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久保ミツロウ

久保ミツロウ。1996年、女性漫画誌において本名でデビュー。その後、少年誌に舞台を移しミツロウ名義で連載を続けている。キャラの描写に定評があり、これは最近のテレビやラジオ出演時に見受けられるパーソナリティーからきていると思われる。そのマルチな活躍と前後して、作品の映像化も次々と行われ、映画『モテキ』は大根仁監督、森山未來主演で大ヒットとなった。アニメ『ユーリ!!! on ICE』でも原案、キャラ原案などを務めている。

(担当:屋上太郎/50/男)

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久保ミツロウの全5作品を掲載!

少年誌で水商売が舞台?ミツロウ堂々の少年誌デビュー
3.3.7ビョーシ!!(全10巻)
久保ミツロウ
表紙『3.3.7ビョーシ!!(全10巻)』 - 漫画
3.3.7ビョーシ!!
(全10巻)
久保ミツロウ
2003年、週刊少年マガジン

<あらすじ>高校のひとり応援団として奮闘してきた福田新一(通称フク)は、野球部の敗退でその活動を終え大学進学を目指し上京。そこでぼったくりに引っかかったところを先輩のウメに助けられた。そのお礼も兼ね、予備校に通いながら、フクはウメの勤めるホストクラブで働きつつ、恋や人生に頑張る人たちを応援することになる

<書店員のおすすめコメント>ホストと応援団。相性の悪そうなこの組み合わせをうまく漫画にしたことが、この作品の重要なポイントだったかと、今になって思います。女性の関心を引き付けて喜ばせるホスト&それぞれの事情を持つ新宿の人々と、人のよいところを見つけて応援する主人公のフク。どちらも観察力がないと嘘くさくなりますよね? 著者がその後に「人間描写が巧み」と言われるようになった、その才能が見て取れる。人の描き方はこのころから見事です。

『3.3.7ビョーシ!!』コマ
かつて見慣れた風景がこんな絵になると、やっぱり目が止まってしまう。さくらやはもうないんだよな
特殊救難隊入隊を目指す若き潜水士たちの群像活劇
トッキュー!!(全20巻)
原作:小森陽一 漫画:久保ミツロウ
表紙『トッキュー!!(全20巻)』 - 漫画
トッキュー!!(全20巻)
原作:小森陽一 漫画:久保ミツロウ
2003年、週刊少年マガジン

<あらすじ>20歳の神林兵悟は佐世保海上保安部所属の海上保安官であり、新米潜水士。漁に出たまま戻らない父親を待ち続けていた経験から人命救助を志し、この職に就いた。「しらは」配属から4か月がたち、兵悟は本物の海難に遭遇。そこで見たトッキュー第3隊隊長の真田甚の救助姿に感銘を受け、兵悟はトッキューに憧れを抱くようになる。

<書店員のおすすめコメント>『海猿』と同じ原作者を迎えて、前作にあった脚本上な甘さが無くなり、ストーリーに厚みが増した作品。ただそれよりも強く感じたのは、場面の雰囲気というか場の空気感というべき描写が格段に上達しているということ。ちょっとエラそうですが。冒頭のひんやりとした港、荒れ狂う海。そこに吹く風を感じることできるというのは大したものです。あとはマッチョな肉体ですね。鍛錬の結果である強靭な筋肉というリアル感がたまりません。

『トッキュー!!』コマ
格闘漫画のムキムキとは違うナチュラルな筋肉美! 1巻の初っ端からこれはやられました…ってなにに?
実写ドラマや映画化もされた著者最大のヒット作品!
モテキ(全5巻)
久保ミツロウ
表紙『モテキ(全5巻)』 - 漫画
モテキ(全5巻)
2010年、イブニング

