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板橋拓己
【内容紹介・目次・著者略歴】「中欧」とは、単なる地理的な名称ではなく、歴史的・政治的に構成された概念である。冷戦の終焉とともに歴史の表舞台に回帰したこの概念は、多文化・多民族が共存するユートピアを想起させる一方、ドイツ帝国主義やナチスの「生存圏」を正当化するイデオロギーとして忌避されてもきた。本書は、この「中欧」という概念に着目し、それを近代ドイツの自己意識の根源に関わる問題として捉えることによって、従来の研究とは異なるドイツ・ナショナリズム像を提示する。1848年革命期の中欧連邦構想から、第一次世界大戦時の「中欧」をめぐる国際的な論争、そしてヴァイマル共和国期の「ヨーロッパ合衆国」構想とナチス時代の「広域秩序」論。これら「中欧」をめぐる議論の多角的・実証的検討を通して見えてくるのは、国民国家中心的な視座を超えた、重層的なドイツ・ナショナリズム像である。近代ドイツにおけるナショナリズムと「中欧」の関係を問いながら、地域主義とナショナリズムが絡み合う現代世界にも歴史的洞察を与える試み。【目次より】凡例序章 問題の所在 ドイツ近現代史と「中欧」第一章 「中欧」という視座 ドイツ・ナショナリズム論の再検討第一節 ドイツ・ナショナリズム再考第二節 対象と分析視角第二章 「国民国家」か「中欧」か ドイツ問題とコンスタンティン・フランツの中欧連邦構想第一節 一八四八年革命以降のドイツ問題第二節 フランツとは誰か第三節 フランツの中欧連邦構想第四節 二〇世紀のなかのフランツ第五節 フランツの遺産第三章 「中欧」の夢と現実 フリードリヒ・ナウマンの『中欧論』とその反響第一節 ナウマンと「中欧」第二節 「中欧論』の検討第三節 『中欧論』の反響第四節 ナウマンの遺産第四章 「ヨーロッパ合衆国」から「広域秩序」まで ヴァイマル共和国期・ナチス期における「中欧」の分岐………第一節 戦間期における「中欧」の位相第二節 「中欧」から「ヨーロッパ合衆国」へ ヴィルヘルム・ハイレの欧州統合思想第三節 第三帝国下の「中欧」の運命 カール・シュミットの広域秩序論終章 「中欧」から「ヨーロッパ」へ? 結論と展望あとがき註※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。板橋 拓己1978年生まれ。政治学者。成蹊大学法学部教授。北海道大学法学部卒業、同大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(法学)。専門は、国際政治史、ヨーロッパ政治史。著書に、『中欧の模索』『アデナウアー 現代ドイツを創った政治家』『黒いヨーロッパ』『現代ドイツ政治』(共著)『歴史のなかの国際秩序観』(共著)『国際政治史』(共著)など、訳書に、ジャック・ル・リデー『中欧論 帝国からEUへ』(共訳)アンネッテ・ヴァインケ著『ニュルンベルク裁判』ヤン=ヴェルナー・ミュラー『ポピュリズムとは何か』アンドレアス・レダー『ドイツ統一』などがある。
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