<あらすじ>「恋の光」が視えてしまう大学生・西条は、恋を探求する女の子・東雲に恋をした──。視えるからこそ切なくて苦しい。今までにないラブストーリーが始まる。
<書店員のおすすめコメント>自分、本作を読むまで恋愛漫画って苦手でした。なんと言いますか、現実設定なのに全然リアルじゃないところに違和感が強く、もはやファンタジー漫画と同じくらい非現実的だと感じてました。イケメンか金持ちしか生息できない息苦しさも、読んでてシンドイんですよねぇ。(現実も概ねそうなのですが…。)そんな自分ですが、本作を読んで恋愛漫画に対する考え方が大きく変わりました。登場人物達による多種多様な恋愛観をぶつけられたこともそうなのですが、それ以上に、恋愛漫画には「選ぶ(ないしは、選ばれる)」といった側面だけではなく「別れ」の側面もあるんだと感じさせてくれたからです。
では、簡単にその内容なのですが、本作は、恋している女性が光って見えるという男子大学生「西条」と、彼に関わる3人の女性のお話。
女性陣は、携帯電話もない浮世離れした「東雲」と、他人の彼氏が欲しくなる悪癖をもつ「宿木」、そして小学生からの幼馴染「北代」の3人。西条は光の正体は何かを探りつつ、3人の女性と関係を深めながら物語は進んでいきます。
恋する女性が光って見える…一見ファンタジーっぽいのですが、それはあくまで物語上の装置で、登場人物達が異なる価値観で言葉を発し行動していく様は普通の学生の恋愛と何ら変わりません。むしろ、この普通が面白いのです。皆、恋という、えも言われぬ感情を自身の価値観に基づき論理的に語り
ーそれは一見、野暮ったくもあるのですがー
小気味よいセリフまわしと共感できる言葉選びのセンスに飲み込まれてしまいます。また、柔らかいタッチでほんわかしたキャラクター達の描写も、魅力的で良い味を出しています。
物語としては最終的に、西条が誰を選ぶのか(同時に誰を選ばないのか)に帰結してしまい、恋がもつ一方的かつエゴ丸出しの行為に対して、この光が幻想的で美しく希望を与えてくれます。ともすれば、どう転んでも後味が悪くなってしまう内容も、そう感じさせない展開の巧みさには、ただただ唸ります。
「愛とは愛されたいと願うこと」
という某かの名言がありますが、だからこそ、本作は「愛」ではなく「恋」がテーマなのだと最後は納得した次第です。恋が愛のはじまりなら、相手の幸福ばかり願っても愛にはならないのです。
全7巻。この上なくキレイな恋の物語を、是非おすすめします。
<あらすじ>初めてできた彼女はかわいくて性格もイイコ。でも彼女は初Hに異様な理想とこだわりをもっていた!? 彼女の期待には応えねば!? 恋愛にウブなカップルの青春ラブストーリー!
<書店員のおすすめコメント>彼女が、初エッチに最高の状況を準備するなど気合入りすぎて、逆に萎えて困ってしまったというお話。ネットや雑誌の情報に翻弄され、理想を追求し奮闘する彼女が、一途にけなげで愛くるしい・・・って何だソレ爆発しろ!とか思わないでいただきたい。 おっさんになって読むと、こういう青春真っ盛りなお話にもどこか面白みを感じてくるものです。 単純に「可愛い彼女で彼氏が羨ましい」とは思えず、彼女の過渡な期待に対する気苦労にも共感できてしまうところが特に。下心だけでは何も動けなくなってしまったんだなぁと哀愁を感じるのです。 若さによる多少のすれ違いもあるけれど、何だかんだで仲良い二人には、ほっこりさせられます。
<あらすじ>彼と別れたばかりのOL小沢さん。ある日、飲んだ帰りに訪れた同じマンションの一室は、とんでもない部屋だった。住人の小山田くんはいたって普通の青年だったが、「煩悩の限りを尽くす」という兄から送られてくるモノで溢れるその部屋は、統一感なし、センスなし、意図も不明。しかし何が気に入ったのか、そんな部屋で癒される小沢さんはヒマがあるとその部屋『煩悩寺』に通う日々が始まるのでした。
<書店員のおすすめコメント>主人公は彼氏と別れたばかりのOL小沢さん。酔った帰りに間違って入ってしまった部屋には、ヘンテコなものが盛りだくさん。そこに住む普通の青年小山田くん。部屋にあるものは、実家がお寺でお坊さんになる前に煩悩の限りを尽くしたいという兄が送りつけてくるのだという。友人からは「煩悩が集まる場所」+「実家がお寺」ということで「煩悩寺」と名付けられている。傷心中の小沢さんは、不可思議なもので溢れている煩悩寺と、そこに住む小山田くんの雰囲気に徐々に癒やされていきます。 ラブコメながら、ゆるりと進展していく雰囲気づくりは、さすが秋★枝先生。あっさり風味で優しく体に浸透していきます。ニヤニヤしたい時に、読むことをおすすめします。
