髙橋ヒロシ先生の全39作品を掲載!
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不良マンガの金字塔
【掲載誌】「月刊少年チャンピオン」
【あらすじ】
最強の男・坊屋春道を中心に暴走するはぐれ者。群れることを拒んだアウトサイダーの怒りと友情の物語!!
【書店員のおすすめコメント】
作者の代表作にして出世作。後に様々な形で続くことになるシリーズの源流です。治安最低で「カラスの学校」と呼ばれる鈴蘭高校に通う主人公・坊屋春道を中心に、周囲の高校や半グレたちとの事件・抗争を描くいわゆる不良ものですが、とにかくキャラが皆魅力的で、思春期に読もうものなら確実に心を奪われます。初見時、自分が最初に惹かれたのは、登場人物たちにつけられた「アダ名」のセンス。リンダマン、パルコ、ゼットン、キングジョー……基本的にみんな怖い風貌なのに、あだ名はやけにかわいかったり愛嬌があったり。それで彼らをキャラというよりも血肉の通った人間なんだ、と思えたんですよね。また、『クローズ』シリーズを語るうえで外せないのは、ドクロマークの入った革ジャンをトレードマークにするバイクチーム・武装戦線。ドクロ、皮ジャン、シルバーアクセ、バイク……そしてチーム名が「武装戦線」ですから。一部の人にはめちゃくちゃぶっ刺さる設定だと思います。ちなみに、本作は連載当時、ダウンタウンの松本人志が「ガキ使」で言及したことで一気に人気が爆発した、なんてエピソードも。
後輩・ゼットンの坊屋評
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カラスたちはより熱く、スタイリッシュに!
【掲載誌】「月刊少年チャンピオン」
【あらすじ】
悪名高き鈴蘭高校に入学した月島花を待ち受けていたのは、鈴蘭名物“一年戦争”だった!! 『クローズ』の次世代を描く新・最強伝説
【書店員のおすすめコメント】
前作『クローズ』の坊屋春道から主人公の座を譲り受けたのは、「自分がどこまでやれるのか」と鈴蘭への入学を決めた、そもそも一般的な不良ですらない男・月島花。しかし花の強さは折り紙付きで、あっという間に地域へ名をとどろかせていきます。本作の魅力は『クローズ』同様、各キャラクターによるところが大きいと思うのですが、多くのキャラを出すことのできる要因「代替わり」がすごい好きです。『クローズ』ではペーペーの1年生だったゼットンが3年となり強権を振るっていたり、周りの高校やチームも、代替わりをすることでどんどん魅力的なキャラが出てくるんですよ……! その過程を見ていることで、まるで自分もその街に暮らし、彼らと共に成長しているような気にさせてくれるんですよね。また、ジョーカー的な役回りの花木九里虎にもファンは多いんじゃないでしょうか。僕は大好きです。街や校内のいざこざとは距離を取り、女性の尻ばかり追いかけているナンパな男……ただし本気で戦ったら圧倒的なNo1.、というこの設定、ズルすぎませんか? 九里虎が揉め事に巻き込まれると、ワクワクしたものです。また『クローズ』からの話ですが、このシリーズ、女性キャラは基本的に出てきません(モブ的には少々)。女性なしでここまで話を作るというのもすごいのでは?
不良マンガのイメージを覆す、ゆるい笑顔のマルコメ主人公
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不良は大人の社会で生きられるのか
【掲載誌】「ヤングキング」
【あらすじ】
本当の強さとは何か。かつて、街の不良たちを恐怖のどん底におとしいれた伝説の男、「キューピー」こと石田小鳥が帰って来た! 伝説が再び幕を開ける!
【書店員のおすすめコメント】
かつて圧倒的な暴力で名を知られた男・石田小鳥。小鳥は少年院からの出所を機に、まっとうな世界を歩もうとするのですが、裏社会へと歩を進めたかつての盟友・我妻が現れ、小鳥と再び組もうと……という形で話が動いていきます。『クローズ』や『WORST』は言ってしまえば「ガキの世界」の話だったように思います。なので、作中で描かれるケンカや暴力は、どこかお祭り的な、エンタメ感をもったものでした。一方、本作『QP』で描かれるのは「そんなガキたちは、社会と折り合いをつけて生きていけるのか?」ということ。なので必然、「社会と折り合いをつけられない」ことの象徴として描かれる暴力はより陰惨で、渇いたものになっていきます。暴力に魅入られ、修羅の道を往こうとする我妻と、そんな修羅の道と決別したい小鳥。ふたりの道の行く末には思わず嘆息が……。
かつての親友で道を違えた男・我妻の言葉に小鳥は…?
