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テセウスの船ドラマ化記念

『テセウスの船』作品紹介

  • 1989年6月、北海道・音臼村の小学校で、児童含む21人が毒殺された。
    逮捕されたのは、村の警察官だった佐野文吾。
    28年後(ドラマでは31年後)、佐野の息子・田村心(しん)は、死刑判決を受けてなお一貫して無罪を主張する父親に、冤罪の可能性を感じ、独自に調査を始める。
    事件現場を訪れた心は、突如発生した濃霧に包まれ、気付くと1989年1月にタイムスリップしていた――。

主な登場人物

  • 田村心(しん)

    本作の主人公。
    28年前に父親が起こしたとされる
    無差別殺人事件を独自に調査する。

  • 佐野文吾

    心の父で元警察官。
    無差別殺人事件の犯人として、
    死刑判決を受ける。

  • 田村由紀

    心の妻。
    心を励まし、支えた。
    娘を出産後、死亡。

  • 田村由紀

    心の母。
    事件後、女手ひとつで心たち3人の子供を育てる。

  • 佐野鈴

    心の姉。
    無差別殺人事件によって、
    同級生の多くが死亡する。

名場面でたどる序盤あらすじ

  • 夢はもう諦めた 殺人犯の息子じゃ無理なんだよ

    音臼小無差別殺人事件が起こったとき、心はまだ母親のお腹の中にいた。

    事件後は、犯人の家族だと周囲にバレるたびに、借金して引越して転校して……。

    母は、女手ひとつで苦労しながら、心たち3人の子供を育ててくれた。

    やがて心は、由紀という最良の伴侶を得る。

    しかし、父・文吾の冤罪を信じ、心の夢を応援する由紀に対し、心は諦めの言葉を述べるのだった。

  • パ…パパだよ……パパだよ……!

    娘の出産をひかえ、家族を幸せにする決意をする心。

    しかし、その思いも虚しく、出産直後に由紀が死んでしまう。

    もともと結婚に反対だった由紀の両親は、産まれたばかりの子を引き取ると主張。

    この子にとっては、その方がいいのかもしれない。犯罪者の家族にならずにすむから……。

    諦めかけた心に、わが子は無邪気な笑顔を向けてくれた。自分を信じてくれているのだ!

    心は、改めてこの子を全力で守り抜く決心をする。父の冤罪を証明できれば……。

    28年前の事件の真相を探るため、刑務所にいる父親に会いに、北海道へ旅立った。

  • 佐野…!俺の……父親

    父親の弁護士に会う前に、事件があった音臼小の跡地に立ち寄った心は、濃霧に遭う。

    霧が晴れた後の景色は、何かが違う。目の前には、取り壊されたはずの校舎が建っていた。

    街をさまよっていた心は、雪に埋もれて気を失っている少女を発見し、病院に運んだ。

    それは、28年前の、姉の鈴だった。心は、なぜか1989年にタイムスリップしていたのだ!

    呆然とする心の前に現れた一人の警察官。それは28年前の、父親の文吾だった。

  • 過去が変わった…!

    姉の鈴は、本当は新聞配達員に助けられるはずだった。

    そして、このときの凍傷の痕が、顔の広範囲に残るはずだった。

    しかし、タイムスリップした心に助けられた鈴の顔には、わずかな霜焼けの痕があるだけ。

    過去は変えられる――

    21人が死んだ無差別殺人事件だけでなく、その前に起きた数々の事件も、防げるかもしれない。

    過去を変えたら、未来はどうなるのだろう?

  • きっと意味があるんだよ 心さんがここに来たのには意味があるんだ

    鈴を助けた縁で、28年前の家族が住む家で暮らすことになった心。

    しかし、自分がタイムスリップした家族であることは、口に出すことはできなかった。

    父親は、本当に殺人犯なのか?

    突然現れた若い男は、何者なのか?

    最初はお互いに疑いの目を向けていた心と文吾だったが、やがて心(こころ)を通い合わせるようになる。

    この人は、人殺しではない――。

    そう確信した心は、文吾にだけ、タイムスリップしてきたことを明かす。

    そして、これから起こるはずの事件を、一緒に未然に防ごうと決意する。

  • また邪魔者がいた…… このところ毎日邪魔者がいる……

    心は文吾に、これから起こる事件を少しずつ話し、事件を防ぐための行動をとっていく。

    それは、真犯人を苛つかせた

    未来は、少しずつ姿を変えていっている。

    それは、幸せな未来なのか、それとも……。

果たして、無差別殺人事件は防げたのだろうか?過去を変えたら、未来の自分は、家族は、同じ存在であるといえるのだろうか?二転三転する展開、意外な真犯人、そして衝撃のクライマックスへ!!

『テセウスの船』©東元俊哉/講談社