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大橋良介
【内容紹介・目次・著者略歴】本書はヘーゲル『精神現象学』全体の隠れたエレメントである「感性」を、現象学的解釈を通して、作品に内在的に照明する試みである。しかし、解釈が最終目的ではない。この解釈を通して感性の深層を取り出し、「共通感覚」の新たな意味地平を「非共通の共通感覚」として開示することが、眼目である。この共通感覚は「共感のパトス」へと深まり、やがて Compassion として立ち現れる。この語は、大乗仏教で言う「悲」の訳語でもある。「感性の精神現象学」を取り出す作業は、著者がこれまで試みてきた「悲の現象論」を、さらに先へとすすめる作業でもある。この視野の中で、ヘーゲル哲学も、「ヘーゲルと共に、ヘーゲルとは別の仕方で」理解されるのである。【目次より】凡例序 感性の深層へ1 「見る」と「見える」2 「聞く」と「聞こえる」3 アリストテレス『デ・アニマ』の場合4 デカルトの「共通感覚」の場合5 共通感覚の深層 ヘーゲルと共に、ヘーゲルと別の仕方で第一部 ヘーゲル『精神現象学』における「感性」の射程1 感性の外延的射程2 『精神現象学』の全体構造の看取3 「共通感覚」の新たな意味地平 非共通の共通感覚第二部 感性論としての精神現象学一 意識 知における感性の告示1 感覚的確信2 知覚3 悟性二 自己意識 共通感覚の地平開示1 主人と奴隷2 不幸な意識三 理性 内面化した共通感覚としての共通 パトス1 観察的理性 感性の身体面2 行為的理性 共通感覚から共通 パトスへ3 立法的理性と査法的理性 感性の深層としての「心性」四 精神 人倫の次元における感性1 人倫的精神 世界の開示性としてのパトス2 自己疎外的精神 非共通の共通 パトス3 自己確信的精神 絶対の他者と共有する共通 パトス五 宗教 神と人との無限の隔りの中での共通 パトス1 「宗教」の位置と意味2 啓示宗教3 「神は死んだ」という感情六 絶対知ーパトスの放擲と放下1 「自己」という形式2 時の止揚3 感性の止揚最終考察 「悲の現象論」の現在1 後景回顧2 前景展望あとがき注引用目録人名索引※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。大橋 良介1944年生まれ。哲学者、美学者。元大阪大学教授、京都工芸繊維大学名誉教授。京都大学文学部哲学科卒、ミュンヘン大学文学部哲学科博士課程修了。哲学博士。著書に、『「切れ」の構造――日本美と現代世界』 『西田哲学の世界――あるいは哲学の転回』『悲の現象論・序説――日本哲学の六テーゼより』『聞くこととしての歴史――歴史の感性とその構造』『日本的なもの、ヨーロッパ的なもの』(増補版)『感性の精神現象学――ヘーゲルと悲の現象論』『西田幾多郎――本当の日本はこれからと存じます』などがある。
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