<あらすじ>ある日のこと、プンプンはクラスにやってきた転校生・田中愛子に一目惚れ。彼女から「もうすぐ地球は人の住めない星になる」「別の星に移住しないと人類はメツボーしてしまう」という話を聞いたプンプンは、今日出された「将来の夢」の作文に、「宇宙を研究する人になりたい」と書こうと思い立つ。だが翌朝、プンプンが起きると家の中が大変なことに…?
<書店員のおすすめコメント>私、先生と同い年なんですが、この頃やっと”浅野いにお信者である”と素直に認められるようになりました。
本作はそんな私を含めた旧サブカル層のカリスマである浅野いにおらしさが詰まった代表作。簡素な落書きで描かれる主人公プンプンの歩みを追っていく途中、読者は「幸せになってほしい、もう何も起きないでくれ」と願うことになるでしょう。時間があるならイッキ読み推奨。
内容は一言では言い表せないほど構成が練られており、最終的には登場人物全てが繋がったようななんとも不思議な気持ちに。
ハートフルな雰囲気で始まるのにドメスティックで、イカ臭くて血生臭い絶望に襲われるこの作品。中二病から大二病を拗らせたアラフォーさんだと叔父にも母にも共感できてしまうところがありそうですが、この”共感”が気持ちよい。もちろん辛くもある。
あぁ、どこかに南条さん落ちてないかな…ズルいよプンプン。
<あらすじ>3年前の8月31日。突如『侵略者』の巨大な『母艦』が東京へ舞い降り、この世界は終わりを迎えるかにみえた――その後、絶望は日常へと溶け込んでゆき、大きな円盤が空に浮かぶ世界は今日も変わらず廻り続ける。小山門出(こやまかどで)、中川凰蘭(なかがわおうらん)、2人の女子高生は終わりを迎えなかった世界で青春時代を通行中!『ソラニン』『おやすみプンプン』の浅野いにお最新作!2人の少女のデストピア青春日常譜、開幕。
<書店員のおすすめコメント>通称:デデデデ
イソベやん大好きっ子で担任に恋する門出と、「一日一善1ヘッドショット」をモットーとする凰蘭という2人の普通の女子高生。だがその上空には宇宙人のどデカい船が浮かんでいる。2019年初旬現在も連載中の最新作。
東京にこんなのが浮いてたら海外逃亡だろJK。
プンプンの次の連載にも関わらずタッチがかなり変わっています。キャラのデフォルメも”デデデデ”で完成された感があります。全体的にコントラスト強めでグラデ少なめになり、表現が広がったのがわかります。すごいぜ浅野いにお。
門出はともかく(※個人の感想です)凰蘭が大人の階段を登っていく様は見たいような見たくないような…そんな日常の上に突然載せられる「人類終了まであと半年」の文字。ここまではプロローグだった、これからが本番だ!と。絶賛連載中の今作、7巻ですでに凄いけどめちゃくちゃ期待してます。
<あらすじ>この限りなく不透明なイマをを生きる、僕らの青春狂想曲―― 社会人2年目、種田と芽衣子の楽しくもせつない、小さな恋の物語―― 性別・世代を越えて確かな共感と感動を呼ぶ、超話題作!! (2005年12月5日 発売 YSC「ソラニン」第1集 内容紹介コメント)あれから12年。累計90万部の大ヒットとなった浅野いにおの代表作にしてゼロ年代を象徴する青春漫画の金字塔「ソラニン」が豪華新装版で登場。単行本未収録外伝「はるよこい」、未収録カラー、描き下ろしカット、さらには12年ぶりの描き下ろし新作「第29話」を収録した全1巻。僕らの胸を焦がしたあの歌が、また聞こえる――
<書店員のおすすめコメント>私が『ソラニン』に出会ったのはバンド友達の家というお決まりの状況。こういう人多いでしょ?でしょ?