<あらすじ>カードが強ければ、モテる!!進学も有利!!なんならお金も稼げちゃう!!そんな世界――。父親が作った賭けカードの借金を返すため、中学生のまなかはTCGの大会で優勝賞金を狙いにいく。
<書店員のおすすめコメント>これまでのラブコメの流れとは打って変わって、架空のトレーディングカードゲーム(TCG)「Wizard's Soul(ウィザーズソウル)」を扱ったお話。このゲームが強ければ地位も名誉も、そして恋も、なんでも手に入る世界。主人公の中学生・まなかは、父が賭けカード詐欺からのカード破産を食らい、お金を稼ぐべく賞金のために大会に挑みます。お金のため負けられないまなかは、こすっからい手でも勝ちに行こうとするため、同級生からも非難轟々です。 2巻目の表紙をみてください。1巻とは打って変わって暗いです。負けられない、追い詰められた顔してるでしょう。 可愛い絵柄なだけに、もったいな・・・いや、これはこれでなんか良いかも! 著者の配慮でゲームのルールや雰囲気を知らなくてもわかるようになっており、私もTCGは全く経験ないのですが、すんなり読めました。著者にとっては一風変わったシーンが垣間見える作品です。
<あらすじ>芸能プロのやり手女社長のもとにやってきた歌手志望の女の子、木村彩乃。彼女の無垢で恥じらう姿にイラつきを覚える所長に“モクソン”と名付けられ芸能界で歩み始める。純真モクソンの行く先に、熱く注目です!
<書店員のおすすめコメント>歌手志望の木村彩乃が訪れたのは、芸能プロダクション女社長の高杉千鶴子。純粋無垢かつ儚げ、加えて健康的なボディとくれば、完全男子受けしそうな木村に対し、男運のない高杉は彼女を陥れることを決意。芸名も、木村だから”モクソン”とおよそ売れなさそうな名前にしてしまう。 しかし、社長の思惑とは裏腹に、けなげに努力していく様に、観客たちはどんどん魅了され、人気が上がっていくというお話。 最初のうちは、いじめを受けながらも懸命な木村に肩入れしたくなるものですが、ここは秋★枝マジック。だんだん高杉社長の魅力に取り憑かれいきます。空回りしている様もそうなのですが、普段クールな姿なだけに、ちょっとした瞬間恥ずかしげに赤面する様は、個人的にどツボっす。ニヤニヤがとまりません。 仕事に恋にひたむきに頑張る姿は、不思議と勇気づけられる作品です。
<あらすじ>女子だけのゆるゆるな高校弓道部に入部した熱血弓道野郎・毛利の部活青春の毎日は!? 秋★枝初の4コマ表題作に加えて、女性たちの心ときめく瞬間を描いたオムニバスショート「ワンシーン」も併載して秋★枝の魅力が満載です。
<書店員のおすすめコメント>表題作は、著者としては珍しい4コマ作品。いわゆるストーリー4コマです。高校の弓道部を舞台とした、ゆるふわな部活もの。もう半分は、オムニバス形式で「ワンシーン」 前者の作品は、高校生のピュアなラブコメ、むしろコメの要素が強いのが魅力的。 後者は、1つ1つ淡い恋心を丁寧に描いた内容で、読んでてキュンキュンします。 何にせよ甘酸っぱい青春の味を堪能できる1冊です。
<あらすじ>東方の同人活動や公式コミックで注目を集め、オリジナル作品の連載でも人気を博す秋★枝、初の短編集!自身のサイトで発表してきた短編連作を大幅加筆修正し、描き下ろしの新作も加えました。その他、商業誌デビュー作や同人誌掲載作、さらにこのコミックス用の完全描き下ろし作品を収録した、ファン必携の一冊です。
<書店員のおすすめコメント>最後は短編集な1冊。デビュー作の「先生+」も掲載されており、氏のファンであればこれだけでも一見の価値があるかと思います。
個人的に、表題作の「伊藤さん」が、なんと言っても魅力的なんです!「純粋ミラクル100%」の高杉社長もそうなのですが、秋★枝先生の可愛らしい絵で描かれる「大人の女性」というのは知的でキリッとしている一方で、どこか抜けてて、特に伊藤さんはヘビースモーカーという可愛らしさとはおおよそ無縁の属性があるのに、不思議と可愛いのです。そして萌えるんです。年下の彼氏とイチャイチャし、時に笑い、時に落ち込んだりする様はニヤニヤして楽しめます。
その他も、基本心暖まる話が多く、秋★枝節とも言える、絵柄はふわっと、でも中身のストーリーにはきっちりメッセージ性があって、何回読んでも楽しい1冊だと感じます。