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安田剛士

2001年、『Over Drive』で第67回週刊少年マガジン新人漫画賞入選受賞。2002年、本作の掲載された「マガジンフレッシュ」でデビュー。関口太郎氏のアシスタントを経て、2005年『Over Drive』の連載を「週刊少年マガジン」で開始。卓越した画力と個性的なキャラクター造形で“ひたむきさ”“努力する姿”を描く。『一瞬の風になれ』『振り向くな君は』『DAYS』ではサッカーがモチーフの一つなっているが、作者自身、幼稚園の園長先生から無理矢理サッカーの手ほどきを受け、小・中・高と続けるうち、やがてサッカー選手を目指すほどサッカーにのめりこんでいったという。スポーツをモチーフに、チームの絆や人と人との関わりを主軸に読む者の心を熱くさせる。少年マンガの王道を確かな足取りで歩み、2016年『DAYS』にて第40回講談社漫画賞・少年部門受賞。

(担当:希/男/40代)

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安田剛士の全7作品を掲載!

個人の力とチームの和と前を向く勇気
DAYS(1~25巻)
安田剛士
表紙『DAYS(1~25巻)』 - 漫画
DAYS(1~25巻)
安田剛士
2013年、週刊少年マガジン

<あらすじ>何のとりえもない、特技もない。けれど人知れず、熱い心を秘めた少年・柄本(つかもと)つくし。孤独なサッカーの天才・風間陣(かざま・じん)。嵐の夜、交わるはずのないふたりが出会ったとき、高校サッカーに旋風を巻き起こす、灼熱、感動、奇跡の物語が幕を開ける!!

<書店員のおすすめコメント>サッカー好きというわけではないけれど、読み始めると(つくしの成長を追いかけはじめると)止まらなくなりました。仲間のためにできることを必死で探す柄本つくしと天才肌のサッカープレーヤー・風間陣の関係性を軸に、聖蹟サッカー部の面々やライバル校のメンバー、十傑と呼ばれる超絶プレーヤーの存在など、サッカーの試合はもちろん、登場するキャラクターそれぞれの背負うドラマに力点が置かれて物語が展開していきます。『Over Drive』で群像劇に挑戦した作者が『一瞬の風になれ』を通して、チームの伝統(先輩から受け継がれてきたバトンを次の世代につなぐ)を取り入れ、『振り向くな君は』で「サッカーが好きだからサッカーマンガを描くのは違う」と辿りついた境地が、本作に活かされているように感じます。物語の行く末も楽しみですが、それ以上に、安田剛士氏の描く作品から目が離せません。

『DAYS』コマ
陣とピッチに立っても動じないつくし。成長を感じる場面。このコマだけ見ても「少年マンガの王道だなあ」と改めて思います
デビュー作をベースに連載作に発展させた物語
Over Drive(全17巻)
安田剛士
表紙『Over Drive(全17巻)』 - 漫画
Over Drive(全17巻)
安田剛士
2005年、週刊少年マガジン

<あらすじ>胸がズキン、手に汗ギュッ。“熱さ”だらけの自転車×青春ストーリー!! ――片想い中のゆきちゃんから自転車部に勧誘された、篠崎(しのざき)ミコト15歳。天にも昇る気持ちだけれど、そーいやボクは、自転車にすら乗れないダメな子だった!! 猛烈にヘコみまくるミコトだけれど、「君には天性のココロの強さがある」と口説かれて……!? 各誌大絶賛の、自転車ロードレース物語。もうくすぶらない青春……ここに開幕!!

