<あらすじ>高嶺竜児と姉の菊は、暴力をふるう母の再婚相手から逃れ東京へ。そこで剣崎順と出会い、本格的にボクシングに目覚めた竜児は日本Jr.王者になるまでに成長。剣崎、石松、河井、志那虎らと世界大会やギリシア十二神戦で完全勝利を達成する。やがて竜児はプロ入り。王者・剣崎の引退試合の相手としてタイトル戦に臨む。
<書店員のおすすめコメント>今では実感できないでしょうが、雑誌で読んでいた当時、「美しい絵」というのはこの漫画のことだと思っていました。他の熱血漫画と違う、流れるような線とキメのポーズに心が躍ったものです。この絵にキメキメの台詞がつくんだからたまらない。最終回直前、石松が踏ん切りをつけるくだりとか、竜児と剣崎の「今日という日」を語る場面とか。熱くてきれいでカッコいい、まさに車田節の原点といえる作品なのです。
<あらすじ>スポーツ名門校、白凰学院と誠士館の代理戦争で現代に生きる忍び・風魔と夜叉が激突! その抗争の終結後、風魔の小次郎の風林火山、夜叉・飛鳥武蔵の黄金剣を含む、10本の聖剣を巡る戦いが始まる。集結したコスモの戦士5人と、華悪崇(カオス)の戦士5人は、決戦の舞台である月で大地の正義をかけて雌雄を決する。
<書店員のおすすめコメント>忍者って便利。”リンかけ”のSFボクシングと揶揄された戦闘シーンも、忍術といってしまえば違和感なし。また新しい発明を…、と思っていたら、メインの聖剣戦争編ではそんな設定すらもどこかへ行っちゃう。なぜ学ランを敵も味方も着ているのか(しかもひとりは氷河に埋まっていた)なんて、この戦いのスケールの大きさの前にはちっちぇことです。面白い漫画って変にこだわっていないって痛感せられます。
<あらすじ>13年喧嘩無敗の菊川仁義は、西日本の首領・武島将に敗北。その後、伝説の喧嘩鬼に教えを乞い108の心得を授かった仁義は、世界の脅威から日本を守るため、日本中から硬派を集め始める。東京から千葉制圧にきた黒田闘吉と義兄弟の契りを結び、みちのく奥羽連合のヘッドを吸収。さらに萩、土佐へ仲間を求め旅立つ。
<書店員のおすすめコメント>著者自身、一度打ち切りになったことは「面白くなかったから」と語っていますが、受けなかった、という意味だけではない気がします。確かに男の道に振り切った内容は読者不在だったのかも。ですが時代はバブル景気まっさかり。男の器を説くには悪すぎた。そして30年後。大国の指導者が強烈なリーダーシップを発揮するいまなら、読者は作品のスケールを感じることができるのではないか。ケジメはつけられるはず!
<あらすじ>背中に稲妻の形をした傷を持つ謎の男・ザジ。彼は、常人を凌駕する戦闘能力をもった人間兵器を養成する“白い墓(ホーム)”からの逃亡者であり、その目的は母を探しだすことだった。裏切り者として追われる身であるザジの行く手には、同じ人間兵器である抹殺者が次々と現れる。表題作ほか『青い鳥の神話』を収録。
<書店員のおすすめコメント>車田作品の中で、最も寡黙な主人公・ザジ。組織を脱走し探し求めるのはまだ見ぬ母。まるで石ノ森章太郎ヒーローのような悲しみを背負った男なのですが、車田流だとこれにワイルド&クールが加わります。雷鳴の二つ名の通り圧倒的な戦闘能力をもつ肉体描写。そして自らを狙った女戦士の墓に添えた言葉。言い換えましょう、最もカッコいい主人公であると。珍しく孤独な主人公でもあり、単発でももっと読みたい作品。
<あらすじ>天馬星座の青銅聖衣を手に入れた星矢は、黄金聖衣を巡るギャラクシアンウォーズに出場。その後、暗黒聖闘士との闘いを経て、神々の争いの渦へ巻き込まれていく。共に戦うのは同じ青銅聖闘士の紫龍、氷河、瞬、そして一輝。アテナを守るため黄金十二宮、海底神殿、エリシオンで、5人の聖闘士が壮絶な戦いを繰り広げる。
<書店員のおすすめコメント>前作の『男坂』で失敗した後、「メジャー路線を狙う」と言って、変形する装甲というギミックを引っさげ堂々復活。やはり車田正美は只者ではないと確信した作品。最初の聖衣が青銅なので、銀、金は想像しやすいのですが、そこに”黄金十二宮”という舞台をもってくるなんて、そんなアイデアどこからひらめくのか。結果、商業的にも大ヒット。有言実行、結果もついてくるって、仕事でも見習いたいものですよ
<あらすじ>生命のルーツに目覚め、過去と現在を重ね合わせて進化すること=エボリューション。「神人類」であるフェアリーを助けた翔は、そのことを彼女に教えられる。そして翔もファルコンをルーツに持つ神人類としてエボリューション能力に覚醒するのだった。それを知った神人類の組織“ネオ・ソサエティ”は翔の抹殺に動く。