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クソッタレな世界を仲間と共に生き抜く
【掲載誌】「ヤングチャンピオン」
【あらすじ】
文明が完全崩壊した世界。一滴の水、一掬いの油を巡り人間は殺し合う。そんな砂塵が煙る殺伐とした時代で「ジャンク・ランク・ファミリー」、強き絆で結ばれた、すげぇ頭が率いる5人の男達が生き抜いていた──。
【書店員のおすすめコメント】
『マッ〇マックス』や『〇斗の拳』的な、文明崩壊後の世界(+ゾンビ)を描いた物語。ケンカで最強決めようや、的な牧歌的な争いではなく、完全に「殺るか殺られるか」な世界のため、高橋ヒロシ作品のキモとも言える男同士の義や情の描写がより一層映えるような気がします。ナワバリを持たないギャングであるジャンク・ランク・ファミリーが、様々な集団と争い、生き抜いていくわけですが、そもそもどの集団も基本的に世界崩壊後のサバイバーであり、皆生きるのに必死、他を潰してでも自分たちは生き延びる、という悪でも正義でもない生存本能が根底にあるわけで、ジャンク・ランク・ファミリーも「悪に染まるな 正義を謳うな 諦めるな」を教えとしています。「クソッタレな世界」でどう生きるのか。シンプルな問いをテーマにした作品がどこに行きつくのか、楽しみです。
「生きぬくこと」こと最優先
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若者はいつの時代もくすぶっている
【掲載誌】「週刊少年チャンピオン」
【あらすじ】
菱川高校に通う遠藤キク。人は彼を不良と呼ぶ…。彼は本当に不良なのか? 高校無頼怒りの拳伝!!
【書店員のおすすめコメント】
主人公・リクは毎日がタイクツで、タイクツゆえにムシャクシャして、年上ということだけでエラソーにするセンパイや、通り一遍等のことしか言わない教師に反発し、ケンカを繰り返す日々。こういった若さゆえの閉塞感は普遍的なものなのでは? そんなリクも、仲間を得ることで学校生活に充足を感じ、「卒業して社会に出るまではコイツらと…!」と楽しそうにするんですね。しかしそんな仲間が襲われ……という王道の展開なのですが、「若者の悩み・喜び・憤り」がシンプルに描かれているなぁと。この作品が発表された当時はスマホもなければSNSもないわけで、今とは全然違うコミュニケーションの取り方だったはずですが、表現手段がケンカかスマホか、というだけで根本的なところはあまり変わらない気がしますね。
いつの時代も「理解者」が欲しいのは同じ
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脇役などない、全員がそれぞれの物語での主人公である
【掲載誌】「月刊少年チャンピオン」
【あらすじ】
クローズに登場したキャラクターたちの、本編では描かれなかった物語。
【書店員のおすすめコメント】
1冊目では、坊屋春道をはじめ、坊屋の鈴蘭高校でのツレであるポン・マコ・ヒロミ、そしてライバルである坂東ヒデトの、2冊目では四代目武装戦線と、「県南の五人組」のキーマン・木津京介の物語がそれぞれ描かれます。『クローズ』シリーズは、現在さまざまなキャラを主役に据えたスピンオフ作品が展開されています。が、それができるのはやはり元々のキャラクターや設定が立っているからでしょう。京介に至っては本編では名前しか出てこない(!)のに、京介と関わった男たちが彼を熱く語っていたため、こうしてスピンオフで描かれることがうれしいですね。個人的には坂東ヒデトが坊屋と出会う前、自身の信念を築く話が好きです。
坊屋登場前夜のヒデト
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『クロ-ズ』と『WORST』を結ぶ物語
【掲載誌】「月刊少年チャンピオン」
【あらすじ】
五代目頭・武田好誠と、後の六代目頭・河内鉄生の最初期の物語「セニドクロ…」と、ゼットンが2年になった鈴蘭の、新たな1年戦争を描いた「鈴蘭」の2編を収録。
【書店員のおすすめコメント】
『クローズ』後、『WORST』前の空白を埋める掌編を2作収録。鈴蘭高校ではゼットン、秀吉らが2年生となり相応の凄みを身に着ける中、武装戦線には河内鉄生という後に六代目を務めることとなるイキのいい新人が。『WORST』の項でも触れましたがこの代替わりがシリーズの魅力ですね。そして初登場するのがトリックスター・花木九里虎。登場後、即上級生であるゼットンをぶっ倒し、1年最強を決める1年戦争も見開き2ページ(&モノローグ)で終結! その後『WORST』完結まで続く九里虎伝説の幕開けです。この次から次へと新たな(強い)不良が登場するのが非常にマンガらしくていいなぁと思うんです。
ゼットン敗北時、ツレのセリフが鈴蘭を一言で表す
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初代武装戦線結成秘話!
