全9作品 「おげれつたなか」といえばこれ!書店員おすすめの1冊
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ビッチでピュアな(!?)青春群像劇☆
【掲載誌】ルチル
BL
【あらすじ】
山奥の全寮制男子校に転入した遠野。気さくに声を掛けてくれた矢口が唯一の友人となるが、球技が苦手なために矢口のいるサッカー部ではなく一番ラクそうな写真部に入る。だがそこは写真部とは名ばかり、キャラの濃い先輩たちがひしめく通称「ヤリチンビッチ部」だった! 一見お下品だけど、不器用でピュアな恋愛事情がめくるめく青春ストーリー!!
【書店員のおすすめコメント】
強烈なタイトルにひるまず読んでいただきたい!
登場キャラクターも強烈で、「ヤリチン☆ビッチ部」(通称ヤリ部)の先輩たちだけでなく、ヤリ部副部長・百合にストーカー行為を働くジミーなど、キャラクターが濃くてとにかくにぎやか! とはいえ、それだけでは終わらないのがおげれつたなか作品です。
各キャラクターそれぞれに心の闇や複雑な恋模様が描かれているので、明るい雰囲気の中に垣間見える“陰”の描写がドラマに奥行きを出しています。意外にピュアで不器用な男子校生の恋とタイトルとのギャップに、読み進めるほど引き込まれること間違いなし!
個人的にはやはり、主人公の遠野と加島・矢口の同級生三角関係が気になるところ…! 他にも様々なカップルが登場するので、ぜひお気に入りのカップリングを見つけていただきたいです。 -
「友達」から「恋人」になったら、その先は――?
【掲載誌】ビーボーイコミックスDX
BL
【あらすじ】
何度離れてもまた君を好きになる。「性欲処理」呼ばわりされて別れた元カレ太一と、大学でまさかの再会を果たした直人! ガッツリ過去の怒りを引きずっていた直人だったけど、高校時代に比べ成長した太一に少しずつ心を許し始める…。そんな中、友達のふみちゃんが太一に恋しているらしく…? 友達だと相性バツグンなのに“恋愛”になった途端うまくいかない、傷だらけの恋愛譚! コミックス描き下ろしは“おもらし”です★
【書店員のおすすめコメント】
本作の直人と太一は、「友達」と「恋人」の関係を行き来して、悩みもがきながらも2人で一緒にいるための方法を探します。まさに人生の旅の途中を描いているような物語です。
同性の恋人が将来を共にすることには、家族や周囲の理解が必要。考えれば当然のことですが、なかなか描くことが難しいこの命題をまっすぐに描き切るのが、おげれつたなか先生なのです。2人が「恋人」になった先を真摯に考えて、導き出した答えはまさに“ボーイズラブ”の終着点。いえ、もはやボーイズラブも超えた人間ドラマとも言えるのではないでしょうか。まるで一つの映画を見終わったような、胸がいっぱいになる読後感を味わえます。 -
本気の恋は痛くてつらいものなのかもしれない
【掲載誌】シェリプラス
BL
【あらすじ】
今日も殴られた。恋人のかんちゃんに。でもそれは別にかまわない。俺の恋なんか、ふたり分の体液で錆び付いてるんだ。そんな錆びた俺の前に、中学の同級生、真山が現れて、そしたら急に俺は気になった。自分についた青あざとか、傷跡が。だってお前はあの頃と同じなんだ。俺をキスだけで動けなくした、あの雨の日と──。甘いだけの恋なんかじゃ物足りない。おげれつたなかが描く、イタイの覚悟の本気の恋の物語。
【書店員のおすすめコメント】
高校からの恋人・かんちゃんにDVを受けている弓は、中学の時の同級生・真山と偶然にも再会。暴力を振るわれていたって平気だと思っていた弓ですが、真山だけはそんな弓の本心を見ようとしてくるのがいたたまれない。弓が本当に痛くてつらいのは、殴られることではなくて、本当の自分を見せられないことだったのではないでしょうか。みっともなくても、本当の自分を知られることが怖くても、それでも一緒にいたいと思うことが恋なのだと、痛いほどに伝わってくる作品です。
本作ではつらい役回りだったかんちゃんは、その後「ほどける怪物」(『恋愛ルビの正しいふりかた』収録)、『はだける怪物』で描かれるので、そちらもぜひ読んでいただきたいです。 -
誰かを想って泣く、涙の表現に注目してほしい
【掲載誌】シェリプラス
BL
【あらすじ】
「この泣き顔が見たかったんだ。」高校時代、暗いメガネだった俺に、図々しく絡んできた、黒歴史・鷲沢夏生。数年後、俺は夏生に再会して告られた。これはチャンスだ。付き合って、惚れさせてズタボロに捨ててやる!(「恋愛ルビの正しいふりかた」)/「どうせ、また殴って終わる。」夏生と高校時代につるんでいた林田は、会社のチャラい後輩・秀那を、酔った勢いで誘惑し、セフレになった。転職前、恋人を殴っていた林田。後悔の数だけ開けたピアスだらけの俺を、おまえはずっと抱けるのか──?(「ほどける怪物」)/傷だらけの恋を涙で洗う、おげれつたなかの不器用な恋の物語。表題作ほか「錆びた夜でも恋は囁く」スピンオフ収録!
