<あらすじ>遠く、遠く、遥かなる未来――“常勝の天才”と“不敗の魔術師”と称される二人の英雄、ラインハルト・フォン・ミューゼルとヤン・ウェンリーがこの世に生を受ける。時代の波濤に煌めく二つの灯火が銀河を翔け、人類の命運を動かす――。悠久の戦乱に終止符を打つべく現れた、二つの巨星の運命を描くSF英雄譚!!
<書店員のおすすめコメント>数々のフォロワーを生んだ田中芳樹の超有名小説を藤崎竜がコミカライズ。それまでも多種多様なメディアミックスはありましたが、まさか藤崎竜がマンガ化するとは…初めて聞いたときは腰抜かしましたよ。原作を小さいころ夢中になって読んでいたので、好きなもの同士がくっつき感動もひとしおだったのです。
さて、その内容は(改めて紹介するのも憚られるくらい著名な作品なのですが)遠未来の銀河系を舞台に描くスペースオペラな作品。銀河帝国のラインハルトと自由惑星同盟ヤンという、全く異なった環境で育った二人の天才が大宇宙で戦争を繰り広げます。政治的背景に裏打ちされた権謀術数の数々、異なった思想同士の人間群像劇、それぞれの戦う理由、すべてが複雑に絡みあい異次元の面白さを展開してくれます。
特に本コミカライズの魅力ですが、藤崎竜先生は相変わらずキャラ付けがうまい!ってことです。現代風味にもう一段階掘り下げられたキャラクター達の魅力が素敵すぎて原作ファンも、初見の人も楽しめる1冊だと思います。
<あらすじ>【カラーページを収録したデジタル特別編集版!】紀元前11世紀の中国、殷(いん)の時代末期。崑崙山脈(こんろんさんみゃく)の仙人・太公望(たいこうぼう)は、悪しき仙人・道士を封印する「封神計画」という任務を受ける!殷の皇帝・紂王(ちゅうおう)を誘惑して暴虐の限りを尽くす仙女・妲己(だっき)を、太公望は真っ先に封神しようとするが…!?
<書店員のおすすめコメント>作者にとっては、最も有名な作品の一つ累計2200万部のモンスター作品です。
内容とか語るのも今更感ありますが、個人的に本作の魅力だと感じている点は、中国の古典怪奇小説「封神演義」を原作としながら、作者の類稀なるセンスによって大胆にアレンジしたところでしょう。
SF、ファンタジー、ギャグ、バトルの要素を取り入れつつ、ちょいちょい美形キャラも出して…といった上質な少年漫画として仕上がってます。「史記」における「キングダム」同様、有名原作を忠実に再現したから面白いわけではないのです。ストーリー構成や登場人物のキャラ付けなどは作家の力量が、そのまま反映されるのです。本作がここまでヒットしたのは、作者のもつ独創的発想と幻想的なデザインに、摩訶不思議な古典小説が、見事にマッチしたからでしょう。
<あらすじ>199X年猛暑の夏、山に囲まれた人口わずか1300人の外場村で、原因不明の3名の死体が発見された。同時期、古い洋館に越して来た桐敷一家と接触した女子高生・清水恵が行方不明に。相次ぐ怪事件…凄烈なる夏が始まる!
<書店員のおすすめコメント>舞台は土葬の習慣が根づいている、隔絶された小さな山村。貧血のような奇病から「起き上がり」と呼ばれる吸血鬼が蔓延していく。吸血鬼と人間の戦いを軸に、それに関わる人間ドラマを絶妙なエンタメ要素を交えつつ展開されていきます。小野不由美の原作とはあらゆる点で異なるので、もはや藤崎竜版の「屍鬼」と言っていいでしょう。
封神演義と同様、大胆なアレンジとセンスの光る個性的なキャラ設定は、物語に独自の奥行きを与えてくれて面白いです。
また、もとより画力が高いので、グロテスクやホラー表現も光ってます。
夜中に忍び寄ってくるシーンとか失禁ものですよ。
<あらすじ>霊が住まう霊のための町、霊場・カミツヨミド。不可思議なる「お力」で荒ぶる魂の鎮魂を使命とするアメ姫。そして、命を賭して彼女を護る事を誓ったサルタヒコ──。現界(人の世界)と幽界(霊の世界)の運命の靈語(ものがたり)が今、紐解かれる!!!
