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庄野潤三
家族小説の傑作「夕べの雲」(第17回読売文学賞受賞)に「流れ藻」「雉子の羽」と三つの長編を含め、1964年から1967年に発表された15編を初出順に収録。1961年4月、庄野潤三一家は、石神井公園から多摩丘陵の丘の上の一軒家(川崎市生田)に引っ越しをする。最寄駅からは遠いが、見晴らしが素晴らしく、日当たりが良く明るい場所を庄野夫妻は気に入り家を建てる。後に“山の上の家”と呼ばれ、数々の家族小説の舞台となった場所である。その3年半後の1964年9月6日から日本経済新聞紙上で「夕べの雲」の連載が始まる。“――生田の山の上に引っ越してきてからのことを含めて現在の生活を取り上げてみようと思っている。「いま」を書いてみようと思っている――”。生田の山の上に移り住み、そこに根をおろしていく家族の姿を描いた「夕べの雲」は庄野文学の代表的作品となる。このほか、長編「流れ藻」「雉子の羽」、単行本『丘の明り』に収録された「蒼天」「曠野」「つれあい」「冬枯」「行きずり」「秋風と二人の男」「まわり道」「山高帽子」「卵」「丘の明り」に、「鉄の串」「佐渡」を収録。解題は監修を務める日本文学研究者・上坪裕介氏が担当。付録として「雉子の羽」の生原稿冒頭、「夕べの雲」寄せ書き色紙 等を収録する。※この作品は一部カラーが含まれます。
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