<書店員のおすすめコメント>動物の能力をプラスして、自らの戦闘力を向上させる、という着眼点で描かれる能力漫画。残念ながら打ち切り作品です。私的には恐竜やスライムと、進化の過程にない?妖精&ハヤブサが戦うという序盤のカオスな状況がツボにはまっていたのですが。後半になるとタイガーやピーコックも登場して、らしくなってきていただけに、もう少しあれば違った展開もあったはず。未完なので設定いじって再開しないですかね~。
<あらすじ>沖田総司を主人公に池田屋事件までを描く車田流時代劇。江戸末期、京へ乗り込もうとする男たちがいた。近藤勇、土方歳三ら天然理心流一門の者たちだ。しかし沖田総司だけはついていきたいとは思うものの「京へ行って人を斬るのかと思うと……いやだなあ」と浮かない顔をする。表題作ほか『EVILCRUSHER魔矢』を収録。
<書店員のおすすめコメント>幕末を舞台にし、新撰組の沖田総司を主人公に据えた作品。この作品の沖田総司は車田作品ではまず主人公にしない、『リンかけ』の竜児をさらにやさしくしたような男で、それゆえなのか、掲載が青年誌だったためか、やたら挑戦的な描写になっています。土方は斬りまくるし、お色気はたっぷりだし。それと対比して沖田のやさしさを浮き彫りにする趣向だったのでしょうか。車田作品のいつもと違う面が見られます。
<あらすじ>21世紀。機械万国博の会議中、天才博士・高宮鋼太郎が機械皇国に拉致された。弟の鉄兵は兄を救い出すため機械皇国に乗り込む。しかし敵兵の襲撃にあり負傷。その際、自らが流した血によって、伝説のB'TXをよみがえらせてしまう。鉄平とエックスは相棒になり、兄を救い最強のB'Tを倒すために皇帝の居城を目指す。
<書店員のおすすめコメント>低年齢層向けのストーリー。血液提供者に忠誠を誓うロボット・B'Tとともに戦うという、まっすぐな内容。正直、パンチは足りないです。でもね、このB'Tというロボットの独特さには惚れてしまいました。それは非人間型なのに人格を持つということ。まず、性別がある。そして割と軽口をたたく。それでいて忠実。これはもう理想のペットですよ! 微妙なツンデレが最高です。私的にはB'Tマドンナが好きでした…。
<あらすじ>剣崎順と高嶺菊の息子・麟童は剣崎家を飛び出してストリートファイターとして生きていた。しかし欧州王者のスコルピオンとの対決で敗北。麟童は身を寄せる石松のもとで、真の強さを得るためにボクサー修行に打ち込むことに。かつての世界Jr.二世たちと出会い、時に争い時に共闘しながら、強豪と戦いを続けていく。
<書店員のおすすめコメント>1巻あとがきにもありますが、私も復活に涙したクチ。冒頭の石松と麟童の対決に熱いものがこみ上げてきました。そして志那虎、河井の登場…。では旧世代懐古ものかというとそうではなく、新世代も魅力たっぷり。1を踏襲した戦いは続き、そこには新世代ならではの新しさを取り入れている。特にドイツ編までの展開は震えるほどで、これぞ”新世代リンかけ”と言っていい内容。御大の攻める姿勢が伝わってきます。
<あらすじ>天馬とアーロン。2人の身に起きたことが240数年前の聖戦の引き金だった。そして1990年。冥王ハーデスの呪いを受け目を覚まさぬ星矢を救うため、アテナ・沙織と瞬は姉アルテミスのもとへ向かう。2人は前聖戦時にタイムスリップすることに成功。やがて、天馬、若き日の童虎、アテナの聖闘士たちが聖域に集結する!
<書店員のおすすめコメント>不定期連載ながらオールカラー、しかも大ヒット作『聖闘士星矢』の続編とくれば、期待しないわけがない。それに見事に応え、大筋は前作のラスト受けて構築され、前半は新キャラ”水鏡”の動向で引っ張る。そして満を持して”十三番目の宮”の登場。現在も連載中なのでまだまだたっぷりと楽しめそうです。しかし、代表作の続編を他の出版社で連載って、作品も著者自身もそんじょそこらとは格が違うってことですなあ。
<あらすじ>「車田正美 熱血画道40周年企画」として、著者自身の漫画家デビューを描いた自伝的フィクション。秀才には程遠く、不良にもなりきれず。特別、夢や志のない東田正巳少年は本宮ひろ志の漫画を読んで感銘を受け、やがてプロの漫画家をめざすことに。だがボツばかりで、日々「漫画ってのは何だ!?」と自問していた。
<書店員のおすすめコメント>冒頭、いきなり高倉健。そして憧れのヤクザが収監される時の刑事とのやりとり。昭和ですな~。任侠物が好きな方にお勧めしたい…、て何の漫画だ?って感じですが、車田正美の自伝的作品がこれです。実際はフィクション多めで、目の前で本宮ひろ志が大げんかしていたり、友人・知人がバタバタ死んだりと展開はドラマチック。熱さは他の作品に引けを取りません。できればもう少し先の話も描いてほしいなあ。