<あらすじ>製菓学校に通う爽太(ソータ)は1つ上のサエコと交際中。4年前の一目惚れから想い続け、去年のクリスマス直前にようやく初キス。大のチョコレート好きな彼女のため、チョコ作りの腕を磨く日々。彼女からタバコの匂いがしても、バレンタインのデートを断られても、全くくじけず挑み続ける爽太だったが…!?
<書店員のおすすめコメント>『失恋ショコラティエ』に出てくるチョコレートは、どれも本当に美味しそうです。カリカリキャラメルのボンボン「ペルル」とか、絶対美味しいですよ…食べたい…。しかし、チョコレートだけでなく、登場人物も彩り豊かなこの作品。主人公のショコラティエ・爽太くんが片思いを拗らせまくっているのはあらすじを読めばお分かりになるかと思うのですか、心の中で思いを燻らせているのは彼だけではありません。表面上は笑っていたとしても、誰しも苦くて汚いものを内側に抱えているものです。特に、ネガティブすぎるアラサー女子・薫子さんには、全女子が共感するのではないでしょうか。わかる。わかるよ。自分のものにならないんなら、とっとと不幸になってくれって思うよね。わかる。そんな心の闇にもそっと寄り添い、「それでもいいよ」と言ってくれるのがこの作品です。あなたを肯定してくれる言葉にきっと出会えることでしょう。
<あらすじ>幼なじみのイマドキ男子3人が我が身の不幸を嘆いていると、風変わりな美女が現れた。「セカイ」という組織のエージェントを名乗る彼女に誘われ、3人は「300日後、3人の中で最も不幸になった者はどんな願いも叶う」というゲームへの参加を決める。『失恋ショコラティエ』『脳内ポイズンベリー』の水城せとながキレッキレの台詞で描く、友情・嫉妬・悪意……。さまざまな感情あざなう300日のゲームが始まる。
<書店員のおすすめコメント>物語を読み進めていて、「あ、この話は絶対良い方向に行かないな」と怖くなった時、心を守るために「読むのをやめる」という対応をすることってあるじゃないですか。この作品を読んでいる時にも、この選択肢が何度も頭をよぎりました。だって、目指すゴールが「不幸」ですよ。悪いことしか想像できないじゃないですか。でも、私はこの選択肢を選べませんでした。なぜかというと…怖い以上に先の展開が気になりすぎるから!! 5巻を読み終わった後なんて、続きが読みたすぎて手が震えるほどだったので(←マジです)、思わず連載している「イブニング」を買ってしまいました。巻を重ねるごとに、不幸度がどんどん上がっていくこの作品。ですが、水城せとな先生らしく、ところどころにちゃんと救いがあります。これを書いている現在は5巻が最新刊の状態なのですが、6巻以降、果たしてどうなっていくことやら。今一番続きが楽しみな作品です。
<あらすじ>櫻井いちこ(29)は、飲み会で会って以来気になっていた男子・早乙女(23)に、偶然遭遇。『話しかける?話しかけない?』『押してみる?引いてみる?』いちこの脳内ではめくるめく会議が繰り広げられ――?怒涛の新感覚ラブ・パニック、開幕!
<書店員のおすすめコメント>擬人化した5つの感情が脳内で会議するラブコメディ。この作品を初めて読んだ時、「わ、わかるーーーー!!!!」と全力で叫んでしまいました。何か選択を迫られた時って、ポジティブな考えとネガティブな考えが頭にわーっと浮かびますよね。それと過去の経験を引っ張り出して検証したりもするんだけど、何だかんだで行動を決めるのは衝動的な感情だったり…。わかる。私の頭にも吉田・石橋・池田・ハトコ・岸さんがいます。この5人の存在をたしかに感じます。時々現れる黒い女も刺激的でした。自分自身ですらも想像できなかった、思い切った行動を取っちゃうことってありますよね…! 櫻井いちこの恋模様ももちろん気になるところですが、やはり一番の見どころは紛糾する脳内会議! 私だったらどう考えるかな? どう行動するかな? と考えながら読むとより一層楽しめますよ!