<書店員のおすすめコメント>“描きたいものがあるけれど、それをうまく表現できない”──そんな気持ちで原稿と格闘していたのが本作ではないでしょうか? 描いても描いても先がある、そんな気持ち。デビュー作を下地に、キャラクター設定を練り直し挑んだ本作は、クロスケ(大和武)が登場するあたりから、ふっきれたかのように物語が動きはじめます。チーム戦としての自転車レースをもっと見たいと思うのですが、素人目にも作画カロリーが高いと感じる自転車に怯むことなく立ち向かった作者の熱い心には感服します。

『Over Drive』コマ
作品を読んでいると井上雄彦氏を敬愛している様子が窺えます。でも“マンガだろ! これ”という演出は、既に井上氏を超えているのではないか、と
本屋大賞を受賞した名作を独自の熱量でコミカライズ
一瞬の風になれ(全6巻)
佐藤多佳子×安田剛士
表紙『一瞬の風になれ(全6巻)』 - 漫画
一瞬の風になれ(全6巻)
佐藤多佳子×安田剛士
2007年、マガジンSPECIAL

<あらすじ>「連、俺と勝負しよう」夢をうしなった元サッカー少年・神谷新二(かみや・しんじ)。練習嫌いの天才スプリンター・一ノ瀬連(いちのせ・れん)。ふたりの少年が共に走りはじめたとき、灼けつくような青春ドラマが幕を開ける!!2007年本屋大賞(第1位)を受賞した大人気小説『一瞬の風になれ』を『DAYS』の安田剛士が入魂の漫画化!! 陸上に青春をかける少年たちの熱く清々しい物語!!

<書店員のおすすめコメント>『スプリンター』(小山ゆう)という100Mランナーの肉体や心理を描いた名作があります。それに対し本作は、ランナーの内面描写はありますが、それはあくまでモチーフの一つで、テーマになっているのは人と人とのつながり、チームとしての団結、和だと感じます。ヨンケイ(4×100mリレー)という競技に着目しているのも、そのテーマをより明確化するためだと思いますし、それは本作が新二と連の物語でありながら、新二と兄・健一の物語として読めたり、あるいは陸上部の顧問・三輪の成長物語として読めるところからも伝わってきます。いずれにしてもここで獲得したテーマ性が、後の『振り向くな君は』『DAYS』に連なっているのは間違いありません。

『一瞬の風になれ』コマ
先輩から新二にバトンを託された場面。こういった人と人との連なりが、何気ない場面に描かれているのも本作の大きな特長
犬童かおると成神蹴治。ふたりの関係性とチームを思う献身
振り向くな君は(全4巻)
安田剛士
表紙『振り向くな君は(全4巻)』 - 漫画
振り向くな君は(全4巻)
安田剛士
2010年、週刊少年マガジン

<あらすじ>ぜんそく持ちの少年・成神蹴治(なるかみ・しゅうじ)は、父・龍(りゅう)が創った桜木(さくらぎ)高校サッカー部でプレーするのが夢だ。桜木高校入学式の前日、蹴治は北海道からやって来た少年・犬童(いんどう)かおるに出会う。ふたりは訪れた桜木高校の練習試合で急遽、後半戦から出場することに。蹴治とかおるがピッチに立った時、奇跡が生まれる……!!

<書店員のおすすめコメント>「サッカーが好きだからサッカーを描くのはちょっと違う」と作者自身が振り返るように、サッカーをモチーフにしながらも、描かれているのは人と人とのつながり。『DAYS』でつくしたち聖蹟高校サッカー部の前に立ち塞がった桜木高サッカー部が、廃部寸前から犬童かおると成神蹴治を中心に立て直されていく物語を縦軸に、2人の関係性と部員同士の絆を横軸に描かれていきます。桜高サッカー部としてまとまり、全国制覇を目指すところで本作は終了しますが、『DAYS』でより逞しくなった犬童と成神の姿を見ることができます。

『振り向くな君は』コマ
『DAYS』から安田ファンになったので『DAYS』のあとに描かれたとばかり思っていました。サッカーの各場面には本人の実体験が活かされていると感じます
沖田総司の少年時代を独自の世界観に落とし込む
黒猫DANCE(全3巻)
安田剛士
表紙『黒猫DANCE(全3巻)』 - 漫画
黒猫DANCE(全3巻)
安田剛士
2011年、月刊少年マガジン

<あらすじ>九歳の沖田惣次郎(おきた・そうじろう/後の沖田総司(そうじ))は、河原で野宿をする謎の男と、盗賊団退治に挑む。男は名を土方歳三と名乗った――!!

