無意味なものと不気味なもの

無意味なものと不気味なもの

春日武彦 著

1,012円(税込)
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「あれはいったい何だったのだろう――?」過去の人生において遭遇した、明確な恐怖とは言いがたい、けれど忘れることのできない記憶や小説。大ヒット作『恐怖の正体』(中公新書)で話題を呼んだ作家・精神科医である著者が、精神の根源に触れるそうした〈恐怖寸前〉の〈無意味で不気味なものたち〉に惹かれて渉猟した、異色の文学エッセイにして読書案内。刊行以来、ホラーや幻想文学の実作者を中心に、多くの読者から絶賛を得てきた名著に、書き下ろしの新章を増補した新版。誰もが体験しながら、ふだんの日常においては意識の底に沈められがちな〈あれ〉を求めて……読めばきっと、あなたも語りたくなる。推薦・澤村伊智解説・朝宮運河【目次】文庫版のためのまえがきまえがき1 隠蔽された顔――N・ホーソーン『牧師の黒のベール』2 本物そっくり――河野多惠子『半所有者』3 糞と翼――パトリック・マグラア『長靴の物語』4 姿勢と連想――古井由吉『仁摩』5 受話器を握る怪物――H・P・ラヴクラフト『ランドルフ・カーターの陳述』6 孤独な日々――日影丈吉『旅は道づれ』7 南洋の郵便配達夫――J・M・スコット『人魚とビスケット』8 描きかけの風景画――藤枝静男『風景小説』9 墜落する人――レイ・ブラッドベリ『目かくし運転』10 救われたい気持ち――高井有一『夜の音』11 果てしない日々――クレイ・レイノルズ『消えた娘』12 世界の構造――富岡多惠子『遠い空』13 グロテスク考――カースン・マッカラーズ『黄金の眼に映るもの』14 うふふ。――車谷長吉『忌中』16 昆虫的――内田百間『殺生』+ブルーノ・シュルツ『父の最後の逃亡』16 入り込んでくる人――庄野潤三『黒い牧師』あとがき解説 朝宮運河〈本書は、無意味なものと不気味なものにまつわる探求報告であり、「あれはいったい何だったのだろう」という呟きの執拗な反復である。もし読者諸氏にも「あれはいったい何だったのだろう」との文言が病原菌のように感染すれば、著者としては嬉しい。寂しさがまぎれ、この世界に生を営んでいくことの不安を、幾分なりとも忘れさせてくれそうだからである。……〉(「まえがき」より)

ジャンル
文芸
出版社
中央公論新社
掲載誌/レーベル
中公文庫
提供開始日
2024/05/22

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