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庄野潤三
20年振りの再訪を綴った『ガンビアの春』に、『引き潮』『水の都』の長編を含め、1975年から1978年に発表された36編を初出順に収録。家庭内の出来事を題材にした作品が多い庄野だが、第8巻に収録された長編は、いずれも外部に素材を求めたもの。『ガンビアの春』は、雑誌「文藝」に1978年11月から1980年1月にわたり連載された作品で、20年ぶりに米国オハイオ州ガンビアを訪れた際の短い滞在の記録。『水の都』は大阪生まれでありながら、郊外の新興住宅地育ちで、古い大阪らしい情緒と無縁に育った庄野が、妻の従弟の元へ何度も足を運び話の耳を傾ける「聞き書き」スタイルで、思いがけない人々とのつながりを発見していく物語である。そのほか、単行本『鍛冶屋の馬』収録の「鍛冶屋の馬」「七草過ぎ」「ユッカ蘭の猫」「花瓶」「草餅」「ココアと筍」「梅の実」「雲の切れ目」「シャボン玉吹き」「納豆御飯」「真夜中の出発」をはじめ、単行本『シェリー酒と楓の葉』収録の「シェリー酒と楓の葉」「フィンランド土産」「林の中」「ヨークシャーの茶碗」「窓の燈」「移転計画」「船長の椅子」「廃屋」「東部への旅」「除夜」に、単行本『屋上』収録の「五徳」「やぶかげ」「かまいたち」「屋上」「かたつむり」「家鴨」「分れ道の酒屋」「菱川屋のおばあさん」「写真屋」「コルクの中の猫」「双眼鏡」「割算」を加えた、全33編の短編を併録する。解題は監修を務める日本文学研究者・上坪裕介氏が担当。付録として「鍛冶屋の馬」「東部への旅」等の生原稿冒頭等も収録。※この作品は一部カラーが含まれます。
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