い中、本作から参加した緒方は一からの役作りをする必要があったのだ。「それっぽいセリフにして、それっぽいセリフを言うことは簡単ですが、それだと中身がない箱になってしまうので、自然なセリフにするためにもともとの彼がどういう人であるのかというのを探るのが一番大変だったところです。おそらく、そういう素養は元からあったんですが、物語がすでに里香ちゃんに憑りつかれているところから始まり、それ以前の乙骨がどういう人間だったのか描かれていなかったので想像するしかありませんでした。最後のセリフの片りんを元から持っている少年である必要があると私は思ったので、そのことを監督と音響監督に質問させていただきました。」と乙骨の芯を捉えるために何度もやりとりをしたのだという。しかし原作にあたる『呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校』は1巻完結の全4話のみのため、「やはりそこは描かれていないことなので、的は縮まりはしたんですがあとはやってみるしかないとなり、やりながら作っていきました。」と手探り状態だったそうだ。そういった中で乙骨というキャラクターの芯をつかめたことは、明確な一つのきっかけでというわけではないらしく、「どこかでというよりは、すべてのことがきっかけで、一つ一つの積み重ねでした」と述懐する。

写真

さらにコロナ禍での収録だったことも、役作りの障害となった。「もともとアニメーションの場合、基本的には本編の流れにそって収録をすることが多いのですが、今回は制限もいろいろあり全てを順序通りにアフレコすることはできなかったんです。そんな事情もあり、途中で自分の中の感覚が微妙にずれていってしまって……『このままだとだめそうだ』と思い、相談してもう一度頭から私だけ別にアフレコをしました。そういう流れの中での一つ一つのことや、合間にどうやったらいいかと考えたことが全部合わさって、あの形になりました。」と、アフレコ時の苦労を明かす。そうした苦労の中で緒方が演じた乙骨というキャラクターが、ファンにどう受け止められたのか。メディアやSNSをはじめとした世間の盛り上がりや数字としての記録を見れば、答えは明らかだろう。

TVアニメ第2期決定には「作品をお戻しした」感覚

写真

2022年2月12日(土)に行われた大ヒット御礼舞台挨拶ではTVアニメ第2期が2023年に放送されることが発表された。ファンの前で嬉しい発表ができた心境を尋ねると、「『呪術廻戦 0』は出発点の物語ではありますが、『呪術廻戦』がここまで人気になっているのは原作の力と、それをアニメにしたスタッフチームをはじめとした声優陣のおかげですし、私はそこに乗っからせていただいただけです。」と謙遜。「私はつなぎのような立場というか、作品をお戻ししたという感覚。皆さんが作ってくれた世界の続きを、一視聴者として楽しみにしています。2期の意気込みは(本編主人公・虎杖悠仁役の)榎木(淳弥)くんに聞いてあげてください。(笑)」と作品が続いていくことの喜びを語っていた。

どんなにキャリアを積んでも、一つ一つの役に真摯に向き合っている緒方。声優として、「これだけは誰にも負けない」ということはあるのか尋ねると「そんなことを言える声優がいるんでしょうか」と苦笑して「そう思っていただけることがあるのだとしたら、皆さんが思うことがそうなのだと思います。私が負けないと言えることといえば『どこででも寝られること』くらい? 路上でも眠れますし、状況が状況ならトイレでも眠れると思う。もちろん普段はやらないけど。(笑)」と一同の笑いを誘っていた。さらに本作の共演者については「みんなそれぞれすごいところを持っている役者ばかりだと思います。『呪術廻戦』にはすごくない人がいなくないですか(笑)。みんな“特級”の人ばかりです。」と、『呪術廻戦』で呪術師の階級を表すワードを交えて尊敬の念をあらわにしていた。

名シーンで一言!

幼少期の乙骨と里香

幼少期の乙骨が里香と過ごした時間が四季で表現されているのがアニメーションならではの演出で印象的だ。緒方は「原作では里香ちゃんが生きていた頃が多く描かれているわけではないのですが、劇場版でそういうシーンが増えたおかげで(乙骨の里香への感情が)『こういう好きだったんだな』というのはつかめました。」と劇場版のオリジナル要素が役作りの手助けになったと語った。

乙骨と夏油の戦闘シーン

コロナ禍のため全員とまではいかないが、敵役となる夏油傑を演じる櫻井孝宏は一緒にアフレコができた出演者の一人だったそうで「彼はもちろん一緒にアフレコしたことによって引き出されたものは、すべての役者さんとの中でありました。」と感謝を述べる一方で「それは以前なら当たり前のことではあったんですが……。」と、なかなか以前のように収録ができないことへの悔しさも覗かせた。

撮影:髙木直子取材・文:安藤康子

■ プロフィール

写真
緒方恵美
東京都出身。ミュージカル女優として活動後、声優に転向。1992年、声優デビュー作となったTVアニメ「幽☆遊☆白書」の蔵馬役、社会現象となった「新世紀エヴァンゲリオン」の主人公・碇シンジ役をはじめ美青年を数多く演じる。ラジオパーソナリティーや歌手としても活動中。

■ 作品情報

映画ビジュアル
「劇場版 呪術廻戦 0」
  • 原作:『呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校』芥見下々(集英社 ジャンプ コミックス刊)
  • 監督:朴 性厚
  • 脚本:瀬古浩司
  • 制作:MAPPA
  • 声の出演:緒方恵美、花澤香菜、小松未可子、内山昂輝、関 智一、中村悠一、櫻井孝宏、ほか
  • 公式サイト:https://jujutsukaisen-movie.jp/(外部サイト)

© 2021「劇場版 呪術廻戦 0」製作委員会 ©芥見下々/集英社

PAGE TOP