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島本和彦

島本和彦は1961年4月26日、北海道生まれの漫画家。2015年に『アオイホノオ』で小学館漫画賞、文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。きっと「熱き血潮を 燃やせファイヤー~♪ 理屈や根拠 クソくらえ 限界なんかあるものか 信じた道を 行けばいい 俺はいつでも レディーゴー♪」みたいなことを言っていそうな人だと思うのだけど、違うかな?

(翁 長介/50代/男)

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島本和彦の全22作品を掲載!

まだ青く飢えた狼だったホノオの物語!
アオイホノオ(1~20巻)
表紙『アオイホノオ』 - 漫画
アオイホノオ(1~20巻)
【連載誌】ゲッサン
第60回小学館漫画賞一般向け部門、第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞

<あらすじ>時は1980年代初頭――漫画・アニメ界に新たなムーブメントが起き始めようとしていた熱い時代。近い将来ひとかどの漫画家になってやろうと、もくろむひとりの男がいた。男の名は、焔燃(ホノオモユル)。しかし、野望ばかりでまだ何も具体的には動いていなくて…!?熱き野望と空回りの毎日に苦悶する、熱血芸大生の七転八倒青春エレジー!!

<書店員のおすすめコメント>この作品が単なる懐古的な漫画家漫画に留まっていないのは、そこに現在のリアル、庵野秀明という稀代のトリックスターを登場させたことに尽きます。いいネタをもっていたもので、過去と現在が違和感なくリンクして、ほんとにフィクション?と思わせる仕掛けが絶妙です。仕掛けといえば、著者本人も語っていますが「男おいどん」(松本零士)へのオマージュは最高。各話の最後に多い、部屋とモノローグの構成に少しばかりぐっときてしまいましたよ。

『アオイホノオ』コマ
見てくださいよそっくりじゃないですか。吹き出しを巻物にしたら999やハーロックでもいけそう
島本和彦はデビュー直後から熱かった!
炎の転校生(全12巻)
表紙『炎の転校生』 - 漫画
炎の転校生(全12巻)
【連載誌】少年サンデー

<あらすじ>滝沢昇は、転校先の「鳥羽砂高校」に一歩足を踏み入れるなり、地雷で吹っ飛ばされる。目の前には『週番の金沢』と名乗る男が現れ、遅刻したからだといちゃもんをつけてくるが…!?『嵐を呼ぶ男』の異名をもつ滝沢昇。彼のゆくところ、果てしなき戦いあり!宿敵・伊吹三郎を相手に戦いの幕が開く!

<書店員のおすすめコメント>若い、若いよ島本和彦。そしてこれが80年代のテンションなんだよ。並行して描いていた『風の戦士ダン』で抑えていた作家性というか趣味?丸出しで、特撮&アニメのパロディや北海道民しかわからない小ネタ、さらには好きなアイドルまで勢いに乗ってどんどん出てくる。アクションギャグの走りとして完走した作品。連載時は自分も若かったわけで、いつ読んでも高校生のころの熱が蘇ってきます。最近の小難しい作品に疲れたら読んでほしいですね。

『炎の転校生』コマ
必殺技・国電パンチには上りと下りがある。通り過ぎたと思ったところに下りのパンチが炸裂!
暴力漫画の巨匠と組んだ初の連載作品!
風の戦士ダン(全9巻)
表紙『風の戦士ダン』 - 漫画
風の戦士ダン(全9巻)
【連載誌】少年サンデー

<あらすじ>現代に生きる忍者組織・恐車一族と神魔一族。彼らはスーパー忍者、すなわち、超忍とよばれた。だが、このふたつの一族は、互いの絶滅を図り、凄絶な戦いを続けていた。なぜ…!?雁屋哲と島本和彦の異色のタッグが放つ痛快作品!!

<書店員のおすすめコメント>著者の初連載で雁屋哲の原作作品。雁屋をして「これがなかったら『美味しんぼ』は書けなかった』と言わしめた、とのことですがそれは後になって言えることで、その苦悩については『アオイホノオ』で語られることでしょう。殺伐とした展開、暗い画風でギャグは添え物と異色作ですが、よかったのは『炎の転校生』と同時期連載だったこと。「漫画家って色々描けるんだ」とその時は思ったものです。当時を知る者としては併読して頂けるとうれしい限り。

『風の戦士ダン』コマ
普通の島本漫画だとこれでも生きているんだけど…。ちなみにベタは車田正美を参考にしたみたい
ほぼ本人だから熱くないわけないだろ!
燃えよペン(全1巻)
表紙『燃えよペン』 - 漫画
燃えよペン(全1巻)

<あらすじ>東京にある炎プロダクション。そこではひとりの漫画家が、命がけで作品に取り組んでいた。彼の名は、炎尾燃。希代の熱血漫画家である。そのかたわらで仕事をする大野暁子は、炎プロに入ったばかりの新人アシスタント。彼女が任された最初の仕事は、燃が描いた絵のバックに集中線を入れるというもので…。決して妥協を許さない大熱血漫画家・炎尾燃が、今日もペンを片手に燃えに燃えまくる!大人気作『吼えろペン』の元祖となる、炎尾燃シリーズ第1弾!!

