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本村凌二
「地中海世界」4000年の文明史を、古代ローマ史研究の第一人者が描きつくす全8巻シリーズの第3巻。講談社選書メチエ創刊30周年特別企画。第3巻のテーマは、エーゲ海とギリシアの文明。「神々の世界」から「人間」が歴史の主役となる、「人間主義の黎明期」である。紀元前3000年頃に始まるエーゲ文明は、前半をミノア文明、後半をミュケナイ文明に代表されるが、前1200年頃、ドーリア人や「海の民」の侵入・襲撃などにより崩壊する。その後の「暗黒時代」を経てアテナイ、スパルタに代表される都市国家(ポリス)が発達し、前5~4世紀に最盛期を迎える。ギリシア世界は、ギリシア本土だけでなく、小アジア・黒海沿岸から、イタリア半島南部、シチリア島、さらにマルセイユやリビア沿岸へと広がり、各地に植民都市が建設された。それらの都市では、自然科学や哲学が産声をあげ、理性に根ざした芸術や文学とともに、人間は自由で平等であることを自覚するようになり、民主政治をも生み出したのだった。しかし、その「自由な市民社会」は奴隷制度と表裏一体であり、プラトンやアリストテレスら卓越した知識人さえも、「自然による奴隷」を自明のものとしていた。そこに古代社会の深淵が顔をのぞかせていたのである。目次 はじめに 第一章 陽光は暗黒を照らす 1 エーゲ海の宮殿文明 2 英雄叙事詩が語る「新しい人間」 3 ポリスの誕生 第二章 拙き理知の彼方に 1 神々と人間への讃美 2 軍国主義の覇者・スパルタ 3 交易の都市、哲学の都市 4 大国アテナイの僭主と賢人 第三章 熱意と思索の結晶 1 クレイステネスの民主政 2 先進国ペルシアとの戦争 3 下層市民の政治参加と教育論争 4 ペリクレスの黄金時代 5 行動する人々の祝祭 第四章 都市の自由と古代社会の深淵 1 ペロポネソス戦争、二七年の激闘 2 アテナイの哲人たち 3 混迷するギリシア世界 4 「古典期」の女性と社会 5 奴隷と自由人 おわりに
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