五十嵐大介先生の全13作品を掲載!
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海と宇宙、世界の不思議…人間には感知できない世界がある!
- 第38回日本漫画家協会賞優秀賞、第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞
【掲載誌】「月刊IKKI」
【あらすじ】
少女・琉花が、夜の海で出会った不思議な少年・海──。港町と水族館を舞台に繰り広げられる、五感をふるわす少年少女海洋冒険譚!!海にほど近い、とある田舎町の夏休み。中学生の安海琉花はハンドボール部の友人をケガさせてしまい、顧問から「夏休みの間部活へ来なくていい」と言われてしまう。ぽっかりと時間を持て余すことになった琉花は、ふと東京の海を見ようと思い立ち、電車に乗り込むが…。
【書店員のおすすめコメント】
第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞作品。
受賞作品展でこの美しい作品に衝撃を受けたのが、私が五十嵐先生を知ったきっかけでした。物語は、少女・琉花と、ふたりの少年・海と空が出会うところから始まります。世界中の水族館から魚が消える現象が報告され、小笠原に隕石が落ち、さまざまな異変や現象が起こり始める…というストーリー。世界各地の民話や神話が織り込まれ、さまざまな伏線になっているのもすごい。謎を追いかける形でストーリーは進みますが、示唆的なセリフが多く、正直、1度目に読んだときは理解しきれなかった(笑)。でも何度も読み返すうちに、「皆が色んな根拠を元に色んな意味をつけたがる。でもその中に正解なんてあるのかね。」という、海のなんでも屋・デデの言葉に納得する瞬間が。人間が知らない、感知すらできない壮大な世界があることを教えてくれます!ここからひと夏の物語が始まる
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怪しくて美しい「魔女」が織りなす連作集
- 第8回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞
【掲載誌】「月刊IKKI」
【あらすじ】
強く、儚く、螺旋を描く満たされぬ想い。そして人々は未知なるものを求め、魂の世界へと誘われゆく…。幻想と恐怖が、大いなるイマジネーションによって解き放たれる。トルコ、熱帯ジャングル、北欧、日本をそれぞれ舞台とした、「魔女」がテーマの連作集。
【書店員のおすすめコメント】
曼荼羅のような緻密な線で描かれたバザールの風景、密林のジャングルや野生動物達…五十嵐先生の圧倒的な画力が、存分に発揮されたアート性の高い連作です。特に好きなのは、第2集の「PETRA GENITALIX(ペトラゲニタリクス)」。宇宙飛行士が宇宙で激突した石。持ち帰られたその石が地球に影響をもたらし始め、それを何とかしようと大魔女ミラが動きだす…というストーリー。宇宙、隕石、「カンブリア紀の大爆発」という生物進化の謎も織り交ざって、個人的にワクワクする要素がいっぱい!大魔女ミラとローマ法王庁との相容れない価値観とか、宗教観とか…短編とは思えない、ハリウッドのSF映画のようなダイナミックさがあります。
五十嵐先生の描く女性はすごく素敵です
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『ディザインズ』のプロローグ的作品も収録!
【掲載誌】「月刊アフタヌーン」他
【あらすじ】
『ディザインズ』『リトル・フォレスト』『海獣の子供』などで絶対的な支持を獲得している五十嵐大介の作品集、待望の登場! 2004年から2014年にかけて描かれた短編は、「この世界のどこかにいる、かもしれない」──そんな「未確認生物」をモチーフとした珠玉の10タイトル。『ディザインズ』の原型となる読み切り『ウムヴェルト』も網羅し、五十嵐大介の環世界が惜しみなく放たれた1冊!
【書店員のおすすめコメント】
やはり『ディザインズ』の前日譚といえる『ウムヴェルト』は必読!