<書店員のおすすめコメント>漫画家の日常を描いた、『吼えろ―』へ続くペンシリーズの第1作。『逆境ナイン』と同時期の90年作品で、島本節完全復活といえる作品。『アオイホノオ』と同様に自身をキャラクター化していますが、こちらは徹底して人物を架空として描いています。その分、盛り方も凄く「すべてのマンガ家がこうだと思っていただきたい!」「おれが面白いと考えている事はこれだっ!!」(吼)と語りまくり。創作者はこれくらいでないと、を実感させられます。

『燃えよペン』コマ
こんなド迫力のシーンが2018年のNHK朝ドラ『半分、青い。』でも……、あるわけないか
逆境は男の成長に必要不可欠なものだ!
逆境ナイン(全6巻)
表紙『逆境ナイン』 - 漫画
逆境ナイン(全6巻)

<あらすじ>校長室に呼ばれた野球部キャプテン・不屈闘志が、突然校長から野球部の廃部を命じられた。そこで彼は部の存続のために「甲子園大会での優勝」を宣言し、その決意の証明として、春の甲子園ベスト8・日の出商業を10日後の練習試合で倒すことを誓ってしまう。その日から猛特訓を開始したナインだが、試合3日前になって部員が次々と脱落していき…!?

<書店員のおすすめコメント>島本初体験の方に最初に読む作品として勧めたいタイトル。それは破天荒な野球漫画ながらまとまりもよく、さらに一時、低迷した著者がデビュー当時の勢いや本来の持ち味を取り戻した作品だから。甲子園優勝を目指す主人公・不屈のポジティブ思考や、いちいち男前な逆境時のセリフまわしなど読み(突っ込み)どころ満載で、癖はありまくりですが一気に読めるはずです。ちなみに映画化もされてロケ地は私の地元でした。これでよいかな観光課のSくん。

『逆境ナイン』コマ
前向きで大げさな発言が目立つ不屈闘志だがこのシーンだけは殊勝な態度。ここだけですけどね
迎撃!攻撃!!これが戦闘テニスだっ!
燃えるV(全5巻)
表紙『燃えるV』 - 漫画
燃えるV(全5巻)
【連載誌】少年サンデー

<あらすじ>狭間武偉(はざまぶい)15歳、またの名をビクトリー狭間。V(ブイ)はその名が示すとおり、未だかつて負けたことがない男だった!!育ての親・源さんと死別したVは、幼いころ別れた両親を捜し求め一人旅をしている。旅の途中、ひょんなことから生まれて初めてテニスに挑戦したVは、常識を超えたテニスで全日本5位のテニス野郎を打ち破る。秘められた過去を背負いながら、勝つために生まれ育ってきた男の挑戦!!

<書店員のおすすめコメント>一応、テニス漫画ですが、必殺技は相手をKOするためのものでむしろボクシング漫画に近いという、らしさが爆発した作品。で、この漫画で推したいのは赤十字というライバルキャラなのです。主人公の最初の強敵という存在は、ともすれば途中で解説役か雑魚扱いになりがち。ですが仮面の男に変身したりして曲がりまくった挙句、大出世することになる。人間味のあるその姿を見れば、主人公の武偉よりこっちに感情移入するのは私だけじゃないでしょう。

『燃えるV』コマ
仮面の男・レッドクロス。てか英語読みにしただけ。この辺りまでは単なる悪役だったのたが…
ギャグ抑えてちゃんと考えた作品です!
アスカ@未来系(全3巻)
表紙『アスカ@未来系』 - 漫画
アスカ@未来系(全3巻)

<あらすじ>ある日、上代愛果のクラスに、大門アスカという転校生がやってきた。一見イケメンの彼だが、自己紹介でいきなり「未来から来た」と言いだして教室は唖然。だが、クラスの男子・長ヶ部から「なんやねん、その設定」とダメ出しを受けても、アスカは未来人であることを否定しようとせず、「本当に未来人なら、公開前の映画のストーリーを言い当ててみろ」と試されることに…。

