<あらすじ>長州藩、下級武士の家に生まれた石垣直角(いしがきちょっかく)。直角は父の教えどおり「武士はつねに戦場の心でいるべし」ということを忠実に守ろうとしている。藩の名門校・萩明倫館(はぎめいりんかん)に入学以来、騒動ばかり起こしていて…。直角が曲がりくねった世の中を、直角斬りで一刀両断!!
<書店員のおすすめコメント>本作は主人公・石垣直角と城代家老跡取りの北条照正くんの友情を描いた小山ゆうのデビュー作なんですが、何よりも最高なのは本作の第13巻から14巻にかけてのラスト直前。無能でバカだと実の祖父はおろか城内皆に馬鹿にされる照正くんはついにわざと頭がおかしくなったような言動をするようになってしまいます(このあたりの照正くんがまた最高にかわいいんですが)。そんな照正くんにも一縷の望みを持つ元城代家老でお目付け役の立花は一計を案じ、照正くんを信じ続ける直角を使い、見事更生させるのですが、この一幕がすばらしい流れなんですよ。友情と信頼の大切さに何度読んでも感動してしまいます。直角、いい奴!
<あらすじ>古賀、村田、亀乃川の三人は私立大学の相撲部に所属している。そこへ古賀の後輩・百田桃太郎が上京してくる。彼は高校を卒業した後、相撲部屋への入門を希望し、古賀を頼ってやってきたのだ。島で一人で鍛えたという桃太郎の体は、高校生とは思えないほど立派なものだった。観客の前で手に汗握る大相撲を取ることを夢見る桃太郎。しかし、相撲にはめっぽう強いが、美人を見るといてもたってもいられず「お願い」しちゃう彼の行動は、伝統と格式を重んじる大相撲界で大ヒンシュク!!
<書店員のおすすめコメント>横綱を目指して上京した百田桃太郎の熱血相撲物語…と思いきや、この桃太郎、とにかくありとあらゆる女性とヤリまくるとんでもないセックスモンスター。ここまでギャグに振り切れた小山ゆう作品は他にありません。まあとにかくこの桃太郎のキャラクターが最高すぎるんですよ。周りの目などおかまいなし、相撲も恋も本能のままにとにかく突っ走る桃太郎を見ていると日々の些末な悩みなど吹き飛んでしまいますね。
<あらすじ>両親も身寄りもない、天涯孤独の一匹狼・北条松五郎。その松五郎が、雪の降る寒い夜に男の赤ちゃんを拾う。未来から現代に送り届けられた、そのかわいい赤ちゃんに松五郎は「愛」という名前をつけた。不思議な能力を持つ北条愛。未来から現代に送り届けられたこの少年が、人類存亡を賭けた闘いに挑む!!小山ゆうの描くSF大巨編!!
<書店員のおすすめコメント>小山ゆうのSF名作、『愛がゆく』といえば、やっぱり恐怖の人間ナンバリングでしょう。人類ひとりひとりの知力、体力、容姿、才能などのすべての要素を瞬時に判断し、数値化。その数字が小さい人間は未来にあるべき「新しい世界」には必要のない者として消されていく、という非情すぎるルール。頭は弱いが情に厚く、主人公・愛をひたすら慈しみ育ててきた松五郎の数字は衝撃の「3」…!小山先生、ひどすぎるよ…!愛の戦いは地球規模から時空を超えたスケールへと飛躍する、小山ゆうとしては唯一無二のファンタジーSF作品です。
<あらすじ>少女のあずみを含む10人の子供達が、人里離れた場所で秘かに刺客として育てられていた。そして、彼らは爺の言葉をすべて正しいこととして疑うことを知らない、精鋭の刺客として育った。ある日、爺からいよいよ外界に出る時になったと告げられる。しかし、その前にこれまでの修業の総仕上げとも言うべき凄まじい試練が待っていた!
<書店員のおすすめコメント>小山ゆうといえばこの『あずみ』を思い浮かべる人も多いでしょうね。もちろん全編通して面白いのは間違いないのですが、この『あずみ』に関してはやはり1巻の導入部分の巧さが光ります。まず仲間同士で殺し合うという、今でいうデス・ゲーム的なホラー要素から、その後矢継ぎ早に繰り出される暗殺ミッションの数々もかなりエグい。完全にエンターテインメントに徹した本作は読んでいるうちにどんどんのめり込んでしまいます。振り返ってみれば小山ゆうの新境地的な作品になっているのかも。
<あらすじ>弱虫な竜馬は、近所でもいじめっ子の的で、姉の乙女に助けられる毎日。そんな竜馬も7つになり学問は楠山塾、剣道は日根野道場にはいるが、塾でも道場でも落ちこぼれ。とうとう塾を退塾となる。しかし母、幸は病の床でも竜馬を優しく見守ってくれる。そんな幸と花見に出かけた竜馬を見つけたいじめっ子達だが、幸の親切心に心を打たれた彼らは、幸のために捨てられた傘で日傘を作ってくれた。そこに通りかかった上士。土佐では禁止されている郷土の日傘を目撃された竜馬達は…。激動の幕末に一陣の風を送りこみ、炎のように生きた男・坂本竜馬。その英雄の若かりし時代を描く、幕末風雲大作!!