<書店員のおすすめコメント>時代劇は好き嫌いがはっきり分かれるジャンルですが、現実に存在しない世界を描くには、その世界を説得力を持って分からせる画力が必要です。本作は『DAYS』連載前に安田氏が手掛けた作品で、『Over Drive』『一瞬の風になれ』『振り向くな君は』とは一風変わった作品世界を楽しむことができます。沖田総司を“人類史上最後の剣の高みへ辿り着いた男”と定義し、あえて青年時代を描かず、少年時代のひとときを描いています。土方歳三が登場したときは、沖田とのバディものかと思いましたが、その方向性ではなく、あくまで少年・沖田の視点で一貫されているのも本作で別の作品世界に挑戦するんだ、という作者の心意気を感じます。

『黒猫DANCE』コマ
時代劇に挑んだ意欲作。ネタバレになるので詳しくは明かしませんが、坂本龍馬と吉田松陰がペリーの黒船で出会う発想は歴史好きなら膝を打つ

関連作品

本編では描かれなかった聖蹟サッカー部員の過去
DAYS外伝(1~2巻)
原作:安田剛士 漫画:音羽さおり
表紙『DAYS外伝(1~2巻)』 - 漫画
DAYS外伝(1~2巻)
原作:安田剛士 漫画:音羽さおり
2016年、マガジンポケット

<あらすじ>『DAYS』初の公式スピンオフ! 本編では描かれなかったキャラクターたちの知られざるエピソードが明かされる! 第一章の主役は君下敦。聖蹟不動の司令塔は、なぜ犬猿の仲である大柴喜一を「喜一」と呼び捨てにするのか。そこに秘められていたのは、ある“決意”の物語──。

<書店員のおすすめコメント>劇中でやりとりされる会話から想像力をたくましくするのみだった君下敦と大柴喜一の出会い、臼井雄太の中学時代、水樹との出会い、灰原二郎と猪原進の友情が描かれています。現在(2018年1月)、風間陣編が連載中。原作の持つ絵のニュアンスを大切にしながら、独自の視点を交えつつ、丁寧に描かれています。原作が真っ赤に燃えているのに対して、本作は青く温度が高い感じで、どこか冷静にキャラクターを俯瞰しているクールさを感じます。いずれにしても『DAYS』ファンなら必読の作品です。

『DAYS外伝』コマ
最近は作者以外のマンガ家が原作のニュアンスを汲んだ良い作品を発表されるなあと思います。本作もそんな作品の一つです
活字の世界で再生されたマンガのキャラクター
DAYS(1~2巻)
文:石崎洋司 原作・絵:安田剛士
表紙『DAYS(1~2巻)』 - 漫画
DAYS(1~2巻)
文:石崎洋司 原作・絵:安田剛士
描き下ろし

<あらすじ>この春、高校に入学したばかりの柄本つくしは、中学時代の不良の同級生にからまれているところを、金髪の少年に助けてもらう。彼こそは、孤独な天才サッカー少年・風間陣! 風間にさそわれて初めてサッカーボールにふれたつくしは、サッカーの楽しさにめざめ、名門・聖蹟サッカー部に入部するのだが……。「週刊少年マガジン」の大人気サッカー漫画を完全ノベライズ化!

<書店員のおすすめコメント>マンガはコマと絵、文字、擬音で表現されていますが、文学作品においては積み重ねられた文字表現だけです。それゆえにつくしや陣がどのように表現されているのかは、気になるところです。マンガ内で登場した台詞ももちろん登場しますが、余計な遊びがないぶん、よりダイレクトに言葉の意味が伝わってくるように感じます。もちろん、脳内でマンガのコマが再現される場面もありますが、読み手それぞれに異なるビジュアルイメージが浮かびあがり、つくし像や陣像がマンガと違った印象で見えてくるのも活字ならではの魅力ではないでしょうか? ぜひ小学校や中学校の図書館に置いてほしい作品です。

  • ご注意事項
  • ※本ページに掲載している連載中作品の巻数は、2018年2月時点のものです。