大学の軽音サークルの実態を絵に描いたような本作、彼らの私生活が赤裸々に描かれていて、なんだか自分もそこにいたような気持ちになっちゃう。素朴でまっすぐな青春が気持ちいい。
私も昔、小田急線の和泉多摩川駅、八百屋の地下のヌーノ・ベッテンコートのポスターが貼られたスタジオに入り浸っていたのですが、同じ舞台で同じような彼らにここでもシンパシーを禁じ得ない。
映画化もされた今作の見どころは、音楽で成功する夢と現実の間で彼らが青春を追い越し、"大人"になっていくところ。その時々の台詞・シーンがたまらなく刺さり、本当に絞めつけられます。
ちなみに新装版に含まれる「はるよこい」は芽衣子が住んでいた部屋に次の入居者が内見に来る話、そして#29では36歳になった芽衣子が見れます。
<あらすじ>浅野いにお、衝撃の新境地へ―― ある漫画家の、脇目もふらず駆け抜けてきた連載が終わった。久しぶりに立ち止まった自分に残されていたものは、残酷なまでの“空虚感”だった。大切な存在ほど信じ切れず、束の間の繋がりだけに縋り始める日々――― 漂流する魂が着地した時、男の本当の姿が現れる。浅野いにお、極限の最新作。
<書店員のおすすめコメント>アラフォーにもなると色々な経験をしてます。呼吸ができなくなるほど辛い思いもしたし、ソワソワしながら待合室で待ったりとかさ。詳しくは言わないけどさ。
今作の主人公の深澤薫は若い頃は漫画を愛し、若者に刺さる作品を生み出してきた早々に売れっ子漫画家となった男。そこには彼なりの色々な想いがあるわけですが、読んでるとどうしても「彼が浅野いにお本人なんだ」と思ってしまう。※深澤先生はプンプン他にも出てるので探してみてね
本作は”大人の苦悩と逃げる様”が生々しく描かれており、それらの経験を最近…むしろ進行形でもある私はブラボーと言わざるを得ないのです。ブラボー!
アラフォー男は大抵こうなのよ!これは浅野いにおというカリスマが我々に「俺もそうだよ」と!こんなすげぇ作品を描く人なのに、汚えおっさんになった僕らと「同じだよ」と!そう教えてくれた、いわばファンレターへの返信なのだ。
<あらすじ>恋というには強(したた)かで打算というにはあまりに脆い……。浅野いにおが描く、身勝手で切実な十四歳の青春。海の近くの小さな町に暮らす平凡な中学生・小梅。小梅に思いを寄せる、内向的な同級生・磯辺。思いよりも先に身体を重ねてしまった二人。秘密の時間を過ごせば過ごすほど、心の距離は遠ざかっていく――。
<書店員のおすすめコメント>コミック誌は各々強い個性があり、ジャンプの「友情・努力・勝利」のようにそれぞれ編集部ごとの特色がある。
本作は太田出版の「マンガ・エロティクス・エフ」での連載なので、ご多分に漏れずエロい。今作はまるでかつての山本直樹のように現代の若者たちを虜にする破壊力がある。
磯辺と小梅の掛け合いは中学生なのに…と思うようなマセた発展をしていく。この関係はこんな田舎ならではなのだろう。(彼らの性への執着、行動にはそれこそ太田出版の作品が教科書代わりに在ったに違いない、兄ちゃんの本棚とか。)
後半、磯辺が男気を見せるシーンはかっこよすぎるのだが(小梅を危ない目に合わせた事への怒りなのか、それとも兄の弔いなのか?いつものモノローグがないので詳細は不明)、マドンナに出会ったことを大興奮しながら小梅に語るシーンは所詮ただの中坊でしかなく、そんなギャップの描き方にもセンスが光る一作である。
<あらすじ>「強い意志を持ちな。もっともっと強い意志を」――「虹ヶ原」という土地を舞台に、小学校の同級生たちの過去と今が交差する――。子どもたちのうわさ、トンネルの中の怪物、家族の秘密、蝶の異常発生……あらゆる糸が絡み合い織り成す、新世紀黙示録。浅野いにお初の長編連載作品。卑怯者の君へ、怠け者の君へ、嘘つきの君へ、臆病者の君へ―――。
<書店員のおすすめコメント>この作品はちょっと難しくて、シンプルには語りづらい。読み返すごとに発見があり、どんどん意味がわかったような気になるのに違和感も一緒に強くなっていき、私には上手く言葉に出来ないけど「読み返したくなる作品」なのは間違いない。
今作もまた浅野いにおファンには強く支持されている作品であり、読んでみたら「読み返したくなる」気持ちがよくわかる。色々な技法が使われており、読むごとに「あれっ?」と思わされる。謎を解くためにも是非1度ではなく納得いくまで読んでもらいたい。
幼少期と青年期が交互に挟まっていたり、ループするたびに関係性が変わっていたり、おバカな私の脳ではもしかすると真実にたどり着けないかもしれないが(答えという答えはないのかもしれないけどさ)、決して「意味がわからない作品」ではない。ゾッとするところに気づいたらあとは"理解したい"という気持ちを開放するだけだ。
<あらすじ>あてもなく大学を中退してしまったバンドの女性ボーカリスト、ひどいいじめを受けている小学生の女の子とカラスの姿をした死に神、組の金に手をつけて逃走中の暴力団員と女子高生、バンドをやめて普通のサラリーマンになった青年…。心に不安や不満を抱えながらも、いつか素晴らしい世界にたどりつくことを夢見て、それぞれの日々を生きる人たちの日常をリアルに描いた連作短編集!!