<あらすじ>年齢=彼女いない歴のアラサー男・藤本幸世に、ある日突然「モテ期」が訪れた!? 女子から次々と連絡が入り、戸惑い焦りながらデートをこなしていく幸世だが、悲しいかなこれまでの恋愛経験値の低さから、あと一歩の所でうまくいかない。ネガティブで痛すぎる、草食男子の幸世に、果たして恋愛を成就することができるのか。

<書店員のおすすめコメント>時折、著者評で「女性目線の~」みたいな表現を目にします。特にこの作品が映像化されたあたりに多かった気がしますが、この原作を読めば少しずれているとわかるはずです。男とか女とかじゃなくて、久保ミツロウが思う憧れる人間、気持ち悪い人間、そして理想の人間を描いているのだと。藤本幸世くんの痛い行動はやりすぎですが、デフォルメの範疇。メディアでさらけ出している著者自身の内面が色濃く出ている作品じゃないでしょうか。

『モテキ』コマ
この作品の隠し味はパロディ絵。この下からの構図はあの人としか。さあ、どれだけわかるか捜してみよう
孤独な高校生が過去へ!やり直し人生は彼を変える?
アゲイン!!(全12巻)
久保ミツロウ
表紙『アゲイン!!(全12巻)』 - 漫画
アゲイン!!(全12巻)
久保ミツロウ
2011年、週刊少年マガジン

<あらすじ>友人もできず、さして思い出もない高校生活を送った今村金一郎は、卒業式の日に同級生の女子と誤って階段から転げ落ちてしまう。気が付くと、2人は3年前の入学式にタイムスリップしていた。そこで憧れていた応援団の女性団長・宇佐美と再会した金一郎は、自分の在学中に解散となった応援団を立て直そうと奔走する。

<書店員のおすすめコメント>数あるタイムスリップを題材にした作品と比べこの作品はひと味違う…というわけではないです。過去をやり直してよい未来に、という基本設定は変えようがない。ただこの作品で強く思うのは「やり直し」というより「見直し」の人生を描いているのではないかな、ということ。主人公の金一郎は本来は高校時代を無為に過ごしていた少年。だけど、もう一回、周りを見直してごらんよ、と。4巻以降は特にそうだよね、と思うことしきりです。

『アゲイン!!』コマ
急展中のひとコマ。情報量の少ないシンプルな絵なのに…。思わず「うわあぁ」と声が漏れてしまいそう
本名・美津子名義で発表した少女漫画作品2編を収録
久保ミツロウ 初期作品集 しあわせ5はん/くらげ(全1巻)
漫画:久保ミツロウ 原作:美春羽里・森浩美
表紙『久保ミツロウ 初期作品集 しあわせ5はん/くらげ(全1巻)』 - 漫画
久保ミツロウ 初期作品集
しあわせ5はん/くらげ(全1巻)
漫画:久保ミツロウ 原作:美春羽里・森浩美
1996年、mimi 1997年、Kiss

<あらすじ>女性漫画誌に掲載された、本名名義での2作を収録。『しあわせ5はん』は1996年に『mimi』で連載されたデビュー作。OL5人が脱サラしてレストランを始める全3話の物語。『くらげ』は翌年『Kiss』に掲載。原作は作詞家の森浩美で、窓拭きの仕事中にスカウトされた安藤真生と、子役出身の羽鳥ユータの青春芸能ストーリー全6話。

<書店員のおすすめコメント>久保ミツロウが少年漫画の前に描いていた女性向けの漫画って、ちょっと興味ないですか? ドキドキしません? でもね、もし怖いもの見たさ的な感情ならば、それは見事に吹っ飛ばされます。この作品集に収められている2作品は、新人と言われないとわからないほど、完成度の高い漫画になっております。ほんと、しっかりと少女してる。そもそも初期作品集が出るというのはヒットメーカーの証。若いころからその片鱗があったんですね。

『久保ミツロウ 初期作品集 しあわせ5はん/くらげ』コマ
カラーページが再現されているのはファンにとってうれしいもの。彩色も女性向けっぽいですよね
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