【掲載誌】「月刊少年チャンピオン」
【あらすじ】
今ではその名を知らぬ者はいない「武装戦線」。そんな最強チームを立ち上げた4人の男たちのイカした物語。
【書店員のおすすめコメント】
『WORST』外伝と銘打ってはいますが、中は初代武装の話です。シリーズを通し、七代目までが描かれた作中屈指の人気チーム・武装戦線。しかしここまで初代については描かれてなかったんですねぇ。武装はいわゆる「チーム」なので、『クローズ』『WORST』と異なり高校はあまり関係なく、あくまでチーム同士の揉め事を通してのしあがっていくんですね。個人的に「そうだったのか!」となったのはなぜ武装はライダースをトレードマークにしているのか、という点。意味があるんだろうな……と思っていたので、わりと拍子抜けでした……。
武装戦線、はじまりの瞬間
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不良たちと社会
【掲載誌】「ヤングキング」
【あらすじ】
衝撃の銃声から数年後の世界。声を失ったヤクザ・我妻涼に憧れた男の運命は!? そして、暴力大魔王・石田小鳥は?
【書店員のおすすめコメント】
QPこと石田小鳥のツレたちを中心にした物語と、我妻の本編後の物語。QPでも描かれた、「社会に出るということ」がこちらの外伝でも描かれています。大工として地に足をつけて働くため、ケンカを売られても断るようになった男もいれば、ヤクザとして路地裏でひとりで死んでいく男もいる。高橋ヒロシ作品に共通すると思うんですが、基本的に不良たちも「卒業後の就職」「大人になること」をきちんと考えてるんですよね。なので「社会人になって頑張ってるセンパイ」もよく出てきますし。ただ、そのなかでごく一部が道を外れていってしまう。それが我妻涼であり、しかもそれはとても哀しい道なんだということをきちんと描いていると思います。
ちゃんとわかってるんですよね
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映画のキャラの高校時代を役者&原作者のタッグで漫画化!
【掲載誌】「月刊少年チャンピオン」
【あらすじ】
映画「クローズZERO」「クローズEXPLODE」でおなじみの“拳さん”こと片桐拳。そんな彼が“ソリコミの拳”として名を馳せたという鈴蘭高校時代、そこにはある秘密が隠されていた…。スイート&ビターなカラスの学校の物語!!
【書店員のおすすめコメント】
映画『クローズZERO』で俳優・やべきょうすけが演じた鈴蘭OB・片桐拳。本作は片桐の鈴蘭時代の話ですが、原案が演者であるやべきょうすけなんです。これすごくないですか? 演じたキャラクターを自分でさらに掘り下げて、あろうことか大本の作者によって漫画化されるんですよ。また、『クローズ』よりも前の物語である『クローズZERO』にOBとして出演してた男の学生時代ですから、『クローズ』クロニクルのなかでは最古の話になるのでは? 原作ファンも映画ファンも必見です。
「ソリコミの拳」という異名、そして涙の本当の意味は…?
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師匠へのリスペクトが込められた、不良たちの意地の通し合い
【掲載誌】「ヤングキング」
【あらすじ】
悪名高い不良校・花椿高校2年の早乙女力(さおとめ・リキ)は、ケンカ最強を誇る天下の大不良。本当はちょっと女の子にモテたいのだが……あくまで硬派! 子分のサブとともにシブ~く突き進む、力まかせの男道!!
【書店員のおすすめコメント】
師匠である髙橋ヒロシ氏のデビュー作『Hey!リキ』の世界観をベースに、作者自身のオリジナル要素をふんだんに盛り込みながら描かれた高校生たちの意地とケンカの日常。どうしようもない不良が集まる3つの高校(花椿高校、天坊工業、華帝会)を舞台に、だれが一番強いのかを争う抗争はもちろん、それぞれの高校を統べる三年生が代替わりする様子や男の意地をどう通すのかといった心理描写がつぶさに描かれています。殴られたときの痛みやパンチの重さに思わず「すごい!! 痛そう」「こいつ、強ェェ」と思ってしまいます。主人公の早乙女力は、物語が進むにつれてだんだん高校生に思えなくなっていきますが、その中学時代はさらにすごかった……。冗談か本気かわからない不良たちのやりとりも面白く、力以外のキャラクターにも「本当に高校生!?」と思ってしまう場面が多々ありますが、そこも師匠譲りなんだと思います。「番長ってーのは腕っぷしがツエーだけじゃなくて自身の仲間のことまとめあげてよ。そんでいろんなモンから守ってやれんのが番長ってヤツじゃねーかよ」には作者、もとい髙橋組の心意気が込められているように感じます。
パンチを打ち込むシーンを3ページにわたって描く演出は、本作が初めてなんじゃないかと思います
広がり続ける“男”たちのストーリー!
【ご注意事項】
- ※本ページに掲載している連載中作品の巻数は、2020年6月時点のものです。
髙橋ヒロシ(たかはし ひろし)福島県出身。1989年、『Hey! リキ』(月刊少年コミック)でデビュー。代表作『クローズ』をはじめ、不良少年を描いた作品を多数執筆。関連作品である、映画『クローズZERO』シリーズも大ヒット。2020年現在は「ヤングチャンピオン」にて『ジャンク・ランク・ファミリー』連載中。
(書店員:kkkkk/30代/男性)