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長谷川宏
長くヨーロッパの文化と思想を研究対象としてきた著者は、ここ20年ほど、日本の文化と思想の研究にとりくみ、その流れを歴史的に追跡してきました。その成果がついに一書にまとまったのが、本書です。題して、『日本精神史』。「精神」とはなにか。ヘーゲル研究者としてスタートした著者は言う。「あえて定義づければ、人間が自然とともに生き、社会のなかに生きていく、その生きる力と生きるすがたが精神だ」。テキストとして残された思想はもとより、土器や銅鐸、仏像、建築、絵巻、庭園など、あらゆる文化を渉猟し、縄文時代から江戸時代の終わりまでを、一望のもとに描く、まさに畢生の大作です。ただし、著者は、難解であることを潔しとしません。ヘーゲルのわかりやすい翻訳で脚光をあびたように、あくまでも流麗な文体で、明解に描いていきます。思想も絵画も仏像も、ひとしく日本の精神の歴史としてとらえ、あらためて、日本とはなにかを問いかける清新な傑作と言えます。上巻は三内丸山の巨大建造物から『正法眼蔵』まででした。建築、仏像、そして仏教思想の深まりが底流にあります。下巻は、『新古今和歌集』『愚管抄』から『東海道四谷怪談』まで。武士の思想や、わびさび、儒学、元禄文化、浮世絵と、中世から近世にかけて、日本人の精神は多様なうねりを見せつつ近代に向かいます。そのダイナミックな流れを鮮やかに浮き彫りにします。【目次より】 第十九章 『新古今和歌集』と『愚管抄』 第二十章 『平家物語』 第二十一章 御成敗式目 第二十二章 「一遍聖絵」と「蒙古襲来絵詞」 第二十三章 『徒然草』 第二十四章 『神皇正統記』 第二十五章 能と狂言 第二十六章 鹿苑寺金閣と慈照寺銀閣と竜安寺石庭 第二十七章 山水画の神々しさ 第二十八章 茶の湯――わびの美学 第二十九章 装飾芸術の拡大と洗練――宗達と光琳 第三十章 江戸の儒学――伊藤仁斎と荻生徂徠を中心に 第三十一章 元禄文化の遊戯とさびと人情――西鶴・芭蕉・近松 第三十二章 南画とその周辺――池大雅と与謝蕪村 第三十三章 本居宣長 第三十四章 鶴屋南北『東海道四谷怪談』
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日本精神史(上)
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