<書店員のおすすめコメント>初の連載作品にして短編集のようでまるでバトンリレーのように次への繋がりを見せる不思議なストーリー。
この頃からループやリンク、後に浅野いにおの表現として語られる、通称"世界の終わり"的要素も含め、浅野いにおの原石が散りばめられているのが見どころの一つ。話と話のバトンとなる挿絵部分も本編とは無関係のように見えるが、すべてが「同じ世界」であることの裏付けであろう。
最初から飛ばさずに読み終わると読了後はちょっと気持ちいいですよ。
<あらすじ>駆け出しの漫画家・野津は、自分の描く漫画に行き詰まりを感じていた。そして、締切が迫っているにも関わらず、学生時代の友人たち(全員フリーター)とついつい夜遊びしてしまう始末。そんなある日、野津は、彼女のさよちゃんと一緒に“ひかりのまち”と呼ばれる新興住宅地へ取材に訪れるが…。“ひかりのまち”に関わる人々の日常をリアルに描いた連作短編集。
<書店員のおすすめコメント>映画的なストーリーで非常に読みやすく、登場人物もキャラが立っていてインパクトの強い作品。難しい話ではないのだが「あれってなんだったんだ?」というモヤモヤが残った人はもう一度読むといいかもしれない。伏線が回収されていくのを理解していると気持ちが良い。
今作は2004年連載開始となるデビュー2作品目。デビュー作『素晴らしい世界』のようにバトンが繋がっていく短編っぽい形のように思わせておいて、結果1つのまとまった作品である。
こういう言い方をすると怒られるかもしれないが、個人的には『AKIRA』っぽい要素が多いのがとても好きであった。浅野いにおという漫画家は自分の好きなものをしっかり「好きである」と作品で表現できるタイプなのかもしれない。
あと今作は犬ではなくネコが重要な鍵を握っているのでそこも要チェックである。
<あらすじ>▼無題 ▼夜明け前 ▼アルファルファ ▼日曜、午後、六時半。(夏の思い出/ア ガール イン ブリリアント ワールド オブ ア ボーイズ デイドリーム/帰宅) ▼超妄想A子の日常と憂鬱 ▼休日の過ごし方 ▼17 ▼素晴らしい世界 ▼東京 ▼世界の終わり ▼時空大戦スネークマン ●あらすじ/彼女との別れ話でもめていた友人・飯田に仲介役を頼まれた「俺」。だが、待ち合わせ場所に飯田が現れず、「俺」は飯田の彼女と2人でオールナイトのボーリング場に行く。いっそのこと飲みに誘おうかも考えたが、朝イチの会議までに企画書を完成させないといけない「俺」は、ただ無駄な時間をどうでもいい会話で費やしていく… (夜明け前)。 ●本巻の特徴/デビュー連作の短編「素晴らしい世界」、構想6年の渾身作「東京」を含む、心ざわめかす単行本未収録作品10編+α。描き下ろし、カラーも多数収録!!
<書店員のおすすめコメント>こちらは完全に短編集。それぞれの話のとあるシーンが後の作品のアレだったり、前の作品のアレじゃないか?と思わされるものがあったりと非常にファンが嬉しい一冊。
『虹ヶ原 ホログラフ』でも様々なアクロバティックなシナリオを試験的に行ってきた"マンガ家 浅野いにお"の真髄とも言えるテクニックがいっぱい見られるだけでなく、どれをとっても素敵な短編で詩的な気持ちにさせてもらえる。他の作品をいくつか読んだのなら更に楽しめると思うので、ぜひとも読んでいただきたい作品。