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庄野潤三
小説創作の苦しみの果てに生まれた作品「道」や、長編『浮き燈台』『つむぎ唄』を中心に1961年から1963年に発表された14編を初出順に収録。米国留学の帰国後、雑誌「群像」の一挙掲載企画に“第三の新人”吉行淳之介、安岡章太郎らが力作を発表するなか、これまで短編作品中心だった庄野も長編作品に挑むこととなるが、苦心続きでスランプ状態に陥る。そんな中、先輩作家・佐藤春夫より「考え込まずに、ともかく書き出せ」との助言を受け発表したのが「静物」(電子全集3巻収録)だった。次に、テーマを“外に素材を求めた”作品として、「静物」より先に取り組んでいた「道」を完成させる。「道」は後に須賀敦子翻訳でイタリア語版が出ることとなる。その後、“外に素材を求めた聞き書き”ものとして長編『浮き燈台』が新潮社の「純文学書き下ろし特別作品」シリーズと一作として発表された。さらに、単行本『道』収録の「マッキー農園」「二つの家族」、『鳥』収録の「雷鳴」「薪小屋」「日ざかり」「鳥」、『休みのあくる日』収録の「花」「橇」に、「グランド・キャニオン」「石垣いちご」を加え、1962年8月から1年間「芸術生活」に連載された『つむぎ唄』も収録する。解題は監修を務める日本文学研究者・上坪裕介氏が担当。付録として「道」創作のために1959年京都取材旅行時に妻・千壽子に宛てた書簡等を収録。
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