味の素は、CSV(共通価値の創造)の同社版ともいえる「ASV」(Ajinomoto Group Shared Value)を全面に押し出して、より本質的な社会価値と経済価値を追求するASV経営を進めている。これはまさにステークホルダー主義を先取りするものといえるが、この改革を先導するのが西井孝明社長だ。「食と健康の課題解決」というパーパスを掲げたうえでビジョンを見直し、5つのポイントで変革を実行しているものの、当初は社内でもなかなか理解されなかったという。そうした中で、従業員と顧客、投資家・株主といったすべてのステークホルダーの価値向上を同期化することを目指す西井社長は、いかにして社内を巻き込み、変革を進めてきたのか。*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2021年10月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。