齢を取れば取るほど人は幸せになる「心筋梗塞も糖尿病も太っていたほうが長生きする」「糖尿病の治療がアルツハイマーを促進する」こんなことを言われたら、戸惑う人がほとんどだろう。しかし、これらは筆者の和田秀樹氏が、高齢者専門の精神科医として、36年間、延べ6000人の患者を診てきた上での事実である。「血圧はそんなに下げる必要はない」「コレステロールを下げる薬は心疾患がないのならすぐにやめるべき」「高齢者は免許を返納すべきではない」などなど、和田氏はつぎつぎと驚くべき言葉を矢継ぎ早に繰り出す。これらは意表を突くためのものではなく、どれもこれも合理的に納得できることばかりなのである。そもそも筆者は、世の中が高齢者を公平に評価していないことを嘆く。なぜなら、高齢者こそが重要な消費者であり、高齢者にスポットを当てることで日本経済が復活する芽までがそこにあるからだ。実は、人生の幸せのピークは、世界中どこでも82歳であること調査結果がある。齢を取るのはイヤだな、ではなく、人は齢を取れば取るほど幸せになるのだ。本書はそれを諄々と説いて、読者の目を啓いてくれる。『80歳の壁』――80万部突破の実績はダテじゃないのである。
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