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庄野潤三
戦時下の自身の学生生活を描いた「前途」、「紺野機業場」「屋根」の3つの長編を含め、1968年から1970年に発表された15編を初出順に収録。戦時下の自身の学生生活を描いた『前途』、第20回芸術選奨文部大臣賞受賞作『紺野機業場』、「屋根」「父と子」「村の道」の3編を纏めて単行本化した『屋根』を中心に、1968年から1970年に発表された15編を初出順に収録。1970年5月に庄野の長女・夏子は結婚し家を出る。家族5人で“山の上の家”で暮らした最後の時期に、嫁ぐ日間近な長女を囲み、毎夜“絵合せ”に興じる5人――日常の一コマを限りない深い愛しみの心で綴った中編「絵合せ」は、翌71年に第24回野間文芸賞を受賞する。『前途』は、現在の生活を描くことが多い庄野が、戦争の足音を聞きながら過ごした青春時代を日記型式で描いた作品。作家・島尾敏雄をモデルにした同級生・小高との交情、執筆当時没後15年にあたり作品集の解説文を書いたことで述懐した文学の師・伊東静雄との交流等を描き、庄野にとっても重要な作品である。そのほか、第20回芸術選奨文部大臣賞受賞作『紺野機業場』、作品集『小えびの群れ』に収録された短編「尺取虫」「星空と三人の兄弟」「湖上の橋」「秋の日」「雨の日」「戸外の祈り」「パナマ草の親類」「小えびの群れ」「年ごろ」「さまよい歩く二人」「野菜の包み」を収録する。解題は監修を務める日本文学研究者・上坪裕介氏が担当。付録として「絵合せ」の生原稿冒頭、「紺野起業場」の創作計画表等を収録。※この作品は一部カラーが含まれます。
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