小惑星に人類の大部分を移住させるにあたって、宇宙世界での労働力を作り出す「ナラ・プラント計画」。その計画を推進するため、「ヒューマナイズド・アニマル=動物の人化」を研究する施設から、 一人の少女が逃げ出すところから物語が始まります。驚異的身体能力をもつ少女ですが、人の言葉は話せません。そのため、この研究の責任者である「オクダ」と逃げ出した少女を追う「捕獲チーム」の視点と会話を軸にストーリーが展開します。そしてこのオクダが、すごく癖もの。
すべての動物はそれぞれ特有の知覚世界(ウムヴェルト:環世界)を持っているという、その後の『ディザインズ』の軸にもなるテーマが語られるので、これを読めばより作品世界を理解して楽しめると思います。犬の見ている世界ってどんなだろう…
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HAが繰り広げるバイオSFアクション
【掲載誌】「月刊アフタヌーン」
【あらすじ】
自然界を超越した異形の生物──HA(ヒューマナイズド・アニマル)。それは遺伝子を“設計”された、ヒトと動物とのハイブリッド。HAが備える驚異的な身体能力は、野心を抱く人々の策略によって殺りくの現場へと投入され、その真価を発揮していく。ヒトは何のためにこの異形をデザインしたのか──その背景には、人類の未来へとつながる壮大な計画が横たわっていた! 稀代の表現者・五十嵐大介が放つハードSF、ついに登場!
【書店員のおすすめコメント】
『ウムヴェルト』の世界から数年たった世界を描いた作品。蛙から作られた主人公の少女・クーベルチュールも成長した姿を見せています。五十嵐先生の描く少女ってすごくカワイイんですが、クーベルチュールもかなり美人さんになっています。
宇宙世界での労働力を作り出す「ナラ・プラント計画」が進み、ヒューマナイズド・アニマル(HA)が軍事に実用実験される段階になり、豹、イルカ、貝など様々な特殊能力をもったHAが登場します。戦闘シーンが多く、ヘリもバンバン出てきて、研究の主導権争いによる陰謀や策略が展開されるのも読みごたえ十分。五十嵐先生の作品のなかでもかなりエンターテインメント性が高いものになっています。クーベルチュールの戦う姿が美しい
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田舎暮らしの「豊かさ」と「厳しさ」
【掲載誌】「月刊アフタヌーン」
【あらすじ】
スローフードって楽じゃない。手間ひまかけて、汗かいて。だけど、そうやって辿り着いたひとくちには、本当の美味しさが満ちているのです。都会から生まれ故郷の小森に戻り、農業を営むいち子。四季折々の収穫に舌鼓を打ちながら、彼女は自分の生き方を模索する──。当世きっての漫画家が描く、本物のネイチャー・ライフ。
【書店員のおすすめコメント】
主人公のいち子は一度は街に出て暮らすものの、恋人と別れて再び故郷の小森に戻ります。庭のグミの木の実でジャムを作ったり、畑仕事をして、雪かきをし、ストーブでパンを焼いて、小豆を炊く…そんな暮らしの描写が、匂いや味が伝わってきそうなほどリアルで丁寧! 料理が本当に美味しそうなんですよね~。そんな日々の暮らしの合間にふと、元彼や数年前に失踪した母親とのやり取りが淡々と織り込まれていて、“自分の生き方”を考えさせられる瞬間も。憧れの田舎暮らし、でもそれって逃げてるだけじゃないのか? 東京に住む私には、そんなメッセージが突き刺さった作品です。
母親の言葉って意外と記憶に残ってる…
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あー、猫と田舎で暮らしたい!!!
【掲載誌】「あにまるパラダイス」他
【あらすじ】
手足のびのび猫と一緒の田舎暮らし!! 東北の農村で、漫画を描き、畑を耕しながら暮らす五十嵐さんの相棒は、野性的な飼い猫・カボチャ!!