【書店員のおすすめコメント】
学生時代、暗くてダサいキャラだったヒロは卒業後にイメチェンしてリア充に生まれ変わるも、かつて自分に絡んできたヤンキー・夏生と再会してしまいます。同級生だと気付かないまま自分に告白をしてきた夏生を、あとでズタボロに捨ててやるために付き合うことにしたヒロ。そして計画通り、こっぴどく振ってしまうのですが……。
ヒロは夏生を振ってから、付き合っていた日々が楽しかったこと、本当は昔から夏生と話がしたかったことなど、自分の気持ちをようやく自覚します。人は失ってから大事な存在に気付くものですが、そこから動き出せるかはその人次第です。ヒロは夏生を失いたくないと部屋を飛び出せたからこそ、幸せになれたのだと思います。
本作で触れておきたいのは、おげれつたなか先生の涙の表現力です。ご紹介している画像は夏生の泣き顔ですが、その後にヒロが涙するシーンはこちらも自然と涙がこぼれてしまうほどで、そこに至るまでの演出も素晴らしいです……。ぜひ泣き顔にも注目してみてください。
本書では表題作ほか、『錆びた夜でも恋は囁く』で登場したかんちゃんの次なる恋を描く「ほどける怪物」も収録されています。 -
ようやくここまでたどり着いた――
【掲載誌】シェリプラス
BL
【あらすじ】
セフレから始まって、恋人同士になった秀那(しゅうな)と林田(はやしだ)。そんなある日、秀那に大阪支社への転勤の辞令が出て……。ピアス跡だらけの『怪物』林田と、器用な恋しか知らない秀那。おげれつたなかが剥き出しにする、「好き」のその後の物語。林田が秀那と出会うよりずっと前、「かんちゃん」だった頃の恋が腐食していく日々を描いた『はだける怪物』前日譚「薊」(あざみ)を収録した特装版! 「薊」は2015年刊行の同人誌を復刻したもので、リバ表現があります。
【書店員のおすすめコメント】
『恋愛ルビの正しいふりかた』収録の「ほどける怪物」でセフレから恋人になった林田と秀那は、秀那の大阪転勤により遠距離恋愛をすることに。秀那は京都で林田の元恋人・弓と出会い、林田がまだ弓のことを忘れていないことにわだかまりを感じて――。
林田はかつて恋人に暴力を振るっていた過去を忘れられず、弓もまた恋人のかんちゃん(林田)を支えられなかったことを今でも悔やんでいます。その過去と2人がどう向き合っていくのかは本編を読んでいただくとして……。
『錆びた夜でも恋は囁く』で弓と別れた林田が、「ほどける怪物」そして『はだける怪物』を経て、ようやく幸せを手にできます。つたない恋心が、傷ついてぼろぼろになりながら成長して“愛”になる過程を見せていただきました……。一方で、これまで器用な恋愛しかしてこなかった秀那が、林田にだけは1番でありたいしかっこつかなくなる、彼もまた本当の“愛”を知ることになるんですよね。ぜひシリーズ通して読んでいただきたいです。 -
これぞリアルなボーイズラブ
【掲載誌】Dear+
BL
【あらすじ】
床ごと鼓動しているようなクラブで緒方(おがた)は、客のひとり、サヤと出会った。サヤはいつも違う女を連れた、アンバー色の肌をしたギャル男。正直、苦手なタイプだった。ところが、偶然サヤに金を貸し、お礼に手料理の朝食をおごってもらうことになる。真夜中に見る軽薄なサヤとはちがう、ていねいに作られた食事。緒方は加速度的にサヤに惹かれるが──。「ごめん」というひとことが胸にささる、おげれつたなかの真夜中生まれの恋の物語! 雑誌掲載時のカラーを再現したデジタル版限定仕様!