<あらすじ>1908年、ウイーン。若きテノール歌手・ディミトリは不運な事故に見舞われる。命はとりとめたものの、彼の周辺で不可解な事件が頻発。そして、さらなる悲劇が…!? 「失恋ショコラティエ」の水城せとなが描く、華麗なるヴァンパイア達の物語、新装版で登場。
<書店員のおすすめコメント>1人の人間の女が、4人のヴァンパイアの中から一番優秀な種を選び、ヴァンパイアを繁殖させるという物語。しかし、人間側にもヴァンパイア側にも複雑な過去があり、うまく行きそうな時に限ってそれらが邪魔をしてきたりする。水城せとなお得意のもどかしい展開にやきもきさせられます。いやしかし、ヴァンパイアの4人がそれぞれ良い男すぎるので、彼らの中から1人を選べと言われても正直難しいと思います。とはいえ、私の推しはディミトリなので、私がアリスの立場だったら迷わずディミトリを選びます。セクシーでミステリアスなディミトリ、最高にかっこいいんですよ…! 全6巻ですが、ここまでで「第1部」が完結ということだそうです。現段階で連載再開はされていませんが、6巻の最後でも盛大に伏線が敷かれたいたことですし、いつかきっと第2部が始まってくれると信じています!
<あらすじ>優柔不断な性格が災いして不倫という「過ち」を繰り返してきた恭-。ある日彼の前に妻から依頼された浮気調査員として現れたのは、卒業以来会うことのなかった大学の後輩・今ヶ瀬だった。ところが、不倫の事実を妻に伝えないことの代償として今ヶ瀬が突きつけてきた要求は、「貴方のカラダと引き換えに」という信じられないもので…。くるおしいほどに切ない男と男のアダルト・ラブストーリー!
<書店員のおすすめコメント>物語は、主人公の恭一が7年ぶりに会った後輩・今ヶ瀬にキスを強請られるところから始まります。実は、学生時代からずっと恭一を想っていた今ヶ瀬。この機を逃すものかと、外堀を埋めて自分から離れられなくなるように仕向けていく今ヶ瀬ですが、涼しい顔をしているけれども内心は全然余裕じゃない。本当は不安で不安で仕方がない。恭一のことが気が狂いそうなほど好きなんだいうことが、表情から、言葉から、行動から、伝わってきます。切ないを通り越して胸が痛いです。でも、それもどこか甘い痛みで、今ヶ瀬の愛にずぶずぶと沈んでいく恭一同様、我々もこの作品から離れられなくなってしまうのです。水城せとな先生の作品の中で、最もアダルティなラブストーリーなのではないかと思います。
<あらすじ>高校生・一条真白はある日突然、謎の地下保健室に呼び出され、妖しく激しい「特別授業」に参加させられるのだが……!?魅惑のジェンダー・ゲーム!
<書店員のおすすめコメント>木曜日の放課後に地下保健室で行われる「特別授業」が舞台のダーク・ファンタジー。主人公の真白くんは、上半身が男性で下半身が女性の男の子です。そして、そんな真白くんを男として好きになった女の子と、女として好きになった男の子が現れます。この歪な三角関係を中心として物語は進むのですが、私が注目して欲しいと思うのは、メインの三人以外の「特別授業」参加者たちです。彼ら一人一人の「卒業」までの過程も、水城先生は丁寧に描いてくれています。(結末を知った後にふと思ったのですが、もしかすると、登場人物全員が主人公になれるように、水城先生はストーリーを進めていたのかもしれませんね…。)何気ない日常のようで、どこか現実感のない不思議な世界。でも、最後にカラクリがわかります。結末を知った時、まるでアハ体験のようにスッキリしますよ! 是非最後まで読んでみてください!