【書店員のおすすめコメント】
ねずみや鳥を捕まえたり、キツネと戦ったり、畑作業を邪魔したり、ただ可愛いだけじゃない野性味あふれるカボチャの行動や表情が面白くて、何より作者とカボチャの距離感が読んでいてすごくほほえましい! 冒頭に出てくる見開きの「カボチャ冒険地図」も素敵。作者とカボチャが暮らす家周辺の美しい田畑や、野生動物との遭遇ポイントが地図に示されていて、漫画を読んだあとにもう一度この地図を見ると、カボチャの行動がありありと浮かぶようで面白いんですよね。
『リトル・フォレスト』にも通じる田舎暮らしの豊かさや厳しさも描かれつつ、そこにカボチャという自由気ままな相棒が加わることですごく癒される作品になっています。カボチャと一緒なら頑張れそう
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トワイライトゾーンに迷い込む
【掲載誌】「月刊アフタヌーン」
【あらすじ】
まさに現代の「遠野物語」。伝説的コミックを復刻! この作品は、漫画ファンの間ではすでに伝説と化していたもので、一遍一遍が独立した幻想綺譚の傑作になっています。近年、ハイレベルな新作を次々と発表し、再評価の高まる五十嵐さんですが、この『はなしっぱなし』には、デビュー作ということもあり、彼の作風のすべてが含まれているように思えます。切ないメルヘンから背筋のゾッとするような怪奇物まで、様々なファンタジーが収録されたこの希代の作品集を、ぜひ、御一読ください。
【書店員のおすすめコメント】
奇妙でちょっと怖い都市伝説のような話が淡々と積み重なって、独特の世界観を構築している短編集。 この短編集、タイトル通り話しっぱなしでオチがない! 読者をある意味おいてけぼりにしていってしまうのが、不思議と魅力になっています。
お祭りの夜、神社の境内、路地裏、真夜中の街、日常のなかでふとトワイライトゾーンに迷い込んだような感覚になる時って誰しも経験あるんじゃないでしょうか? そんな空気感を表現できる五十嵐さんの感性がとにかく凄い!きつねにつままれたような読後感を生む、それがこの作品の真骨頂です。妖怪娘登場!?
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デビュー作品を含む、怖くて不思議な短編集
- 収録作品『未だ冬』(1993年四季大賞受賞作)
【掲載誌】「月刊アフタヌーン」他
【あらすじ】
稀代の表現者・五十嵐大介が解き放つ珠玉のエンターテインメント全6編。他の追随を許さぬ独創世界、人間の体温をも伝える描写力。“漫画”という表現が内包する無限の可能性を鮮やかに提示する! 月刊「アフタヌーン」掲載の読み切り作品4編に加え、週刊「モーニング」にて発表されたオールカラー作品、そしてアフタヌーン四季賞1993年冬のコンテスト応募作品(雑誌未掲載)も収録。眩(まばゆ)き結晶、待望の登場。
【書店員のおすすめコメント】
怪奇でグロテスクなストーリーが、五十嵐先生の力強い描写とあいまって、独特の印象を残す作品集。
短編のひとつ「そらとびタマシイ」は、フクロウの雛の魂に憑依された主人公の女の子を、犬の体と合体した異形の少女が助けるお話し。かなりホラーな展開にもかかわらず、主人公はどこか冷めていて、ストリーの冒頭から最後まで、「食」への執着がすごい。「豆鼓醤炒め」「万頭」など、台湾や中国の家庭料理を思わせる料理が登場するのも、いい意味で違和感を生んでいて、この奇妙な世界観にマッチしています。霊を取りのぞく儀式のご馳走。料理の描写はかなり細かい
関連書籍
【ご注意事項】
- ※本ページに掲載している連載中作品の巻数は、2020年6月時点のものです。
五十嵐大介(いがらし だいすけ)1969年埼玉県生まれ。「お囃子が聞こえる日」「未だ冬」の2作品で1993年アフタヌーン四季大賞を受賞し、漫画家としてデビュー。2004年、『魔女』で文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、2009年、『海獣の子供』で第38回日本漫画家協会賞優秀賞、第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。
(書店員:しらこ/30代/女性)