<書店員のおすすめコメント>日本史屈指の英雄である坂本竜馬に関してはあらゆる本やドラマなどで語り尽くされていますので、内容には特に触れません。本作『お~い!竜馬』の魅力は、(というか小山ゆう作品全般の魅力なんですけど)キャラクターが表情豊かで感情的で、セリフも含めてとにかくかわいいんですよ。もう全員かわいい。これぞまさに小山ゆう節。特に本作は幕末の有名な人物がどんどんでてきますので、それぞれの個性的な描き方が読んでいて本当に面白いんですよ。このあたりの描写の巧さはさすがです。もちろん全23巻と長編歴史大河としても読みごたえ十分ですので、イッキ読みにもオススメです。
<あらすじ>1860年(安政7年)3月3日、江戸城・桜田門外。時の大老・井伊直弼は、登城してきたところを水戸藩から脱藩した18名の浪士に襲われ殺害された。後に「桜田門外ノ変」として歴史に残るこの事件の裏に、ひとりの美しい少女の姿があった。少女の刃は混乱の中、井伊の命を一瞬で奪い…。
<書店員のおすすめコメント>大名作『お~い!竜馬』のあの個性豊かな面々の中に、「あずみ」が!当時はだいぶ話題にもなりましたが、やっぱり今読んでもしっかり面白いです。この時代は暗殺の繰り返しでもあるので、裏にあずみ的な者がいても確かに全然おかしくないですよね。実際の歴史でも謎となっている竜馬暗殺はあずみの仕業か、というテーマがどうしても気になるところ。とにかく本作で『あずみ』シリーズ完結です。あずみが最後に求めるものは一体何か。ぜひ見届けてください。
<あらすじ>敗戦を迎えた昭和20年、満州から引き揚げる混乱の中で、ある男に母と姉を殺された雄飛。孤児となってしまった雄飛は、彼に救いの手を差し伸べてくれた娼婦のまち子と、弟の剛士とともに生きていくことになった。やがて17歳となった雄飛は、母と姉の仇である男への復讐心を胸に秘めながら、プロボクサーとしての道を歩んでいく…肉親との永遠の別れ、幼なじみの少女・青葉との再会。幾人もの人との出逢いを重ねながら、戦後の混乱を激しく生きる少年・雄飛の、熱き魂のドラマ。記念すべき第1集!!
<書店員のおすすめコメント>ビッグコミックスペリオール連載中の最新作。終戦直後、満洲から引き揚げの途中、母と姉を殺された少年・雄飛の復讐の物語。戦争孤児となった主人公の雄飛がこれまた過酷な目にばっかりあうんですよね。。心あるいい人たちが騙され、犯され、殺されていく…、そんな昭和初期の混乱の中、ボクシングに夢を見て、大切な人を守りたいと誓うまっすぐな雄飛の姿が眩しいです。ただの復讐劇ではなく、ヤクザ同士の抗争や昭和の芸能界の裏事情の描写も交えつつ、なんといってもお得意のボクシング描写が光ります。町並みや洋服などにも昭和の雰囲気がよくでているんですよね。まだ連載中ですが、こちらも小山節全開の名作間違いなしです。
<あらすじ>堀口元気はプロボクサーである父親の影響をうけて、5歳からボクシングをはじめた。しかし、父親は後に世界チャンピオンとなる「天才ボクサー」の異名を持つ関拳児(せきけんじ)との死闘の末、この世を去ってしまう。父親の果たせなかった夢……世界チャンピオンを目指して、元気が駆け抜ける!熱く燃え続ける男の感動ドラマ!
<書店員のおすすめコメント>世代によってはこの『がんばれ元気』こそ小山ゆうの代表作として認識している方も多いんじゃないでしょうか。父を倒したライバル・関拳児を倒すという夢、祖父母との絆、支えてくれる人たちに対するまっすぐな想い、など、一途に前だけを見続け成長していく元気の物語。まさに王道スポーツ漫画であるが故か、前作『おれは直角』でみせたような小山ゆう的「ギャグ」の要素は少なめ。小山作品の中でも実は珍しいタイプの作品でもあります。
<あらすじ>日本有数の大コンツェルン・結城グループ。その後継者候補として、義父・豪太郎のもとで帝王学をしこまれる結城光16歳。そして、豪太郎の実の娘でありながら、父の援助を拒否して生きる、女子ナンバーワンスプリンター・水沢裕子16歳。まったく違う青春を選んだ二人だが、意地を張りあいつつも、やがて光と裕子は互いにひかれていく…。
<書店員のおすすめコメント>陸上界で良く言われる「10秒の壁」ということば。日本人が100メートルで9秒台を出す。これは陸上界の悲願ですよね。最近になって遂に達成されましたが、この「10秒の壁」という言葉を聞くといつも僕が思い出すのが本作。この9秒台への挑戦を描いたこの『スプリンター』の主人公・光ですが、これがもう才能、容姿、財力とすべてが完璧な存在で、誰もが「ふざけんな!おい!」となりそうなくらいの設定なんですが、さすがは小山先生。光の太陽のような明るさでもう無条件に応援してしまう。極限への挑戦を表現したラストもお見事。