<書店員のおすすめコメント>1巻の巻末にあるように「ちゃんと考えたマンガを、1回ぐらい描いてみよう」とした作品で、テンションは控えめ。未来からやって来たという少年の目的は?というSFミステリー仕立てで、3巻という巻数で程よくまとまっています。一時期、まったく描かなくなったラブコメ要素も入ってますし、軽いギャグが良いアクセントになってキャラもたっている感じ。もうちょっと見たい気もしますが、ギャグ抜きの島本作品はこれくらいがちょうどよいのかも。

『アスカ@未来系』コマ
ギャグっぽいアクションもありますが、大体はこれくらいの軽いノリ。キャラにマッチしてます
卓球を通して社長は進むべき道を示す!
卓球社長(全1巻)
表紙『卓球社長』 - 漫画
卓球社長(全1巻)
【連載誌】ビッグコミック

<あらすじ>『卓球』に己が人生を賭け、一度として悔いることのなかった燃える社長・水嶋!誰もが楽しめる娯楽スポーツの王道・温泉卓球。だが、時として競技の卓球と混同し、完璧な勝ち続けを狙うバカ者が現れてしまう。とある会社の新人宿泊研修で「卓球台の上には上下の区別はない」と言い放ち、部長相手に圧勝していた新入社員・門馬もそんなひとりだった。そこに現れた社長が、思い上がった門馬に卓球を通じて道を説く!

<書店員のおすすめコメント>時は90年代後半。バブルははじけ、混迷する日本経済の中で必死に中堅会社のかじ取りをする社長・水嶋が主人公の物語だ。一見すると著者の作風と初老の主人公とは喰い合わせが悪いように思えるが、そこに卓球という球のやり取りをするスポーツを組み込むと、卓球を通じてお得意の人生訓を語る作品に昇華する。それは卓球で解決していいのか?という思いも社長の説得力あるひと振りがかき消していく。なかなかに味わい深い作品に仕上がっています。

『卓球社長』コマ
モノローグを乗せて社長の球さばきが冴える。そのひと振りがさまざまな難題を解決していくのだ
神だろうがガンダムだろうが容赦無用!
炎の筆魂(2巻)
表紙『炎の筆魂』 - 漫画
炎の筆魂(2巻)

<あらすじ>世界で一番“炎”が似合うマンガ家、島本和彦――。彼が世に送りだした作品群の中から、声優の宮村優子が根性戦隊ガッツマンチームのリーダーとして地球を守るために活躍する「根性戦隊ガッツマン」など、命を燃やす5つの短編をセレクト!読み手の心が試される浄玻璃の鏡、ここに登場!!

<書店員のおすすめコメント>よくいえばバラエティに富んだ、実際はあれもこれも詰め込んだ、面白いけれど節操がない感じがたまらない全2巻からなる短編集。ゲーム、漫画業界、歴史、ヒーローものにアニメまで……、ここまで勢いに任せて自由に描ける漫画家ってなかなかいませんよ。どこまで仕事か趣味なのか。でもね、「面白ければいい」ってことが伝わってくるから、このテイスト、ぜ~んぶ好きです!とい言っておきます。たとえ「予告」まで漫画として収録されていてもね!

オムニバスで綴る島本流”戦場まんが”
BATTLEフィールド(全1巻)
表紙『BATTLEフィールド』 - 漫画
BATTLEフィールド(全1巻)

<あらすじ>戦場、それは生と死が背中合わせの、命を賭けた極限の地。平和を夢見る人間たちの、哀しみと夢を描いた珠玉の叙情詩!!収録作品:Code1汝の敵/Code2愛しのテディーベア/Code3エルベの笛/Code4楽園のあちら側/Code5不死身のジャン/Code6紅はこべ団の冒険/Code7ローラン/Code8穴の中/Code9コネティカット州のアメリカの奇跡

<書店員のおすすめコメント>熱い展開ナシ。ギャグも一切ナシ。手足をもがれたような状況でなぜ戦場漫画に挑むのか。でも漫画家ってたまにそういう心境になるみたいで。ときにそれが新境地になったりもするのですけど、どうやらこちらの路線は封印したみたいです。きっと松本零士の『戦場まんがシリーズ』をめざしていたと想像するんですが。しっかりと大戦中の欧州の状況をおさえて描かれていますので、歴史好きの方や別次元の島本和彦を見たい人には、ぜひお勧めしたいです。

『BATTLEフィールド』コマ
細かく人物が描かれ、人間ドラマが丹念に描かれる。そこにはギャグの入る余地など一切ナシ

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