<あらすじ>80年代初頭。老舗材木問屋の裏の顔である悪の秘密組織「電柱組」は九州某県で破壊活動を開始。県はこれに対抗すべく、ヒマな高校の野球部員を県立地球防衛軍に仕立て上げた。電柱組の改良人間はそろって変態ばかり、一方の防衛軍も名ばかりの適当さで戦闘は毎度バカバカしさ全開。はた迷惑なだけのこの無意味な争いはどう決着する?
<書店員のおすすめコメント>サブタイトルやキャラ名からもわかるように、特撮ネタでも有名な作品。しかしそこがこの漫画のツボじゃないんです。危ないネタを大仰にさらして笑いに変えてしまう。これこそがこの漫画の真骨頂だと思うのですよ。(両親が)「羽田空港で照明弾を喰らって死んだ」なんてサラッとだすし、変態という人種は完全にイカレれた非常識な行動をするのだ、と描いてしまう。この辺りのギャグ感覚は独特で、この漫画以前には感じたことのないもの。また著者本人がノリノリで描いているのが手に取るようにわかるのも良い。今では描けないネタ満載の、良い時代に生まれた傑作です。
<あらすじ>昭和末期。陸軍中野学校受験のために上京した予備校生の酢堂大雑は、中野学校が既に存在しないことを知り枕返高校へ編入。そこで先輩の有川雄妻と再会し秘密国家「南蛮帝国」の存在を聞く。よくわからない因縁のもと大雑ら陸軍中野予備校生は、南蛮帝国の構成員と、特殊能力を無駄に使うしょーもないバトルを展開。ついに因縁の決着を迎える。
<書店員のおすすめコメント>週刊誌に連載、ということで本来の持ち味であるスレスレ感が薄まってしまったかな…、と正直思っていたんですが、中盤で登場する主人公のお兄ちゃんがそれをぶっ壊してくれました。その名も酢堂玉金。自分の名を名乗ってぐわっはっはっはー、て言っているだけでも十分変態チックなのに、その名の通りエロ坊主なのですから始末に負えない。本作に足りなかった猥雑さを補ってくれます。まあ、出てくると主役が霞んでしまうのは安永漫画の常なんですが…。あと余談ですがこの作品の5巻と最終巻の6巻が出る間には約4年の月日が流れています。でもファンは出るだけましと思ったそう。…ええ、私もそうですよ。
<あらすじ>女子高生の恭塚まさ子は、容姿端麗、学業優秀、運動万能で裁縫も得意と才色兼備。しかし貧乳なためにふられてしまう。これがきっかけとなり、まさ子は巨乳への恨みを晴らすため、巨乳女生徒のパイ拓を取る巨乳ハンターへと変身。自作した怪しげなコスチュームとゴーグルに身を包み、胸に肉まんを詰め込んで、今日も巨乳を求め徘徊するのだった。
<書店員のおすすめコメント>念のため、このタイトルでエロい実写ビデオになったりしていますが、原作はそんなにエロくないです。巨乳娘を逆恨みする困った貧乳ねーちゃんの救いようのない話です。一応、乳も裸もでてきますし、絵柄も上達していて読者サービスはされています。しかし敵、というか相手もおかしな輩ばかりなので多分あまり頭には入ってこないでしょう。この設定だけの話を最後まで安永ワールド全開で突っ走るのが痛快。あと、サブタイトルの「巨乳皇帝」と書いて「バストエンペラー」と読ませるのは笑ったなあ。
<あらすじ>新巻圭は普通の中学生。しかしある日突然、父親に海底国家・アンチョビー王国の王子であることを告げられ、家を追い出される。放浪ののち出会った王国の親衛隊長・スモークから、ホンダワラ帝国の攻撃を受けアンチョビーは壊滅したことを聞き戸惑う圭。その前にホンダワラの王女で帝国一の剣の使い手・オキアミスが現れる!
<書店員のおすすめコメント>珍しくきちんと終了した作品。編集部から圧力があったとのことで、危ないネタは控えめ、主人公も比較的おとなしめ。で、主人公が弱い分、この1巻表紙に出ているサーモンという親衛隊長の濃さ(スネ毛もね)が際立っていまして。不条理、高飛車、嘘つきで、しかもホモっぽくて、簡単に一線を越える男。やっぱり安永作品はこういう変態が活躍しないといけません。どれだけ自制してても、らしさは健在です。この作品、恐ろしいことに『海のトリトン』のオマージュらしく、随所に意識したシーンがあります。しかしどこをどう間違えばこんな展開になってしまうのか。ラストはサンデー・ラブコメっぽくて好きですけどね。