【書店員のおすすめコメント】
クラブでホールスタッフとして働く勇介は、感情が顔に出にくいタイプで、「もっと楽しそうにしてよ」と彼女に振られたばかり。クラブで出会ったチャラ男・サヤはなぜかそんな勇介の表情の変化が分かり、人懐っこい笑顔に惹かれていく勇介なのですが……。
互いに惹かれ合って身体も結ばれてハッピーエンドとはいかないのが本作のポイントです。ノンケだった男が、同性を抱くのに抵抗を感じてしまうのは十分にありえる感情だと思います。それでも一緒にいたいから、と一度の失敗を経て本当に結ばれるまでを描いていて、そこにあるのは“リアルなボーイズラブ”だと感じました。こういうリアルさを追求するのがおげれつたなか先生のすごさだと思います。 -
嫉妬と恋の間で浮き沈みする心に思わず共感
【掲載誌】ビーボーイコミックスDX
【あらすじ】
不器用で部屋も汚くて鈍感で、でも5年間、俺だけを好きだった。専門時代、才能に嫉妬していた相手・要と社会人になり再会した三咲。学生の頃、キスしてきた理由を聞きだしたところ、「キスなんて好きだから以外の理由はないだろ?」と何やらお怒りのようで…?一途に愛を捧げる天才型童貞攻×努力家な嫉妬型パンピー受単行本描き下ろしはギョーカイ飲み会。
【書店員のおすすめコメント】
自分より才能ある者に対して感じる嫉妬心というのは、誰しもが覚えのある感情ではないでしょうか。
そんな嫉妬心と恋愛感情の葛藤に苦しむのが本作の三咲というキャラクターです。ゲーム会社で3Dモデリングをすることが夢の三咲は、専門学校で自分より才能のある同級生・要と出会います。自分よりすごい作品を難なく作ってしまう要に憧れる一方でドロドロに嫉妬して、けんか別れをするも4年後に再会。作品作りへの情熱がある2人は再び意気投合して恋人のような関係になるも、三咲はどうしても要の才能に嫉妬してしまい――。
おげれつたなか先生はこういった、誰もが持ち得る心の暗い部分を浮き彫りにして物語のスパイスとするのが本当にうまいです。なので読み手の私たちはキャラクターの感情に自然と引きずられ、切なく悲しい気持ちにもなり、それを乗り越えた時は心から幸せを感じるとができるのではないかと思います。 -
恋をすると誰しも「バカ」になるものです
【掲載誌】ビーボーイコミックスDX
BL
【あらすじ】
バカな子ほどカワイイ。32歳、童貞処女にして初めて恋人できました。大学生の彼氏はカワイイんだけど、外でキスをねだってきたり、とってもグイグイくる。もしかして俺のこと“慣れてる”って勘違いしてる?これは、ちょっと、いやかなりまずいぞ…?ガツガツ系わんこ×ビビり系カフェ店員の表題作、ほか高校生のバカなくらい真剣で切ない恋をお届け!
【書店員のおすすめコメント】
誰かを好きになると、臆病になったり、かっこつけようとしたり、そんなところもかわいく見えちゃったり…そういう恋愛ならではの感情の機微を「バカ」って表現すると、なんだかすごーく愛おしく感じてしまいます。表題作はそんな「バカ」な2人のお話。32歳で童貞処女の真木は、初めてできた大学生の恋人・佐山から恋愛慣れしてると思われていることに悩み、それでも必死にリードしようとして失敗……。でも恋でバカになっている2人には、別れの心配なんていりません! 恋って無敵ですね。ちなみに作中に登場する佐山の大学の同級生が『エスケープジャーニー』の直人と太一で、同作に佐山も出てくるので、そのあたりもチェックしてみてください。
表題作ほか、外面はいいのに好きな幼馴染に素直になれない男子×自分にだけ当たりの強い幼馴染に悩む根暗男子の「外面だけは王子様」、嘘をつく人が嫌いな潔癖男子×彼氏に元ヤンであることを隠している泣き虫男子の「泣けないうそつき」も収録。
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【ご注意事項】
- ※本ページに掲載している連載中作品の巻数は、2021年1月時点のものです。
2014年、『恋とはバカであることだ』(リブレ)でデビュー。明るいコメディ作品から切ないラブストーリーまで、多彩な作品を繊細な心理描写と美麗な絵柄で描く。「Pixiv」で不定期連載され幻冬舎コミックスから単行本版化された『ヤリチン☆ビッチ部』はアニメ化もされた。たなかマルメロ名義で一般作『俺たちマジ校デストロイ』(KADOKAWA)を発表、卓球戦国時代が舞台のプロジェクト「FAKE MOTION -卓球の王将-」でキャラクターデザインを手掛けるなど多岐にわたって活躍中。
(出版営業:ふじやす/30代)