<あらすじ>市橋七緒が転入したのは、名門校・メハビア聖学院。迷子になったすえ、転入初日に彼女が出会ったのは、女みたいな美少年・羽根木ライカ。彼が所属する「裁判部」に気に入られた七緒だったが、逆にクラスの女の子の反感を買ってしまう。数々のイヤガラセにキレた七緒は、裁判を起こす決意を…!?
<書店員のおすすめコメント>ちょっと珍しいタイプのミステリー。学校内でトラブルが起こった時、生徒は「裁判部」に訴えることができる、という設定がとても面白い。「服についたソースは誰が飛ばしたものなのか」みたいな小さなことから、「階段から突き落とされた」というヘビーなものまで、裁判部がガシガシ解決をしていきます。キャラクターもそれぞれ個性的で、彼らの掛け合いも楽しいです。気が強い転入生の女の子、髪が長くて女子の格好をしている裁判官、明るい被告代理人、堅物の原告代理人。個人的には、2巻から登場する雪くんがすごく好きです。裁判部に誘われるけれども断ってしまう雪。闇を抱えた彼にまつわるストーリー展開からも目が離せません。裁判部だけでなく、是非雪くんにも注目して読んで欲しいです。
<あらすじ>アキとサクラは小5から組んできた高校バトミントン界期待のペア。マネージャーの琥珀とともに幼なじみの彼らの関係を壊す事件が!!
<書店員のおすすめコメント>バド界期待のペアだったアキとサクラ。だが、ある日を境に二人の関係が壊れてしまいー…!? というストーリーなのですが、いやはや、バドミントンがこんなにもアツいスポーツだったとは…。私自身、子供の頃によく遊びでバドミントンをしていたからか、バドミントンに対してあまり「競技」という印象がなかったんですよね。でも、この作品を読んでバドミントンに対するイメージがガラッと変わりました。試合がね、とにかく激しいんですよ。重かったり、速かったり、シャトルの動きが映像のように「見える」んです。そして何より、選手たちの汗が生々しい! しかし美しい!! 一試合一試合が濃密なので、読み終わった後の満足感がハンパないです。バドミントン経験者もそうでない方も、是非ご一読ください!
<あらすじ>「学校なんてなくなっちゃえばいい」。校内専用HPの書き込みから集まった4人の男女の、友情、恋、心の傷とは!?心をつなぐネットワーク!!
<書店員のおすすめコメント>人間というものは、本当に些細なことで傷ついてしまう。他の人からしてみれば「たったそれだけのことで!?」みたいなことで、壊れてしまう人だっているのです。私自身も簡単に傷ついてしまう人間なので、たくさんの傷を抱えたこの作品の登場人物たちには、とても共感しました。爆弾を作って学校を爆破するために、少しずつ少しずつ花火を買い集めていく4人。冷静に考えれば、4人で買える花火なんて高が知れているし、爆弾を作るなんて無理だろうということがわかると思います。でも4人は、必ず学校を爆破できると信じて、それだけを心の支えに、毎日を生きていきます。後ろを向きながらも、一歩ずつ進んでいく彼女達はとても愛おしいです。彼女達が花火を買わなくても前を向いていきて生きる日が、きっといつか訪れますように。
<あらすじ>せりかは容姿端麗、頭脳明晰、スポーツ万能と、三拍子揃った完全無欠の女子高生。しかし、その実体は…漆原博士の愛と科学の結晶である究極のアンドロイドだった! できたてほやほやのせりかは、自分を造ってくれた博士のために、その高性能ぶりを発揮しようとするが…!?
<書店員のおすすめコメント>アンドロイドのせりかがとにかく可愛い! 生まれたばかりの頃はずっと無表情だったせりかですが、人間と接することで、笑ったり、怒ったり、泣いたり、どんどん表情豊かになっていきます。せりかを見ていると、なんだか子供の成長を見守る親のような気分になって自然と頬がゆるんでしまう…! でも、せりかだけじゃなくて、せりかを造った漆原博士と助手の春原さんの恋模様も気になるところ。2巻ではせりかの弟も誕生し、さらに賑やかになります。登場人物みんなが明るくて、とっても楽しい作品です!