物語をより一層魅力的にするキャラクターたち。例えば名探偵ホームズとその助手ワトソンのような名コンビは彼らだけではありません。早川書房珠玉のミステリ・サスペンス作品から、主要キャラクターふたりの、相棒、親友、依存関係など、様々な魅力的な関係性に注目した5作品を選定!それぞれの作中イメージを、吹屋フロ氏によるイラストでご紹介いたします。
『霊応ゲーム』(パトリック・レドモンド)
英国・パブリックスクール学ぶ、真面目で、しかしそのためにいじめられてしまう少年・ジョナサン。唯一の頼りの綱だった父親も、再婚して自分の一番の味方ではなくなってしまった――そんな孤独な彼が出会ったのが、周囲に憎らしく思われるほどの天才であり、誰ともつるもうとしない孤高に生きる少年、リチャードだった。二人は、寄宿舎の中でお互いを世界中でたった一人の友だちであるかの様に依存しあい、その関係はいつしか恐ろしい形に歪んでいく――。
『鋼鉄都市』(アイザック・アシモフ)
ロボット嫌いの中年刑事のイライジャが、「正義回路」を挿入された人間そっくりのアンドロイド・ダニールとコンビを組まされた!「正義」――ロボット的な定義で『全ての法の定めるところ』を追い求め、とことん理性で動く、まるで「超人探偵」の様に見えるダニールにイライジャはコンビを組んだ瞬間から反発しながらも、お互いの言葉に耳を傾け、それぞれの世界を少しずつ理解し始める――二人は事件を解決できるのか?
『特捜部Q ―檻の中の女―』(ユッシ・エーズラ・オールスン)
かつて捜査にあたった事件で部下を失い、闇を抱えるようになった陰気な刑事・カールと、彼についたたった一人の助手である、料理に掃除、格闘まで謎の万能スキルを持った経歴不明の陽気なシリア系の部下・アサド。人に語れぬ過去をお互い抱えつつまったく似ていないふたりが未解決重大事件を追う!
『ねじれた文字、ねじれた路』(トム・フランクリン)
内気で、ホラー小説を好む白人の少年、ラリー。活発で、スポーツ好きな黒人の少年、サイラス。すべてが対照的だったけれど、ふたりの少年は友だちになった。しかし、ある日町で起きた少女失踪事件の被疑者とされたことによってラリーは孤独な人生を強いられることになり、二人の仲も遠ざかった。すべてを忘れて生きようとしながら治安官になったサイラスだが、とある事件によってふたりの運命は再び絡み合う――
『ファイト・クラブ』(チャック・パラニューク)
平凡な日々を鬱々と送る青年「ぼく」は、破壊衝動の塊であり、人々をあざやかに操るカリスマ的な存在である・タイラーと出会い、その世界が一変する。タイラーは、男たちが殴りあい、生を確かめるための場所「ファイトクラブ」を生み出した。「ぼく」は、タイラーと共に殴り、殴られながら、国中を破滅に巻き込む巨大な計画に引きずりこまれていく。