<書店員のおすすめコメント>現世に未練を残した怨霊が人間を攻撃してくる世界。その怨霊を浄化させる力のあるアメ姫と、その子を警護するサルタヒコの物語。日本神話をモチーフとした和テイストな雰囲気に、藤崎竜先生の独自のデザインセンスが融合した快作です。登場人物も、神話や歴史上の人物たちが怨霊として出てきて、その設定を生かしたストーリー展開は王道ながら楽しめます。
また「藤崎竜節」ともいえる、作者独特の言葉運びや論理展開が、本作では結構強烈なので、ファンにはそこも楽しめる1冊かと。
<あらすじ>突然の交通事故に遭ってしまった平凡な高校生。目を覚ますとそこは、人も景色も全て似ているが、犯罪ばかりの荒れた平行世界(パラレルワールド)だった。元の平和な世界は夢だったのか…。過酷な現実と夢、少年はどちらの世界を選ぶ? 表題作「WORLDS」他、デビュー作「ハメルンの笛吹き」「TIGHT ROPE」「SHADOW DISEASE」「SOUL of KNIGHT」の全5作品を収録!
<書店員のおすすめコメント>私と藤崎竜先生との出会いは忘れもしない小学生時代。何気なく読んだ雑誌に掲載されていたことがきっかけです。
それまで、理不尽なことは何もない、正義は必ず勝つ!みたいな勧善懲悪的「THE・少年マンガ」しか知らなかっただけに、その独特な絵柄とダークな世界観は幼心に衝撃でした。以来、作品が出れば必ずチェックしている数少ない作家の一人となっております。デビューが25年以上も前にも関わらず、現在も第一線で活躍されているというのは凄まじいことです。
さて、紹介1発目は、前述の私的衝撃作「WORLDS」を収録している本短編集です。藤崎竜先生は、原作つきの作品ばかりフューチャーされますが、オリジナル短編も面白いんだと声を大にして言いたいのです。内容については全5作品が収録されており、藤崎竜初期の繊細なタッチと瑞々しい感性が満載で、唯一無二の才能を感じずにはいられません。
オススメはなんと言っても「WORLDS」です。今生きている平和な世界は実は夢で、目が醒めた現実は犯罪ばかりの荒廃した世界だったというお話。過酷な現実か、安寧な夢か。不条理な現実の中で主人公はどちらを選択するのか…。小さいころ、実は同じこと(現実はすべて夢)を考えていただけににドハマりした一作です。
すべて1話完結ながら、決っしてハッピーエンドとは言えない苦味と相まって何度も読み返したくなる珠玉の1冊です。
<あらすじ>【超能力を使える不可思議なゲームの使い方とは!?】髪と瞳の色が緑色の少年・緑丸は、夜の公園で不思議な美少女・水の森雪乃と出会った。彼女は言い寄ってくる男性にゲーム勝負を提案し、勝つことですべて追い返してきた。しかし、その行為が男性の恨みをかい、ナイフを突きつけられてしまう。その様子を見た緑丸は、彼女を助けるため超能力ゲームを使うのだった…。
<書店員のおすすめコメント>藤崎竜、週刊少年ジャンプ初の連載作品です。
ジャンプで2巻完結というのは、いわゆるお察しくださいなのですが、上述のとおり、短編でドハマりした私にとっては待望の連載であり、穴が開くほど読んだ思い出深い作品です。しかも、初期作品なのですが電子化されたのが最近で(2018年3月配信)、もう諦めていただけに純粋に嬉しいっす。
ストーリーとしては、超能力SF×ボーイミーツガール的なお話。ひょんなことで手にした「PSYCHO+」というゲームは、超能力を使える不思議なゲーム。携帯ゲーム機の操作に併せて現実にも影響を与える(木を動かすとか)という展開は、子供ながらに純粋にワクワクしました。人が造ったものに負けたくないという風変わりなヒロイン(美人)も、恋愛脳に支配されたいつものソレとは異なり、またグッドなんです。小さい頃はゲーム少年だっただけに、終始ゲーム部分にフォーカスしてましたが、大人になって再度読み直すと、後続の作品ではあまり見れない作者の恋愛観がセリフの節々で垣間見えて一味違った楽しみが得られます。